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【国の制度動向】 ~総合支援法3年後の見直しが始まる~報酬改定、その他

【国の制度動向】 ~総合支援法3年後の見直しが始まる~報酬改定、その他

障問連事務局

 

■差別解消法の基本方針案、閣議決定される

2月24日の閣議で、障害者差別解消法の基本方針案が閣議決定された。パブリックコメントを受けた修正では、基本的に障害者の人権に基づいた修正のみであった。詳しくは内閣府ホームページで。以下は新聞記事。

 

「政府は24日の閣議で、障害者への不当差別の禁止に向けた基本方針を閣議決定した。2013年に成立した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」に基づき、行政サービスを提供するときに障害者を差別しないため、国に「対応要領」の作成を義務付ける。企業にも障害者の顧客に移動や意思疎通を補助するなどの対応指針の策定を求める。」(「政府、障害者への不当差別禁止 基本方針を閣議決定」、日本経済新聞 2015/2/24)

 

■障害者総合支援法の見直し

昨年12月に「障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ」が立ちあがり、総合支援法3年後の見直しに向けた検討が始まった。

そもそも、自立支援法を廃止し新たな新法に向けて制度改革推進会議に設けられた「総合福祉法部会」、その部会が「骨格提言」をまとめたが、現在の総合支援法には、そのわずかしか反映されていたいため、総合支援法の付則に「3年後に見直す」と記されたため、それに向けた検討が始まったのだ。1月末~障害者団体、関係団体からのヒアリングが行われ、ヒアリングが終われば、ワーキンググループの下に3つの作業部会を設け検討が進められ、4月には論点が整理される予定。

〈3つの作業部会〉

①    常時介護を要する障害者等に対する支援

②    手話通訳等を行う者の派遣、その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援

③    高齢の障害者に対する支援

DPI日本会議に対するヒアリングは2月4日に行われ、下記のように意見表明された。

○権利条約の理念を踏まえて見直すこと

○骨格提言を段階的計画的に実施すること

○シームレスに介助を利用できる仕組み

○移動支援を個別給付に戻す

○国庫負担基準を改めかかった費用の半額を国が負担する仕組みへ

○障害の範囲は病名列挙をやめ、心身の機能の障害および社会的障壁との相互作用によって生じる障害のある者すべてが利用できる仕組みに改める

○敷地内グループホームの廃止

○介護保険と併給の場合の国庫負担基準を改める

また、就労系事業者団体からは、骨格提言に合った「デイアクティビティーセンター」や日中活動事業を「介護」「就労」のみに分けない在り方、所得保障も勘案した在り方等が提言されている。以下に述べる、次年度からの報酬改定が介護保険では大幅に削減される等、社会保障全般の抑制の中で、今回の見直しがどこまで障害者団体からの要望を反映したものにできるのか、今後とも注視したい。

 

■報酬改定について

現在、マスコミでも介護保険制度の報酬が大幅に削減された事について報道されている。「人員確保のためには処遇改善手当を設けており問題は無い」「頑張っている事業所、重度に対応している事業所には加算が設けられ問題は無い」と政府/厚労省は主張しているが、あまりにも現実を知らない。障害福祉サービスについては「総枠は維持された」と報道されたが、介護保険と同メニューは減、重度者への対応、グループホーム等は増、就労系では移行支援や工賃向上の成果が評価できる事業所には増など。細かく紹介できませんが、加盟団体に関わりがあると思われる障害福祉サービスの報酬改定の概要を以下に紹介します。

・介護保険に合わせて「居宅介護」は減。例:身体介護1時間 404単位→388単位

例:家事援助1時間未満 152単位→146時間

・重度訪問介護は微増。例:1~1.5時間 272時間→273時間  同行援護も同程度の微増

・重度訪問介護/支援区分6の人への加算・・・7.5% → 8.5%に増

・新設・処遇改善手当・・・居宅介護22.1%(←12.3%)  重度訪問14%(←7.8%)

キャリアパス要件全てに適合/平成27年4月以降に実施していること

・送迎加算の新設・・・13単位/一回(20人未満の事業所では定員の半数以上が利用等)

・生活介護・・・開所時間4時間未満の減算率の見直し(20%→30%)/4~6時間区分を新たに設ける

・生活介護・・・基本報酬が減(20人以下・・・区分6 1278単位←現行1299単位・・・11単位減)

・就労継続B型・・・基本報酬が減(20人以下・・・584単位←現行589単位・・・5単位減)

・就労継続B型・・・目標工賃達成加算の見直し(新設/69単位/一日)

・グループホーム・・重度者を重点的に報酬増

(区分4~6の重度者には約20単位増    区分1~3の障害者には1~2単位増)

 

■介護保険問題で厚労省が都道府県に通知

2月18日、厚生労働省は、各都道府県・政令都市・中核市の障害保健福祉部局に対し、「自立支援給付と介護保険制度の適用関係等に係る留意事項等について」の通知を出した。すでに平成19年度にも同様の通知は出されているが・・・「しかしながら、その運用に関して障害者の個々の実態に即したものとなっていない等の声も寄せられていることを踏まえ、各市町村における具体的な運用等についての実態調査を実施したところである」とし、調査結果を踏まえ、改めて通知されたものである。大きな変更はないが、要は個別の障害者の事情、希望、丁寧な説明等を十分に行うべきだとされ、また自治体によってはかなり不適切な対応が調査結果からも判明したため、より柔軟な対応を自治体に求めている。以下、「具体的な運用」の個所を下記に抜粋して紹介する。

 

「申請に係る障害福祉サービスに相当する介護保険サービスにより必要な支援を受けることが可能と判断される場合であっても、当該サービスの利用について介護保険法(平成9年法律第123 号)の規定による保険給付が受けられない場合には、その限りにおいて、介護給付費等を支給することが可能であることとしている。市町村においては、当該介護給付費等を支給する場合の基準を設けている場合であっても、当該基準によって一律に判断するのではなく、介護保険サービスの支給量・内容では十分なサービスが受けられない場合には、介護給付費等を支給するなど、適切な運用に努められたい。

また、障害福祉サービス利用者が要介護認定等を受けた結果、居宅介護サービス費等区分支給限度基準額の範囲内では、利用可能なサービス量が減少することも考えられる。しかし、介護保険利用前に必要とされていたサービス量が、介護保険利用開始前後で大きく変化することは一般的には考えにくいことから、個々の実態に即した適切な運用をお願いしたい。」

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