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【国の動向】 障害者政策委員会、財政制度分科会の動き

【国の動向】 障害者政策委員会、財政制度分科会の動き

障問連事務局


■内閣府障害者政策委員会、障害者差別解消法に基づく基本方針まとめる

さる10月20日(月)と27日(月)に、それぞれ第16回、第17回となる内閣府障害者政策委員会が開かれ、障害者差別解消法に基づく基本方針の「素案」(20日)と「案」(27日)について議論がなされました。ここではそれらの概略を示し、その評価を行いたいと思います。なお、資料と当日の会議の様子は内閣府障害者政策委員会のホームページからご覧になれます。

20日の会議では、「素案」について議論がなされました。まず、障害者差別の解消に向けた基本的な方向について、差別解消法制定の背景と基本的な考え方について述べられました。そして、障害者差別の解消に向けて、行政機関と事業者とが共通で講ずべき措置、行政機関が講ずべき措置、事業者が講ずべき措置について述べられました。そこでは不当な差別的取り扱いの禁止や合理的配慮の提供について議論がなされた模様です。最後に、障害者差別の解消に向けたその他講ずべき措置について述べられたようです。

27日の会議では、20日の「素案」に関する議論を受け、「案」作成に向けて修正の議論がなされたようです。その議論は、障害連FAXレターによると、活発なものであるとはいえなかった模様です。合理的配慮義務規定を、当事者の意思表明があった場合に限るという意見や、障害者の範囲に、家族を含めるかどうか、また、差別解消支援協議会への当事者参加も議論にあったようです。当事者委員や、委員長は障害者差別解消を推し進めようとしていますが、事務局のコメントは、法律条文との整合性や、国会審議を踏まえたものでなければならないなど、やや消極的なものであるという印象を受けました。

 

■財務省主計局、財政制度分科会開かれる

政策委員会と同日である10月27日に、財政制度分科会が開かれた模様です。気になる動きかと思いますので、ここで簡単に触れておきたいと思います。資料は「財政制度分科会(平成26年10月27日開催)資料一覧」から入手できます。年金、生活保護、それに障害福祉という、障害者の生活にも直結する論点が出されたようですが、紙面の関係で障害福祉に絞ってお知らせします。

障害福祉とりわけ自立支援給付の予算の伸びが指摘され、その原因として実利用者の増加、事業所数の増加が挙げられています。利用者負担がゼロの者が93.3%であるということも指摘されています。それを受けて、「障害福祉サービス等については、利用者数が急増する中、サービス内容や事業所の運営主体が介護保険と類似する点があることも踏まえれば、介護保険と同様の考え方に立って、経営状況等に基づき報酬水準の適正化を図る必要があるのではないか」という提案がなされています。同様なことが、27年度に向けた課題としても挙げられています。就労支援に関しては、資料を見る限りにおいては、具体的な提案はなされていない模様です。

今後の視点として、「サービス提供を効率的なものとすることにより、制度を持続可能なものとすることが重要」という文言もあります。もちろん、そのような視点が大事であることは言うまでもありません。しかし、「効率的」「持続可能」という言葉のもとに、障害福祉を介護保険的なものに近づけていこうとしているようにも思います。また、障害者の生活を考えると、利用者負担がゼロであったとしても、なんとか少ない収入でやりくりしているのが実情でしょう。たとえ月1000円程度の負担増であっても、それによって何かを我慢せざるを得なくなります。そうした障害者の生活や、実際のニーズを踏まえたうえで、制度改革はなされていくべきものなのではないでしょうか。引き続き、財政制度分科会も注視していきたいと思います。

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