差別問題一般

【特集】 続・障害者と戦争

先月に引き続き、「障害者と戦争」ミニ特集、まずはJD(日本障害者協議会)の声明です。

障問連としての安保関連法制反対声明も、後日ホームページ等で掲載します。

 

安保法制成立への抗議声明-障害分野から

2015年9月24日

特定非営利活動法人 日本障害者協議会役員一同

9月19日未明、安保法案(11法制=海外派兵を可能とする「国際平和支援法」と自衛隊法改正案など10の改正案を一つにまとめた「平和安全法制整備法」)は、多くの国民が反対や疑問を表明しているにもかかわらず、民主主義を大きく踏みにじる形で、強行採決・可決された。これは、政治や政党というレベルをこえて、すべての人の人権にかかわる極めて重大な問題であり、権力の暴走である。

戦争は人間のいのちと尊厳を破壊する。日本国憲法は戦争への歴史的な反省の上に、平和と民主主義を根底にすえ、第25条はじめ、人として平等に生きるための権利を謳っている。昨年、政府が批准した障害者権利条約も平和な世界のもとでしか実現することはできない。

私たちは8月28日、500名をこえる参加者のもと憲政記念館で「戦後70年と障害者」を成功させた。そこでは、聴覚、視覚、肢体障害のある戦争体験者の貴重な報告を受け、「戦争は最大の暴力であり、障害者をつくり出す最たるもの」「戦時下、非国民、ごくつぶしといわれ人間扱いされなかった」「沖縄戦の心の傷は深く、ベトナム、イラク、福島の今に問われる」など、戦争の悲惨さに向き合い、決して忘れることなく、平和を守りつづけていくことを胸に刻んだ。

また、ナチスドイツが600万人を越えるユダヤ人大虐殺以前に、その実験台として障害者20万人以上を「安楽死」させていた事実も明らかになった。

社会や戦争の「役に立つ」か否かで人間を価値づける考え方は、障害者だけでなく、患者や高齢者など社会的弱者を切り捨て、生命さえも奪っていく。

すべての人には絶対的な尊厳があり、幸せに生きていく権利がある。いのちと人権を破壊する「戦争の論理」は再び復活させてはならない。

国会前や全国各地で戦後最大規模の意見表明行動が広がり、安保法制成立後もその声は各地域で広がり続けている。憲法を守り、民主主義を守ってきた戦後70年の積み重ねの上で、学生や高校生、学者やママたち、高齢者や障害者もそれぞれの表現で「安保法案反対」「民主主義を守れ」「国民の声を聞け」と訴えている。

私たちは、いのちと尊厳を守る立場で、安保法制の強行に断固抗議する。そして、平和を願うすべての人びとと連帯し、戦争をしないと世界に約束した憲法9条の堅持を高く掲げ、平和と民主主義を守り、戦争への関与を断じて許さない姿勢を貫いていく所存である。

 

【千葉】 県内でも「安保反対」のうねり

東京新聞 2015/09/17

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20150917/CK2015091702000179.html

◆[障害者]福祉と両立しない戦争

「県障害者・患者九条の会」事務局長で、車いすで生活する三橋恒夫さん(66)=千葉市中央区=は「福祉と戦争は両立しない。われわれ障害者は平和でなければ、人間らしい生活を維持することができない」と訴える。

「障害者を生み出す最大の原因は戦争。足の切断や失明などだけでなく、身体に傷がなくても精神障害になる人も多い」と批判。今月六日には、県内の身体、知的、精神障害者の当事者や、団体の代表者、医師や弁護士らが呼び掛け人となって「県障害者・患者九条の会」を設立した。

「戦前戦中は、障害者は戦争に役に立たない者として『米食い虫』『非国民』とさげすまれた」と指摘。「ひとたび戦争や、戦争を準備するような世の中になれば、また『米食い虫』とののしられる社会が来る。絶対にそういう時代にはさせない」と語気を強めた。(村上一樹)

 

【千葉】 平和守る不断の努力を 野田市戦争かたりべの会・日佐戸輝会長

東京新聞 2015/09/18

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20150918/CK2015091802000180.html

「できるなら国会前に行って、一緒に反対を訴えたい」。旧日本軍兵士で、野田市戦争かたりべの会の日佐戸輝(ひさとてる)会長(92)。空襲で負傷して右足を失い、体力的にも長距離移動が厳しく、十七日も自宅で国会や周辺の様子を伝えるテレビをじっと見つめていた。

障害者や人権の問題に長年携わり、同会を二〇〇五年に結成、平和の尊さを伝えてきた。県内の障害者らが六日に設立した「県障害者・患者九条の会」の呼び掛け人にもなった。「障害者は役に立たないと人間扱いしなかった戦前戦中に逆戻りしそう」という危機感からだ。

「法的安定性は関係ない」と発言した安倍晋三首相側近の独善的な姿勢が、戦争を拡大させた旧日本軍中堅参謀たちと重なり、危うさを感じる。

一方、抗議する学生や若い夫婦を見ると、語ることでまいた種が少しは役に立ったと思う。「平和憲法、平和を守るために、不断の努力が必要だとみんなが気付いた」と希望も持つ。

かたりべの会の会員はすでに十人以上が亡くなった。「法案が成立してもしなくても、どうやって平和を守るかを考え、行動しないといけない時代。亡くなった仲間の思いを引き継ぎ、できることはやり続ける」と決意を新たにした。(飯田克志)

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