差別問題一般

【女性活躍推進法】 活用? 活躍? 貴重な労働者? 問題行動? 特別教室?

【女性活躍推進法】 活用? 活躍? 貴重な労働者? 問題行動? 特別教室?

栗山和久(障問連事務局)

 

「活用を するものなのか 女性って」(9月13日毎日新聞掲載 川柳)

現在、臨時国会に「女性活躍推進法」案が上程されマスコミでも大きく取り上げられている。同法案の理念、また6月に公表された政府の「日本再興戦略」を見れば、何のために女性が活躍することを期待されているのかは如実に示されている。それは、「我が国の経済社会の持続的な発展」のため、「労働人口を維持し労働生産性を上げていけるかどうかが、日本が成長を持続していけるかどうかの鍵を握っている」からなのだ。

浜矩子さん(同志社大学教授)は、毎日新聞10/18、「『女性の活躍』の魂胆は~有効利用宣言の果てに~」と題したコラムで以上の点を指摘され、さらに続けて以下のように述べられている。

「日本で指導的地位を占める女性の割合はお話しにならないほど低い。だから、それを引き上げようというのはいい。だが、問題は背後にある意図だ・・・どうも現政権は、このテーマをいわゆる『人的資源』の過少利用問題としかとらえられていない」

「女性が指導的地位につくことに、かくもバリアーがある。そこには、やはり人権問題がある。そう受け止める発想がどこにも見受けられない。女性を巡っては、女性の貧困問題という実に大きな人権上の大きな課題もある。先進国と呼ばれながら、その名に恥ずべき状態がある。それは資源の過少利用問題ではない。人間の尊厳や生存権に関わる問題だ」。

兵庫県障害福祉審議会での次期プラン案の中に、「障害者を取り巻く現状」として、「生産年齢人口の減少」→「就労促進による社会保障の受け手から貴重な労働者としての障害者観への転換」とされている。「経済発展」のため女性や障害者を「貴重な存在」とし「活用」するという。社会や労働現場が、これまでどれほど「女性としての性」や「障害」を否定し傷つけてきたのか。その反省もなく「活躍して下さい」と言う、それ自体尊厳を傷つけるものだ。「貴重な労働者になれない障害者」「活躍できなかった女性」は、どうするのであろうか。

さらに浜氏も指摘する「女性の貧困問題」は「子どもの貧困問題」にも通じる。10月17日毎日新聞報道では、「全国の小学校での暴力行為が1万件を越えた」と大きく報じられていた。文科省による「問題行動調査」による。約10年で5倍以上増加。そして大阪市では来春から、問題行動を起こした児童を出席停止とし、別の施設に設置する特別教室に移し厳格に指導するという。現場教員からは「邪魔者扱いと受け取られ逆に傷つける」「規範意識は集団生活の中で身につく」と疑問の声を上げている。また、同紙では「・・・『問題行動』というが、その行動は、むしろ学校教育が抱える問題点や家庭、大人社会のありようを色濃く反映したもの」と指摘している。「問題行動」を起こす児童を排除する学校教育は、障害児童の居場所も特別支援学校へと追いやっている。

また、この国の「貧困問題」の一つの本質が、最低生活基準を下回るにも関わらず、最後のセーフティーネットである生活保護制度を利用していない(できない)人が多く存在する事に示されているにも関わらず、社保審では住宅扶助や冬季加算の減額に向けた検討が行われ、また10/28報道では財務省は来年度予算編成で生活保護費を引き下げる案を既にまとめている。さらに、介護報酬の減額に向け財務省は強い意向を示し、しかし一方では「女性活躍」のためには「介護離職」を減らすと政府は言う。

新たに喧伝される施策は、より競争を激化させ、分断と新たな格差を生じさせる危険性があると強く感じる。

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