【報告:介護保障問題】 弁護団の支援を受け、具体的な取り組みが始まる
障害者の介護保障を考える会
同会は地域生活を実現するために必要な介護支給量等が十分保障される事を目的とし、今年2月のシンポジウムを機に発足しました。今春から弁護士の皆さんの参加も得て、毎月「例会」を開催し、様々な相談に対して意見交換を行ってきました。
○サービス等利用計画の中にきちんとニーズを書きこみ、再度行政との交渉にチャレンジ
○不本意な入所施設から地域生活を実現したいが、介護保険との関係はどうなるの?
○自己負担は重いが、行政との話し合いも疲れてしまった・・・。
その他、この間相談に乗り行政交渉で若干の支給量の増が実現できたが、家庭事情で他市に転居された方もおられます。この間、最も多く寄せられた相談に共通するのが、重度身体障害者の重度訪問介護利用における、特に深夜時間帯の「見守り」が認められない点です。
■神戸市長田区Nさんの取り組みにぜひ支援をお願いします
その中、神戸市長田区のNさん、仲間の支援も受け粘り強く区役所と交渉を継続してきました。結果、一日深夜1.5時間、月46.5時間の増が認められました。しかし、それでも自費負担額は10数万円に及びます。これ以上の交渉では打開できないため、Nさん自身も弁護団を代理人とする手続きに踏み切られました。
・8/25・・・第1回弁護団との会議(Nさんへの聞き取り・自宅訪問/今後の進め方)
・9/2・・・更新時期、長田区役所に月702時間で申請/情報開示請求
今後、10月末までに法的根拠やNさんの詳しい生活状況や介護の必要性等を盛り込んだ変更申請書が弁護団が作成し、区役所に提出予定です。「会」としてNさんを全面的にバックアップして、今後とも取組んでいきたいと思います。また、弁護団方式による取り組みには費用がかかります。ぜひ多くの方のご支援をお願いしたいと思います。
■札幌/鬼塚訴訟~全国ネットの取り組み
現代書館発行『福祉労働NO148』に「鬼塚朗さんの介護保障裁判~札幌高裁判決報告~総合支援法の限界と地域生活保障に向けての課題」が掲載されています。筆者は「会」にも毎回ご参加いただいている和歌山の長岡弁護士。この高裁判決では、鬼塚さんの個別事情を考慮せず「・・・支給決定の場面における市町村の財政事情も含む広範な裁量を認めており」、結局のところ財政の許す範囲でのみ認めるという不当極まりない判決だと指摘されています。そのため、長岡さんは現在の総合支援法の中にきちんと「地域社会で暮らす平等の権利」、一律な基準でなく「1人1人の事情に即した、支給量個別即応の原則」を明記すべきだ、そのためにも障害当事者による大きな運動が必要、弁護士としてもそこへ連帯したいと、同署で結ばれています。
11月には大阪で長岡さんも中心メンバーとして活動される「弁護士と障害者の介護保障ネット」結成3周年のシンポジウムが開催されます。皆さんも是非ご参加ください。
「会」として、実態調査もなかなか進展せず、今後の様々な活動展開に向け、「会」事務局を立てなおし、改めて皆さんへの支援依頼をお願いしたいと思っています。
今後ともご支援のほど、よろしくお願い致します。
【介護保障ネット】3周年シンポチラシ
10月 1, 2015