オールラウンド交渉

神戸市 2014年度  障害者問題に関する要望書

障害者問題を考える兵庫県連絡会議

代表  福永年久

 

貴職におかれましては、障害者の権利実現を基本とし、自立支援ならびに社会参加の促進など障害者福祉向上のため日々尽力しておられることと存じます。

さて、国においては、昨年障害者差別解消法が成立し、今年に入ってついに国連障害者権利条約の批准が実現しました。一人ひとりの障害者が障害のない者と分け隔てられることなく共に暮らす社会を実現し、その人らしい人生や生活が実現できるよう、障害のある人が差別されることなく、「どこで誰と生活するかを決める権利」「障害のある者もない者も共に教育を受ける権利」等、権利を保障していく施策を、この神戸市においていかに実現していくのか、長期的な展望を持ち、かつ短期的には集中した積極的かつ大胆な施策展開が求められています。

現在、神戸市障害者施策推進協議会において「第4期神戸市障がい福祉計画」策定にむけて検討が行われていますが、障害者総合支援法に求められるこれから3年間の障害福祉サービスの数値目標は、改正障害者基本法や権利条約の理念を踏まえたものでなくてはなりません。計画2年目に施行される「障害者差別解消法」の実効性の確保や神戸市独自施策や権利擁護の仕組みを実施するためにも、神戸市独自の「障害者差別禁止解消」に係る条例を是非実現して頂くとともに、貴職が下記の具体的な要望項目にある諸施策を積極的に講じられる事を要望するものです。

【 1.教育 】

障害者差別解消法が約1年半後に施行され公立学校にも合理的配慮の提供が義務付けられ、また障害者基本法の理念を実現すべく、学校教育現場の役割は大変重要です。今後、神戸市においても、障害のある児童とない児童が地域の同じ学校で共に学べる教育環境整備に向け、以下質問ならびに要望します。

①   これまでも要望してきましたが、通常学級への就学において保護者の付き添いを条件とする事、また学籍に関わらず、登下校、通常の学習、また校外学習(活動)においても保護者の付き添いを強要または誘導する事は、障害のない児童と比べ不当な対応であり、あってはならないとの見解を神戸市教委として示していただき、各学校現場に周知徹底して下さい。

②   以下のような差別的な教員の対応があると聞いています。

・「(療育手帳)B1の子は特別支援学校が相当でしょう」(特別支援学級在籍児童の保護者に対して/中学)

・本人は友人を求めており通常学級との交流を希望しても特別支援学級の担任から「交流はしんどいから行かない方が良い」との発言(同上)

・「通常学級に居る以上、他の生徒と同じようにしか対応しません。特別扱いはできません」「(例:筆箱をわざと落とす行為、周囲の生徒の関心を引きたい行為に対して)してはいけません、基本ルールです」と、周囲に迷惑をかけないようにとしか指導しないこと(通常学級在籍児童/中学)。

口頭で改めて実態を述べますが、学籍に関わらず障害児童に配慮する事は当然必要だと考えますが、そうなっていません。また障害程度が重いのになぜ特別支援学校に行かないのか等の認識が教員にあるのではないでしょうか。神戸市教委としての認識を回答していただくと共に、昨年改正された学校教育施行令の意義や障害者差別解消法に関し、これまで、また今後、どのように現場に周知徹底されるのか、回答して下さい。

③   現在も特別支援学校へ通学する児童は増加しています。可能な限り障害のある児童と障害のない児童が共に教育を受ける、との障害者基本法と反する実態であると考え、また上記②にあるような通常学校での障害児童への理解や配慮がないために、通常学校への入学を希望したくても実現されないと私たちは考えます。神戸市教委としての見解を回答して下さい。

④   障害者差別解消法が約1年半後に施行され、公立学校にも合理的配慮の提供が求められます。神戸市教育委員会として今後どのような対応を予定しているか、各学校現場への周知徹底の方策など、今後の方針を説明してください。

⑤   普通学校における医療的ケアを必要とする障害児が保護者の負担なく安心して学校生活が行われるよう要望します。神戸市内の特別支援学校、通常の小学校・中学校・高等学校に医療的ケアを必要とする児童が何人在籍しているのか回答して下さい。また神戸市の小学校・中学校・高等学校そして特別支援学校の教諭のうち、「喀痰吸引等研修」をこれまで(平成26年度内 見込み含む)何人受講されたのか回答して下さい。

⑥   私達は高等学校においても障害のある生徒とない生徒が共に学ぶ教育を求めます。そのためにも定時制高校の存続を求めます。今後、神戸市内の定時制高校の再編や統合計画について回答して下さい。また大阪府では知的障害生徒を通常高校へ受け入れるためのコースを独自で設けています。神戸市教委として定時制高校を始めとする神戸市内の高校が、積極的に障害生徒を受け入れるよう施策を講じて下さい。現在、神戸市内の高校に在籍する障害生徒の人数を各学校ごとに回答して下さい。

 

【 2.保育について 】

①  学童保育の必要性は、全般的に高まっていますが、とりわけ障害児童の場合、小学校高学年以降も学童保育のニーズが高く柔軟な対応が求められます。今回関連法の改正により、学童保育の対象が小学校6年生まで拡大されました。既制定の学童保育基準においても、障害児童を対象とするように示されていますが、現状の受け入れ状態を事前に示していただくとともに、関連法改正にともなう高学年障害児童の受け入れについて今後の見通しを明らかにしてください。

②学童保育児童の送迎について、移動における安全性を確保されるべきと考えます。登下校は親と学校の共同責任といいつつ、親のボランティア探し頼みというのは、見つからない時、親の負担が大きく、学童利用断念されるケースも少なくありません。親が安心して子育てや労働を行えるよう、学童送迎に対する相談や対処はどこが行うのか、明らかにして周知する必要があります。こども家庭局における見解をお尋ねします。

③障害児童受け入れ助成金の増額が必要です。安全対策で人員を必要とするケースに関して重度加算を設けるなど、人員が必要なケースに充分対応されているか、調査を行うなど積極的な検討を行ってください。

 

【 3.街づくり・交通・移動について】

①  一日当たりの平均利用者数が3000人以上の鉄道駅において、平成32年度までにエレベーター・スロープ等の整備が原則、すべて整備されることとされている。神戸市内の昨年度からの進捗状況について資料をもって事前回答されたい。

②  ホームドア又は可動式ホーム柵の整備を進めてください。今年の末頃を目処にJR六甲道駅において、昇降式ホーム柵が試験設置されると聞いていますが、市内におけるホームドア、ホーム柵の整備に関する進捗状況を報告してください。また転落防止のためという名目で駅員付き添いでなければホームに行くことを許されず、長時間待機させられる事例などが発生しています。設置されるまでは人員をホームに配置するなど、早急な対応を切望します。神戸市バリアフリー基本構想に、「国の指針に準じ、今後の導入について検討を進める」とありますが、その後の検討状況を説明して下さい。

③  神戸市バスの運転手について、車イス固定器具の扱いの不手際だけでなく、障害者に対してバスの出発が遅れるので、早めに来て待っておくよう発言する、杖利用者が着席する前の急発進など苦情があとをたちません。問題のある運転手の名前を確認しての個別指導と毎年回答がありますが、よりふみこんだ対応が必要なのではないでしょうか。運転手の研修にバスユーザーである障害者を講師に招いて話をきくなど、より実践的な研修をおこなうこと。運転手全体の研修が難しければ、一部の営業所の接遇研修にバスユーザーを招くなどモデル実施の実現を具体的に検討すること。

④  福祉乗車パスについて昨年4月からICカード化されました。ICカードになる前は、紛失した時、手続きを行えば即日再発行されていましたが、今は、カード会社に紛失の連絡をいれた上で、年度内1回限り仮カード発行、カード会社から再発行が2週間かかるようになりました。年内2回目以降の紛失については、仮カードの発行はなし、再発行は有料とのこと。ICカードになって少しずつ制度後退しています。仮カード発行を拒否する窓口もあり、翌日から移動を自己負担している例もあり現場は混乱しています。現在どのような対応がされているか、いたずらに仮カード発行の拒否事例がないか調査した上、障害者に不利益のないよう対応を統一周知してください。今年に入って、介助者パスの単独利用記録のある障害者に一斉に警告文章を送るなど、対応が乱暴な印象をうけます。視覚障害者や知的障害者がパスの区別がつかないこともあり、悪意の有無については丁寧な聞き取りが必要です。福祉乗車制度は、私たちが地域で自分らしい生活をおくるために必要不可欠になっています。福祉乗車制度の後退のない存続と丁寧な運用を強く要望します。

【 4.労働について 】

市職員採用において「自力勤務」条件の見直しをすること。障害者権利条約を批准し、厚労省は「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会」の報告書を取りまとめました。その中には「直接差別を禁止」(車いす、補助犬その他の支援器具などの利用、介助者の付き添いなどの社会的不利を補う手段の利用などを理由とする不当な不利益扱いを含む)としています。また、「障害者欠格条項をなくす会」の全国調査においても、47都道府県20指定都市42中核市の207試験において、11%の自治体が「介護者なしで職務遂行できる」を受験資格からはずしています。「自力勤務」は公務員試験の当然の条件ではありません。このような現状を鑑みて、障害者雇用を積極的に推進するべき市当局として、毎年の回答である「不特定の職場が想定されるため、介護を要する身体障害者の採用ができない」を見直してください。

 

【 5.自立生活支援に関して 】

1. 介助に関連して

①   障害福祉サービス支給量審査基準(以降ガイドラインと呼ぶ)について

ア.ガイドラインの公開

神戸市のガイドラインは、一部数値のみしか、神戸市ホームページで公開されていません。県内の多くの他市ではホームページで公開されています。障害をもつ人が今後どのように地域で生活していけるのか、そのためにはどのような支援が受けられるのか、本人家族にとって大変 重要なものです。支給決定権者は神戸市当局にありますが、現在「障害福祉サービス等利用計画」作成の義務付けにもあるように、またご本人の自己決定の重要性が謳われているにもかかわらず、支給量審査基準を公開しない あり方は大変問題です。早急に全面公開をしてください。

イ.重度訪問介護の支給量

障害の重い人が地域で生活し続けるためには「見守り」も含めた長時間利用を可能とする重度訪問介護が重要な施策です。しかし、現在のガイドラインでは、最重度な障害者でも279時間とされています。一日約9時間の利用しかできません。近年、和歌山県でも同問題を巡る訴訟がおこされ、裁判所が原告の主張を是とした判決が下されました。また県内でも、ガイドラインについては格差が存在していますが、阪神間では1日24時間介護保障が実現されていたり、ガイドラインで500時間近い支給量が示されている市もあります。2014年4月からは、重度訪問介護の対象者が拡大され、知的障害者、精神障害者も対象となりました。現行のガイドラインでの対応は困難だと思われ、改定の必要があります。重度訪問介護の支給量審査基準の改定を行ってください。

ウ.  深夜帯の支給のあり方

障害者の「どこで誰と暮らすかを決める」権利を保障するためには、「地域での一人暮らし」をきちんと選択肢として保障しなければなりません。重度障害者の地域での一人暮らしを考えるにあたっては、深夜帯の支給について現実的な基準が必要です。現在のガイドラインでは、「ALSのため1時間ごとに吸引が必要」な人以外は22時~翌6時の間2回から3回、3~4.5時間と書かれているのみで、これを受けて窓口では、「命の危険のある人以外は泊まり介護は認められない」等と説明され、多くの障害者の一人暮らしを阻んでいます。市内に深夜巡回業者は数事業所しかなく、それでも一人暮らしをめざす場合は、現金負担、ボランティア対応で深夜滞在する事業所探し、不本意なおむつ装着などで独力でのりきるしかない状況です。重度障害者が一人暮らしを実現できるイメージをもてるよう早急にこの部分の書き直しと窓口運用の見直しを行ってください。

エ.訪問看護との併給関係

訪問看護との同一時間の併給の禁止は撤回して下さい。本来、訪問看護師と介護者との役割は異なります。他市では認められています。

オ.非定型審査会の開催

各区ごとにどのように運用されているのか、各区ごとの昨年度の非定型審査会開催数を回答して下さい。希望申請時間数がガイドラインの数値の1.5倍を越えると、審査会にかける必要があるため、1.5倍でおさまるように抑制的に窓口・支援センターが相談にのっている傾向があります。

カ.ガイドラインの改定

ガイドラインの数値は2006年に国庫負担金と各障害程度区分の利用実績の平均数値をもとに作られており、その後全く変更されていません。生活を支える基本的な基準を示す数値になっていないため、各区でより一層困難を招いています。また、家族介護を前提とした数字設定にも問題があります。昨今の制度改革の理念をふまえて、障害者が安心して望む暮らしをどうすれば実現できるのか、その一点でガイドラインの数値見直しについて、障害当事者、支援者、関係事業者、有識者等によって構成される検討会の立ち上げを強く要望します。

②  介護保険について

65歳を迎えた障害者について、介護保険の申請を強要しないこと。障害特性をふまえた制度利用と、生活実態を丁寧にききとり、柔軟な対応をおこなうこと。介護保険利用により生活が後退している事例がないか神戸市として調べて、その結果と現状の認識を説明すること。また特定疾患のあるものは40歳以上が対象となっているので、それに該当する障害者についても実態を把握し、適正な対応を求めます。神戸市においては介護保険対象者で「不適合」と判定された場合、障害程度(支援)区分によらず、一概に「軽度」とみなして居宅介護の支給(通院も含む)が一律20時間とされていますが、その根拠を示してください。

③相談支援について

サービス等利用計画作成が義務づけられ、神戸市でも計画にもとづく支給決定が始まっていますが、現在の運用状況を回答されるとともに、「サービス利用計画」を作成する相談支援事業者に対して、支給基準のガイドラインを上限とした計画作成を行わないよう指導してください。

また相談支援事業者が少なく、ほとんどの聞き取りを支援センターが行わざるを得ない実態の中で、丁寧な聞き取り、意思決定支援がなされてません。神戸市として相談支援事業者をどう増やし、相談支援の質を担保していくのか、今後の相談支援に関しての見解をお聞かせください。

④ 移動支援について

ア、    移動支援事業の一律時間数決定について

現在のような一律の時間数支給ではなく、一人一人の生活ニーズに基づいた時間数の決定をできるようにすること。社会生活上不可欠な外出については、32時間を超えて支給決定ができることを各区に周知すること。現在32時間を超えて支給決定を行っている障害者の人数を明らかにすること。

また実際定時制に通う知的障害者が通学・通所に関して制度を使えない事に関して困っている事例もきいています。通学・通所に関して柔軟な運用を行ってください。

イ、    移動支援の人材不足・事業所不足について深刻な状況は続いている。移動支援事業についての利用者証の発行人数・利用者人数・派遣時間数・事業所数を示して、神戸市の見解を明らかにすること。

⑤  同行援護および通院等介助について

ア、 視覚障害者はただ安全に移動できて目的地に着けばいいというだけでなく、目的地に着いてから何をするのか、適切な情報保障がなければ目的は達成されません。そのような「移動+情報保障」という障害特性による支援の必要があるからこそ移動支援から同行援護に変わりました。ガイドラインが上限でなく、本来の制度の趣旨に則った運用が各区でされるよう指導して下さい。

イ、 同行援護および通院等介助を利用して通院を行う場合、院内介助について「基本的には院内のスタッフにより対応されるべきものであるが、場合により算定対象となる」と厚生労働省通達にあります。大病院外来などでは、院内スタッフによる介助をうけることが難しい場合が多くあります。通院先の状況をふまえて丁寧な支給決定を行うと共に一律の病院内での中抜きはしないように各区に指導されたい。

ウ、    移動支援から同行援護に変わり、事業所の撤退が全国的に危惧されています。今年10月より同行援護事業者のサービス提供責任者に、同行援護応用課程の研修が義務付けされることにより、更なる撤退が予想されます。市内の同行援護事業者の実態を調査し、その対策を講じるようにしてください。

エ、    通院等介助において、一度の外出で複数の通院を行うことは認められない旨、間違って本庁が指示をだしている事例がありました。各区・相談支援事業者に訂正を周知するとともに、実際に生活している障害者の利便をふまえて、丁寧に問い合わせに応対するようあらためてください。

⑥施設入所障害者の移動支援利用について

ア、    地域移行を促進していくためにも、施設入所者の移動支援は必要だと考えるのか。

現在の市の認識を説明すること。入所者本人が地域移行したいと思うためには、地域社会で様々に経験することが必要であり、市として地域移行をより一層促進していくために、どうはたらきかけていくかを明らかにすること。

イ、    兵庫県下では、平成23年度に7市6町において施設入所者の移動支援が実施されている。神戸市においても実施にむけて調査され報告されたい。

ウ、    今、現在施設入所者が個人で負担している費用の例を挙げると、

例1:A施設入所者1時間1500円 月25時間利用/合計50000円

例2:B施設入所者1時間1500円 月20時間利用/合計30000円

これだけの費用を負担しても満足いく移動支援は行われていない。この現状を市としてはどう考えているのか。見解を明らかにすること。早急な制度化を切望する。

⑦入院時コミュニケーション支援

入院時コミュニケーション支援事業において、どんなに重度で家族支援が不可能な当事者も、支給決定時に「コミュニケーション可」と認定されれば、この施策の対象とはならないとされてきた。4月から障害程度区分が障害支援区分になり、厚生労働省が出した障害支援区分の認定マニュアルが改定され、コミュニケーションの項目についても「できたりできなかったりする場合」は「できない状況」に基づき判断する、となった。支援区分への変更により、コミュニケーション支援の認定にどのような変更の指示をだしているか、明らかにすること。また、入院に至る体調不良の状況により、コミュニケーションが無理になる場合等もあるので、その都度の聞き取りをしっかり行い対象者を柔軟に適用できるように、要綱等の改善を行うこと。昨年度の回答では、時間数の拡大より対象の拡大を検討しているということだったが、その後の進捗状況を回答してください。

 

2. グループホームについて
①グループホーム数及び地域偏在

神戸市におけるグループホームの数は、計画通りに推移しているのか、進捗状況をあきらかにすること。特にグループホームは北区・西区に偏在し、東部地域で極端に少ない「地域偏在」が認められます。東部地域で、グループホームの確保にどのような施策を講じてどの程度進展しているのか、区ごとの目標数値と進捗状況の数値をあげて説明して下さい。

 

グループホーム等の分布状況        
  定員 箇所数 人口 人口比 定員比 箇所数比
東部4区 49 12 584,164 37.9 9.9 11.2
東灘区 8 2 213,094 13.8 1.6 1.9
灘区 9 2 134,878 8.8 1.8 1.9
中央区 32 6 129,467 8.4 6.4 5.6
兵庫区 9 2 106,725 6.9 1.8 1.9
西部3区 96 23 483,420 31.4 19.3 21.5
長田区 28 6 98,749 6.4 5.6 5.6
須磨区 28 8 164,508 10.7 5.6 7.5
垂水区 40 9 220,163 14.3 8.0 8.4
北西部 343 72 472,928 30.7 69.0 67.3
北区 172 39 224,236 14.6 34.6 36.4
西区 171 33 248,692 16.1 34.4 30.8
総計 497 107 1,540,512      

(数値はH25年度の神戸市ホームページによる)

②公営住宅でのグループホーム開設について

公営住宅を活用したホームの設置はどのような状況にあるのか昨年度からの進捗状況と、今後の計画について回答して下さい。

③「建築基準問題」

グループホームの新設にあたり、建築基準で寄宿舎扱いになるため、せっかく時間をかけて探し当てた物件が却下されている問題で、神戸市が新たに建築安全条例を一部改正することが決まりました。規制が緩和されグループホームが作りやすくなることには賛同しますが、寄宿舎扱いされる以上、防火壁の改修など多額の費用がかかることにかわりはありません。グループホーム新設に対する補助金の状況と今後の見通しを明らかにしてください。補助金の継続とホーム新設にあたっての柔軟な対応を要望します。

④ホーム入居者のガイドヘルプ利用

通所施設等が休みの土曜・日曜・祝日・盆正月等において、共同生活ではなく、個人の余暇活動外出をホーム職員が担うことは実質困難であると私たちは考えます。また、ガイドヘルパーを利用して個別支援と組み合わせて対応するには、どんなに重度な障害者にも一律に32時間は厳しい数字です。なんとか社会生活上必要不可欠外出として32時間を超えて支給出来ないか相談しても、週末の日中支援は世話人の仕事だからと断られるのが実情です。ホーム利用者に対しても状況に応じて、生活上必要不可欠なガイドヘルパー外出を認めてください。

⑤ホーム入居者のホームヘルプ利用

グループホーム・ケアホームの一元化にともない、介護サービス包括型になったグループホームの利用者が、個人単位でホームヘルプ(居宅介護・重度訪問介護)を利用した場合に、そのグループホーム全体が包括型から単価の低い外部委託型になる、包括型のままなら個人単位の利用は今年度末までしか支給できないなど、現場は混乱しています。もしそうなら明らかな制度後退です。ホーム入居者が安心して生活できるよう、従来どおりホームヘルプの個人利用が継続できるようにしてください。また、重度訪問介護対象者が知的・精神障害者に拡大されました。ホーム入居者についても、室内だけでなく、外出についても重度訪問介護で支給決定を行えるはずです。重度障害者が、グループホームとホームヘルプをくみあわせて地域生活が実現できるよう柔軟な運用を行ってください。

⑥ホームの段階的入居に関するホームヘルプ利用

実家で居宅介護を使っていた障害当事者が、週何日かグループホームを利用するようになった場合、居宅介護が支給されなくなるケースの報告を受けています。住む場所の移行は0か100ではなく普通段階的なものです。利用計画にもとづき、少しずつホームに移行する方法も選択肢として保障するべきだと考えます。どのような根拠に基づいて実家でのホームヘルプとグループホームの併給を禁止したのか、明らかにしてください。

 

【 6.生きる場・作業所について 】

近年指摘し続けてきたことだが生活介護事業所は北区・西区に偏在し、東部地域で極端に少ない事態は改善されていない。

昨年東灘区に生活介護事業所が開設されたがすでに受け入れ余地は少ない。中央区にも新設予定だが、東部問題として私たちが指摘してきた事態に対し、神戸市が主体的な施策を講じた結果とは言い難い。

またこうした大規模法人施設の建設は、施設から地域へという時代の趨勢に適わないばかりでなく、地域のニーズに即応した受け入れ態勢を準備するという課題には適していない。時宜に適った社会資源準備にかんしてより適性がある小規模な事業所設立を推進する環境を整備するよう強く求める。

 

生活介護事業所の分布        
  定員 箇所数 人口 人口比 定員比 箇所数比
東部4区 441 20 584,164 37.9 16.7 24.7
東灘区 103 6 213,094 13.8 3.9 5.6
灘区 144 5 134,878 8.8 5.5 4.7
中央区 60 3 129,467 8.4 2.3 2.8
兵庫区 134 6 106,725 6.9 5.1 5.6
西部3区 624 23 483,420 31.4 23.6 28.4
長田区 145 8 98,749 6.4 5.5 7.5
須磨区 235 8 164,508 10.7 8.9 7.5
垂水区 244 7 220,163 14.3 9.2 6.5
北西

1574 38 472,928 30.7 59.6 46.9
北区 928 22 224,236 14.6 35.2 20.6
西区 646 16 248,692 16.1 24.5 15.0
総計 2639 81 1,540,512      

(数値はH25年度の神戸市ホームページによる)

 

【 7.その他】

1.地域生活支援拠点について

昨年12月の社会保障審議会障害者部会において発表された「地域生活支援拠点」について、地域における多様な民間の社会資源の底上げがなければ、区にまたひとつずつ大きな施設ができて、それをもって整備済みとされてしまうことを危惧します。支援センターにたよりすぎた結果、現在の相談支援の行き詰まりが生じている二の舞になってしまいます。地域生活支援拠点の整備は、区ごとに丁寧な社会資源の底上げと同時進行に検討されるべきと考えますが、神戸市の見解をあきらかにしてください。

 

2.差別解消禁止条例について

地域におけるあたりまえの生活と共に生きる社会の実現のためには、実効性のある仕組みづくりが肝要です。2年後の差別解消法の実施にむけて、神戸市における差別解消禁止条例について、早期の実現を強く要望します。現在の検討状況を説明して下さい。

 

以上

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