生きる場/作業所 グループホーム

【報告】 第2回事業所交流会の報告

【報告】 第2回事業所交流会の報告

昨年11月30日、「NPO法人拓人こうべ」を事務局とする「障害者の地域生活を支援する事業所連絡会」主催による、第二回事業所交流会が神戸市立総合福祉センターにおいて開催されました。初めて主に事業種別ごとに4つの分科会により行いました。不安もありましたが、後日、「とても良かった」との感想も寄せられ安心しましたが、まだまだ各事業所が抱える課題や制度そのものの限界や問題、県内の大きな地域格差、また本質的な障害者・家族と支援者との関係、事業体における運動的な展開や立ち位置、事業経営の困難さ・・・と課題は尽きません。次回、3月初旬~中旬に開催予定です。以下、各分科会ごとに報告します。


◎訪問系分科会(報告・星屋和彦:NPO法人自立生活センター神戸Beすけっと)

参加団体:8事業所(尼崎・西宮・神戸・姫路)

10名の参加

主なテーマ:人材不足/地域間格差/その他

まずは自己紹介していただき、その中で、会話の参考にと各参加者の勤続年数も含めて、簡単に一言をお願いました。年数としては、勤続3年の若手から中堅どころ、15年以上のベテランや代表職の人まで幅広く参加されていることがわかりました。いただいた一言の中で、自分の団体内だけでの情報や判断で活動していかないといけない現状についてちょっとした閉塞感があり、こういった交流会への期待感が数多く表明され、それだけ今は横とのつながりが少なくなっていることが伝わってきました。

次にテーマを決める話をしようかと思っていましたが、自己紹介の中ですでに、各参加者から問題提起がいくつかなされ、まずはそこから話していくことになりました。

①  人材について

自己紹介の中で一番多く出た話題が、人材確保について、というか、人材確保の難しさ・人材不足についてでした。とにかく人が足りないというのがほとんどの団体の大きな課題であり、その解決へ向けた取り組みが緊急の課題であるという危機感が伝わってきました。その中身を細かく見ていくと・・・

・事業所側(利用者のニーズ)とヘルパー側のミスマッチが起こっていてうまく回らない。

主婦層がヘルパー登録に来てくれるが、活動可能時間帯が限られており、利用者のニーズにマッチせず結局断らざるを得ないなどがあげられました。

・女性職員の確保が難しい(結婚等で辞めていく)、という意見もありました。

これらに対し、比較的うまくいっている事業所さんからの意見もありました。大きく二つに分けると、「学生とのつながりをつくる」と「重度訪問介護の資格研修を開催する」というもので、さらに言うとこの二つを連動させて人を集めて行くといったものでした。ただ、学生とのつながりは、地域差も大きいということで、周りに大学などがほとんどない地域ではそもそも難しいという問題はあります。また、重度訪問介護従業者養成研修の開催が必要という部分については、すでに開催していてうまくいっている団体もあるが、開催しているものの他事業所からの申し込みが多く、結局開催した自分のところには登録してもらえないといった困った現状も報告されました。

人材確保がうまくいっていない団体にしても、養成研修が大事だとはわかっている。けれども、忙しすぎてそれを開催する余力がなく、そのせいでまた新しい人との出会いも作れず、さらに人材不足で忙しくなる、という悪循環から抜けられないという悩みが出されました。これらの悩みに関して、解決に向けた取り組み策の例としても、活発に意見が表明されました。

・重度訪問介護従業者養成研修は、幾つのかの事業所が共同で開催できないか。

例えば、この交流会に参加している団体内で、すでに開催している団体に、余力がない団体が講師を一人でも出すなどして協力体制をつくり、関わりを持って開催していくなど工夫をすればなんとかならないだろうか。ただ、地理的に近くないと共同開催は難しい(今回の分科会参加団体は、西は姫路、東は尼崎と幅広かった)。

また、「共同開催した団体同士で、受講生の取り合いでケンカにならないように気をつけないとね」「事前に取り決め文書を交わさないとあかんかな」という笑い話にもなりました。

・学生の確保については、いきなり学生を「捕まえる」のはなかなか難しいので、つながりのある大学教員と連携して、そのゼミで資格要請研修のビラを配らしてもらうなどの人材の確保を行う方法も提案されました。

ここまでで、それなりに時間をとってしまったので、いったん話を区切り、次の話題に。

自己紹介で出た話題の中で、特に姫路・加古川の事業所からの問題提起として「地域格差」について話していきました。

②  地域格差

(主に阪神間・神戸と加古川・姫路との格差)

姫路・加古川の「こっちはこんな感じなんです」という現状報告に、阪神間からは「えーそうなんですか!」といったやり取りが続いた感じです。地域格差を大きくわけると、「自治体側のサービス運用の格差」、「事業所側の格差」になります。サービス運用の格差については・・・

・加古川、姫路ではガイドヘルプで日常の買い物が不可、阪神間・神戸では可

・ヘルパー時間数の上限:地域によって障害者に支給されるヘルパー時間数が違う。特に兵庫県の西方面(明石以西)は時間数が出ない。

これらは、明石を境に違いが大きくなっており、明石以西は「姫路方式」で厳しく運用されている、といった見識も表明されていました。

また、深夜帯にヘルパー時間がどれだけ出るかについては、地域によって異なり、西方面が厳しいのはもちろん、阪神間でも運用の違いが出ていました。

次に事業所の数、考え方の地域格差が上げられました。サービス運用の違い・自治体側の運用の違いについてはなんとなく耳にする機会も多いのですが、事業所の考え方の地域格差がある、ということも今回改めてはっきり認識されました。具体的には「そもそも加古川、姫路では障害者サービスの訪問事業所の数が少ない」「その上、介護保険の事業所が障害福祉サービスへ参入しているケースがほとんどで、そのために重度訪問介護の派遣でも介護保険のような扱いをする(見守り不可、短時間派遣のみ、など)」といったことでした。その結果、 姫路や加古川の障害者は、ヘルパー時間数を行政から支給されているのにも関わらず、事業所側が「その時間帯はすることないからヘルパーは必要ないですね」といって断ってくるためヘルパーがつけられないということになってしまっている。阪神間でも、介護保険からの参入事業者はありますし、介護保険的な考え方・運営をしているところはそれなりにありますが、姫路や加古川の話をきくと、まだ阪神間は事業所を選べる(介護保険的な事業所は選ばない)状況にはあるのかなという印象でした。

③その他の課題

その他の課題として、いくつか上げられましたが、今回は深くは話せませんでした。

・医療的ケアの問題

・介護者の高齢化

・介護保険対策

・相談支援事業との連携

・利用者(としての障害者)と、事業所コーディネーターとの関係作りの難しさ

特に、「利用者との関係性」についての話は、話し出すとどんどん広がっていきそうなテーマではあると思いました。ただ、個別事例について話すには守秘義務の問題もありますし、利用者への愚痴大会「そんなんあるある」になってしまうのも問題があると思います。困難だと思われたのに、地域生活を成功させている方の事例報告など、慎重な準備をしたうえで、聞く人が元気になって地域生活を目指していけるような場を作れたらいいのかな、と個人的にはおもっているですが。

 

【感想】

全体としては、普段なかなか触れることのできない各地域の特色が聞けたのは、兵庫県全域にわたるこの交流会の良さであり醍醐味かなと感じました。分科会の雰囲気としても、堅苦しくなくすごく話やすい雰囲気を全員で作っていただいた感じで、参加した方がそれぞれ活発に意見表明していただけていたのではないかなと思います。

今回は、今後の分科会につなげていくテーマをどんどんあげていく、というイメージで進めてきましたが、今後、何か1つテーマを決めて分科会を開いていくなら、そのテーマごとに「アドバイザー」的な人も招いて、最終的には「解決にむけた取り組み案」が出せて、元気になって帰っていけるような感じにしていった方がいいのかな、ということも個人的には感じました。

今回の分科会の終盤になり、各自言い残したことはないか聞いてみたところ、最後に出てきたのも回りまわって結局人材不足に関わることでした。

「自分の将来への不安がある」というもので、先輩はとてもいい人で、すごく一生懸命働いている。休みもほとんどないくらい働いている。それを見ていると自分もやらなくちゃと思うし、実際やっているが、正直キツイ。介助に行って、夜遅くに事務所に帰って請求事務までしないといけないことも多い。職員みんな限界まで頑張ってなんとかなっている状況。みなさんもそんな感じですか!?このまま10年後も先輩のように働ける自信がない・・・。という切実な訴えで、この場で解決策を提案できないことが本当に申し訳なくなるくらいの、危機感に満ちた問題提起でした。

ここには、介助現場の人材不足の問題から、事務の煩雑さの問題、事務専門の人を雇えるか否かという事業所運営と資金の問題、様々な問題が絡みあった悩みがあります。こういった問題提起に、今後この交流会や交流会で出来たつながりで、なんとか少しでも解決にむけた糸口が見つけられたら良いのにと切に思いますし、そのために何をしていけばよいのかも、考えていきたいです。

そして、人材不足に関わることに関しては、「地域の在宅で暮らす障害者の生活の良さと、それを支援する介助の魅力をどう伝えていけるかが大切なのでは」という意見があり、それが一番大事なのかなと改めて思いました。

 

◎グループホーム分科会(報告・栗山和久:障問連事務局)

参加者:3事業所 (姫路・淡路・明石)

4名の参加

内容:すでにホーム運営している事業所と今後の運営を予定している2事業所という構成もあり、主に事業運営の課題を中心になぜホームが必要なのかという本質的な問題や困難事例も含め話し合った。

主なテーマ:実践の報告、社会的ニーズ、グループホームの意義、休日の過ごし方、支援の質、現状・今後について

①  実践報告

既に実施している淡路の事業所から以下のような受け入れ事例の報告があった。

・救護院から出てきた方への支援を行政と協力して行った。

・お母さんが倒れ1年間ショートステイに行ったが、その後行き場がない方をホームに受け入れた

・家族全員が重度の糖尿病で、利用者さんも糖尿病でかなり医療的な面での配慮が必要

・目を離すと冷蔵庫からゴミ箱からとにかく物を出して食べまくる人がいるので目が離せない

②社会的ニーズ

・明石の事業所…触法性の障害者(累犯)との関わり。一人暮らしでは支援しきれない。そのような人を含めたホームのニーズは高いため、何とかホームを立ち上げたい。

・姫路の事業所…緊急ではないが当事者の親からのホーム設立の依頼がある。本人が50歳前ぐらいで母も高齢化を迎えている。ひびき福祉会の隣にある一戸建ての住宅(ホームには使えない)を活用した体験宿泊をボランティアの協力を得て月に2回程度行って、体験を積み重ねてきている。ただし、体験宿泊での手厚いサービスがホームで実際に提供できるのか、夜間の宿泊を伴うような支援の際の報酬、などの問題がある。また、近隣の県営住宅2戸のグループホーム利用(県のマッチング事業)については、地元自治会は歓迎している。ただし、県営住宅(3DK)の1室が基準を満たさず使えないこと、ベランダの間仕切りを取っ払っての使用になり目が届きにくくなること、また報酬面も考えると構想段階で赤字が見込まれ仕切り直しの必要がある。県営住宅は家賃が安い(18,000円)ため、それ自体は良いことだが、国と県・市町からの家賃補助を受けられないため、利便性や他の観点からも戸建賃貸物件もあるため、考え直したい。

③グループホームの意義

姫路の事業所から、「本来身体障害の人からいうと、自立生活、一人暮らしということを目指してやってきた。その中でグループホームというのはどうなのか。本当に本人が望むことなのか、あり方としてどうなのか」という問題提起があった。

淡路の事業所からは、以下のような意義があることを説明された。

・仲間同士でちょっといたずらし合ったりとか、結構楽しんでいたりする。

・親から離れた自分の暮らしを仲間と創るという面白さもあるのではないか。

・「緊急避難場所」としてのホーム…家族が当事者の年金を使ってしまい終われば生活保護になったり、また「ゴミ屋敷状態」など放っておくと本人の権利侵害になったりしている現実の中で、ホームが避難場所になり、食事・保清の保障あるいは通院環境の確保もできるなど権利擁護の場所にもなっている。

④休日の過ごし方

淡路の事業所からの報告では、淡路島ではヘルパー事業所がなくガイドヘルプはほとんど使えないという事情があり、通所が休みの土日には職員が対応せざるを得ない現状がある。

⑤支援の質

ホームにおける支援の質、たとえば支援者の姿勢という面の課題もある。職員によりやり方の違い等もあり、研修の必要性がある。

⑥現状・今後について

・障問連加盟団体でもグループホームの運営を行う事業体はどんどん増えてきており、グループホームは制度や報酬面がコロコロ変わり、いろんな意味で制度的な課題は一番多い事業と思われるが、加盟団体の中でも苦しいながらも何とか赤字にはなっていないとのこと。

・人材確保も含めていろいろな課題について、引き続き分科会の方では、すでに活動しているホームの方にも参加いただき、いろんな事例を報告してもらいながら深めていけたらよいと思う。

 

◎通所系分科会(報告・山田剛司:社会福祉法人えんぴつの家)

参加事業所:6事業所(西宮・神戸・明石・姫路) 6人の参加

自己紹介ののち、テーマを決めて意見交換をしました。内容報告に私の簡単な感想を添えて、通所系分科会の報告とさせていただきます。

①親(家族)とどう関係を作ればよいか?

「親と共闘できる関係をどう作ればよいか」という提起で始まりました。「共闘」というのは具体的対象があろうし、話も限定されてしまうので、広く「利用者の家族との関係について」ということで話をしました。

報告された事例では、共に生きる教育を実践しようと奮闘していた教師が、親の一言で自信を失くし、しかも障害者とかかわることすら投げ出してしまったケース、親にバザーを任せたところ、作業所を思って提供してもらった感謝すべき品物に対して「こんなものは売れない」など批評をしあっている親の姿を見てショックを受けた話などがありました。

更に、明らかに経済的虐待だと思われるケースの報告もありました。兄弟が金銭管理をしているが、本人に必要なお金を出してもらえず、事業所のイベント参加が難しくなるケース。同様に息子夫婦が管理していて余暇に必要なお金がもらえないケース。これらは明らかに経済的虐待だけど、実際対応していくにはいろいろ壁もある。直接職員が対応していくだけでなく、場合によっては相談支援員などを通じて状況をよくしていくことも必要ではないか、などの意見が出されました。

他には、「送迎時に自宅付近で大きな声を出されると(うちの子が障害者だとわかるので)困る」と言われたケース、「今日も4500円(一日分の単価)を連れてきたからよろしく」という親の話、最初から入所施設に子供を入れる計画で、その順番待ちのつなぎとしての通所系の利用が明白なケースなどが報告され意見を交換しました。

まとめ的な発言として、青い芝がかつて「親は敵」と言っていたように、親は障害児者の壁となってしまうものであるし、差別意識も持っているので、石川県の徳田茂さんの言うように「親の生き直し」が必要なのかもしれませんね、という意見がありました。一同納得し、その「親の生き直し」に私たち現場の職員がどのように関わっていけるのか、が課題であろうことが浮き彫りになったように感じました。

②職員間のコミュニケーション

日々の業務に追われる中で、職員間のコミュニケーションをいかに確保しているのか、日常業務に関わる話、更には理念やこだわりの共有をどのように行っているのか、について意見交換をしました。

日常の情報の共有については、朝の利用者が来る前の時間を使って行っている事業所がいくつかありました。ミーティングとして行っていたり、掃除をしながらまったりとした時間の中で話すなど、それぞれの事業所で工夫しているようでした。他にも記録を残してそれを読むことで共有したり、メールなどの手法を用いている事業所もありました。一人の障害者へのアプローチの仕方が職員間で違うとき(例えば背中を触られることで気持ちが不安定になる人に対して、触らないようにしてつきあうのか、触られることに慣れてもらう方向でつきあうのか、というような違い)、職員間でしっかりと話し合いができる環境が大切だ、という意見も出されました。これに関連して、ベテラン職員に対しては若手の職員はやはり自分の意見を言いにくいものだから、気をつけないといけないよね、という意見もありました(ベテラン職員が多かった?ので頷く人多し)。

理念やこだわりの共有については、どの事業所も苦労があるような印象でした。「地域で生きる」と行った時の「地域」の意味についてすらずれが生じたりしてしまう現実が報告されたりしました。そんな中、研修会や学習会を開いて、理念の共有や職員の意識を高める実践の報告がありました。外部研修に参加することで刺激を受け、それを日常に活かしていく方法も紹介されました。また昔ながらの?「酒を飲みながら・・・」という話もあり、なんだかほっとしました。

最初の話は家族との関係でしたが、やはり職員間の関係作りも重要なテーマだと感じました。障害者と関わることが「仕事」として定着している今日、日常業務(仕事)以外のことを考える契機はほんとに少なくなってしまったように思います。私たちが何にこだわり何を目指そうとしているのか、各自が見つめ、それらを仲間と共有していくことが今こそ求められているのではないかと感じました。

③利用者と職員(障害者と健全者)の距離

ふたつのテーマで意見交換したあと、まだ少し時間があったので、これまでの話の中で出た、「現在働いている事業所に入ったとき、利用者と職員の距離が近い!と感じた」という意見を取り上げ、このテーマについて意見交換しました。

この事業所交流会に参加している事業所の多くは、制度がまだほとんどなかった時代にその起源をもつところが多く、当時は「利用者と職員」という意識はなく、「障害者と健全者」あるいは「私とあなた」のような関係であったことが、新しい職員に「近い!」と感じさせる原因ではないかという意見がありました。その「近さ」をどう評価するかが議論のポイントなのかと思われました。「近い」ことを心配する意見としては、利用者が職員に対して依存するようになってしまう危険性が指摘されました。また、一見すごく親しそうに見えても、職員側の一方的な思い込みや自己満足であるかもしれない、という危険性も指摘されました。一方肯定的側面としては、制度上の仕事上だけの関係ではなくて、あたりまえの人間関係が「共に生きる」基本につながるのではないか、などの意見が出されました。

他にも、特定の利用者と個人的に遊びに行くのはどうなのか? その時に事故があった場合どうなるのか? 特定の職員とだけなかよくなる利用者がいることをどう評価するか、などの意見がありました。

時間の都合であまり話は深まりませんでしたが、今後ぜひみんなで話し合ってみたいテーマだと感じました。

④その他

意見交換には至らなかったけど、(事前アンケートも含め)意見として出されたものとして、

1.通所系だけの問題ではないので、運動として全体の課題として取り組むべき性格のものかもしれないが、事業所分布の偏りが、障害者に不利益をもたらす上に、事業所にも負担をかけていること。

2.規模の問題(小規模事業所と大規模事業所との違い)…大規模は管理的になってしまう傾向があるのではないか?

3.当事者のエンパワメントとそこに職員がどうかかわるのか?

4.単価制度(利用して○○円、休めば0円)がもたらす弊害について。

5.世代交代? 次世代を担う若手の育成? について。

6.グループホームについて、日中事業と同じメンバーになると、昼夜を通して同じ顔ぶれでの生活となるが、それってどうなんだろうか?

などがあり、今後の機会にぜひ話してみたいと思いました。

<感想>

・予定していたものではなく全くの偶然ですが、今回みんなで話したテーマは、親(家族)、職員、利用者(障害者)それぞれとの関係についての話でした。通所系だけの問題ではありませんが、それぞれの立場をどう認識し、いかに関係を作っていくのかは、結論は急がずとも、今後も議論されるべき大きなテーマであると感じました。

・通所系分科会は、参加者が6名だったのですが、司会役の私としてはちょうどいい人数で話しやすかったと感じました。

・「事業所そのものが必要悪で・・・みんなの中に普通に居場所があれば事業所は本来要らない」のような旨の意見がありました。ちょっとした枝葉のようなタイミングの発言だったので、拾うタイミングを逸してしまいましたが、すごく共感しました。本質的なテーマなのでいろんな意見が出てきそうですが、機会があれば議論してみたいと思いました。

・参加者全員が、「日頃話す機会のない他事業所の職員と意見交換できたことがよかった」「ぜひまたこのような場に参加したい」「いい刺激になった」などの肯定的感想を語ってくださり、2時間ほどの短い時間ですが、場を共有できてよかったです。

 

◎事業運営/経営分科会(報告・葛島立人:NPO法人拓人こうべ)

参加者:実際に経営に携わっている人とそれを見守ろうという人

参加事業所:6事業所(尼崎・伊丹・西宮・神戸・明石)

主なテーマ:労務、お金、職員の安全衛生、障害者の経営参画、雇用の位置づけ、今後への意見、感想

①労務

・有給休暇

各事業所の職員の有給休暇の状況/非常勤の扱い/登録ヘルパーの状況について情報を交換した。それぞれ悩んでいることがある。

伊丹の事業所からより、生活介護事業において、兵庫県の指定との関係で、人が余っているけど勤務させているという状況があるとの報告。行政に求められる員数体制があるために、利用者が休んでいるから非常勤の人は有給休暇を取得しても構わないのに、形式上居てもらわないと困る状況とのこと。これに対し、神戸では同様の事例はないとの指摘があったため、思い込みなのかあるいは市独自の状況なのかもしれないので調べてみると結論付けた。

・時間外の扱い

職員・非常勤・登録ヘルパーの時間外を、それぞれの事業所はどういう風に整理して扱っているのかについて情報交換した。

多忙や資金不足など様々な理由でできていない部分があるが、コンプライアンス(法令遵守)を経営に携わる人がどれだけ考えたほうがいいのか、どこは手を抜けるのかというさじ加減がある。法令を守らないことで事業所を潰すことがないようにどう事業所を守っていくかという面と、「事業所らしさ」や状況もある中で、対応や解釈などの情報交換ができると(事業運営の)舵取りの参考になるので、拠点を守るという意味で、いろいろ情報交換できていくといいという話になった。

・「グレーゾーン」の扱い

コンプライアンスというところでは、ヘルプでも「グレーゾーン」というものがある。活動内容の是非を言われている時に、「事業所らしさ」でやってしまうことがある一方で慎重に対応するということが障害者の周りには沢山あり、だから、「やってくれる事業所を探そう」という風潮がある。

それを経営者から見てどう捉えるかが問題で、各事業所がバラバラで対応していることのリスクを減らすために、変えた方がいいのなら実例を集めて、

 

場面での具体的な対応を決めて、行政に物申していけるような会話ができていくとよいとの話も出た。

②お金

各事業所における昇給・賞与・お金の貯め方について意見交換をしたいとの提案を受け、各事業所の賞与事情や昇級事情、また職員と非常勤と登録ヘルパーの状況について情報交換を行った。

個人の人生設計に関わる約束が労働契約であるので、ちゃんと計画的に約束することが大事だという意見が出たり、またなかなか整備できてない状況を参加者で交換した。また、退職金についても導入している事業所していない事業所があった。

お金の貯め方については、どこも貯まっていないとのことで、「貯め方が分からない」「税金を払って少しずつ貯める」「借金あるけどない!」などの意見もあった。その中で、引っ越しをする時にどうやってお金を貯めていくのかというところでは、近畿ろうきんの活用であったり、「ゆめのたね」を利用する等の方法も紹介された。自力だけでなく、力を借りてやることも道があり、実際にそれで引っ越した実例も報告された。

③職員の安全衛生

④障害者の経営参画、雇用の位置づけ

障害者の経営参画、障害者の雇用、障害を持った登録ヘルパーなど、これらをどう位置づけるか。

(各団体の実例)

・障害者スタッフを雇っている。

・登録ヘルパーに障害を持っている人が来たがなかなか仕事が渡せなくて結局ヘルパーを辞めた。

※障害を持っている人とともに生きるという志を持った団体が集まっているので、今後深められてよい。

⑤今後への意見、感想

・もっとみんなで情報交換がしたい

・詰め出すと細かい話が多いのでテーマを絞り、現場の参考になるような意見交換の場になるとよい

テーマの例=労務、お金、その他

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