差別禁止条例

【兵庫県障害福祉審議会への意見書(意見概要)】

兵庫県障害福祉審議会への意見書(意見概要)】

藤原久美子(特別委員)

所属:障害者問題を考える兵庫県連絡会議

以下、分科会を踏まえ、計画ならびにプランに反映させていただきたい意見の概要、その理由等を記した資料、併せて意見書として提出させていただきます。何卒、よろしくお願い致します。

 

■政策決定過程での当事者参画

国連の障害者権利条約では、『Nothinng  about  us  without  us(私たち抜きに私たちのことを決めないで)をスローガンに掲げ、当事者参画がなされました。それは国の障がい者制度改革推進会議(現・政策委員会)においても踏襲され、基本法の改正、総合支援法および差別解消法の成立を行いました。

兵庫県においても「障害者主体」「自己決定の支援」といった施策を推進するために不可欠な当事者参画を課題として認識してください。障害種別を異にする当事者はもちろん、当事者団体の長には、まだまだ男性が多い傾向にあります。ジェンダーバランスのとれた委員構成にするためにも、特に女性障害者が参画できるように配慮する必要があります。

 

■ジェンダー視点

すべての施策においてジェンダー視点が欠落しています。

これを改善するために、上記で述べたように県や市町村の審議会に障害のある女性の立場で活動している当事者が参画することが不可欠です。

また実態調査について、一部についてでなく、すべての項目において性別ごとの集計分析をすることが、障害のある女性の実態を明らかにすることとなり、効果的な施策を策定することが可能となります。

また性別や年齢、地域などの偏りのない調査を行うためには、単に無作為抽出するのでなく、性別・年齢、地域ごとの抽出が必要です。

[参考]改正障害者基本法第十条「(施策の基本方針)障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策は、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、かつ、有機的連携の下に総合的に、策定され、および実施されなければならない。」

(注)ただし、性別といっても女性には家事・育児支援、男性には就労支援といった旧来の性別役割分担に基づいたた施策を講ずることではありません。

 

■プランの基本理念

【共生】

障害のある人が分け隔てられることなく、地域社会の一員として差別されることなく、その権利が保障され安心して暮らせる社会の実現。

【自己決定】

障害のある人が必要な支援を受けながら、自らの決定に基づいた生活が実現でき、社会のさまざまな活動に参加できる社会の実現。

※提案理由

○障害者基本法の目的に則り、障害者差別解消法の理念を盛り込む。

○「共生」を「自己決定」の先に位置付ける。社会的障壁等を除去し「共生」の環境を整備した上で、障害者の自己決定が促進されるため。

 

■プランの視点

①必要な人には意思決定支援を保障し、障害のある人が自分で決定を行える環境を整え、その結果を尊重し実現していく視点

②障害特性等に配慮し、障害を持つ本人のセルフヘルプ(自己実現)・県、市町による公的支援・住民間の自主的な支援等、当事者本意の総合的な支援を実践する視点

③障害のある人が、住み慣れた地域で自分らしく生きる権利が保障され、差別のないユニバーサルな社会をつくりあげること。

※提案理由

○国の第3次基本計画に則る。

○「自助・共助・公助」は、特に「自助=他の力に依存せず,独力で事をなすこと」と誤解されやすく、旧来の障害者観が垣間見られる。他も分かりやすく表記。

○県の案③にある、「ストレスなく」の文言は不要ではないでしょうか。障害を持たない人間も、自己実現の過程や他者・社会との関わりでは一定のストレスを有します。障害者基本法や障害者差別解消法に示されるよう、権利性を明確にした視点が必要と思われます。

 

■プラン/計画の推進体制・・・新計画の1年目が障害者差別解消法の周知、2年目に施行され、また改正障害者雇用促進法の精神障害者の雇用義務化が4年目に施行されるなど、大きな改変があり、当審議会において、随時計画の見直し等の検討が行われるようにすること。

 

【各テーマごとの主な意見】

■基盤整備

〈実現したい事〉・・・障害のある人が地域社会での生活基盤を充実する事。

○相談支援の量的拡大と共に「本人中心支援」に基づくサービス等利用計画の作成を通じた質的向上。

○県内に大きな格差のある居宅介護・移動支援等の支給基準の是正のため県による広域的な取組み。

○障害の重い人でも、居宅介護、重度訪問介護等を利用した「一人暮らし生活」実現のため、ピアカウンセリングやILPを通じた自立生活支援の展開。

 

■教育・社会参加分科会

〈実現したい事〉・・・障害のある児童が、「年齢・能力・特性に応じた十分な教育」を、「合理的配慮」を通じて、在住する地域校区の学校で「共に教育が受けられるよう」にする事。

○通常学校で学ぶ事を可能とする、介助員・支援員等、種々の教育条件を計画的に拡充する事

○現在実施される「インクルーシブ教育システム構築地域モデル~スクールクラスター事業」を全県下に発展的に拡充し、各市町に「合理的配慮協力員」を配置し、通常学級で共に学べるよう、学校・教員への指導、教材研究等に努める事。

 

■しごと支援

〈実現したい事〉・・・障害のある人の一般就労の拡大。

○各事業者への差別的取り扱いの禁止ならびに合理的配慮の導入促進を通じた環境整備

○経済的自立の促進のため、どうしても就労が困難な人、無年金の人へのセイフティーネットの啓発

 

■くらし支援

〈実現したい事〉・・・障害があるから特別な暮らしではなく、障害のない人と同様に地域生活を実現していく視点を持った施策を講じる。

○障害の重い人でも、選択肢として「一人暮らし生活」が実現できるような施策。

○本人が希望しない長期入院、長期入所は早急に改善されるよう、地域移行促進のため、移動支援制度を県と市町の共同事業により実施する事。

○グループホームの建築基準に係る課題を解決し、小規模でも街の中に「家」としてホームが存在できるよう積極的な支援を実施する事。

 

■安心安全

〈実現したい事〉・・・障害のある人の権利が擁護され、合理的配慮を提供できる実効性ある施策の展開

○障害者差別解消法の実効性確保のため、兵庫県独自の差別解消に係る条例制定

○条例制定に向けた検討会を今審議会内又は障害福祉部局に設ける事。

○平成27年度、同法の周知期間における県下各圏域または各市町毎の啓発取り組みを、県と市町の共同事業として取り組む事。

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