新聞記事から

【報道】 新聞記事より

■野田事件:きょう再審請求 弁護側「証拠バッグは別物」/千葉

毎日新聞 2014年07月14日 地方版

http://mainichi.jp/area/chiba/news/m20140714ddlk12040029000c.html

 

野田市で1979年、小学1年の女児(当時6歳)が行方不明になり、古井戸で遺体が見つかった「野田事件」で、殺人と強制わいせつ致死の罪で懲役12年の判決が確定した青山正さん(66)=大阪府在住=が14日、千葉地裁松戸支部に再審請求する。有罪認定の決め手として証拠採用された女児のバッグが、科学的な鑑定の結果、女児のものとは別物だったとする「新証拠」を提出する。青山さんの弁護団は「バッグが捜査機関にすり替えられた可能性」を指摘し、裁判のやり直しを訴える。

79年9月11日、同市瀬戸の古井戸の中で女児の遺体が見つかり、死因は窒息死とされた。18日後、近くに住んでいた青山さんが逮捕され、同支部は懲役12年を言い渡した(93年に最高裁で確定)。

公判では、知的障害がある青山さんの訴訟能力や、捜査段階の自白の信用性が争われた。1審の第14回公判では、検事から反省の有無を問われた青山さんは「本当は殺したんじゃねえもの」と口にしたが、その後再び起訴内容を認めるなど変遷した。

今回の再審請求にあたり、弁護側は法医学の専門家に鑑定を依頼。青山さんの「自白」内容と、当時の鑑定書に記された女児の頭の陥没状況に矛盾があるとの結果を得た。陥没痕について検察側は「自白」を元に「女児を井戸に投げ込んだ後、上から石(重さ15キロ)を落としてできた」としていたが、専門家の鑑定は「鈍器のようなもので殴らないとできない」などとする内容だった。

弁護団によると、女児の赤いバッグについても不可解な点が複数ある。女児の氏名が書かれた部分の布片が切り取られ、青山さんの定期券入れから見つかった--というのが最大の証拠とされた。だが、取り調べの様子を録音していたテープを確認すると、警察官は当初「定期入れには何もなかった」と言っていたのに、しばらくして「布片が見つかった」と青山さんの追及を始めていた。さらに、事件発生直後に警察が報道機関に公開した女児のバッグの写真と、法廷に証拠品として提出されたバッグは形状や柄が異なるといい、公判段階から弁護団は「警察が逮捕後にすり替えたのではないか」と指摘してきた。

 

 

 

■佐賀市、身障者を解雇 採用方法に疑問の声

佐賀新聞2014年07月12日 09時58分

http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/83199

 

佐賀市が昨年の職員採用試験で、身体障害者の採用枠に応募した市内の男性(24)にいったん合格通知を出しながら、採用直前になって「能力を見極めたい」と非常勤で雇用、2カ月間の試用期間後に解雇していたことがわかった。男性の支援者らは「本人の能力は採用試験の段階で判断すべき。障害者雇用のモデルとなるべき行政が、社会参加の意欲を摘んでいる」と疑問を投げ掛けている。

男性は中学生時代に脊髄を損傷、手足にまひがあり車いすを使っている。国立大学を卒業し、昨年、身体障害者を対象にした佐賀市の職員採用試験を受けた。

12月に合格通知が届いたが、その後、市人事課から2、3月に計2回呼び出しを受け、面接でトイレの失敗がないか聞かれたり、机の上に並べられたバインダーやホチキスを使えるかを試されたりしたという。

面接後、同課は「職務遂行の能力を判断したい」として、4月から2カ月間を試用期間として非常勤職員で採用。男性は配属先の課で ファイルとじやパソコン入力などの事務作業に当たった。試用期間経過後、市は「総合的に判断し、業務遂行はできないと判断した。採用を見送らせてほしい」 と、男性を解雇した。

男性は「大学でもパソコン入力や資料作成などの作業は問題なかった。正式採用を前提とした措置だと思っていたのに…。また就職活動で1年間を棒に振ってしまう」と肩を落とす。

身体障害者枠の採用試験は、健常者の一般事務Bと同一で筆記と面接があり、障害に特化した内容ではないという。市人事課は「実際に職務がこなせるか、採用試験の面接ではわからなかったため、試用期間という形を取った。周囲の職員からの聞き取りなどを踏まえ、本採用すべきかどうかを判断した」と説明する。

障害者雇用促進法では、事業主の責務として、障害者である労働者が有する能力を正当に評価し、適当な雇用の場を与えることなど努力義務を規定している。

障害者雇用に詳しい佐賀女子短期大学の前山由香里講師(健康福祉学)は「職務を遂行する能力は採用試験で把握すべき内容で、合格を決めた以上、市は本人の能力が発揮できるよう配属先を考慮し、さまざまな支援措置を講じる必要がある」と話す。

■入居支援:心の患者、住まいで笑顔 岡山の不動産会社社長ら、自立促す

毎日新聞 2014年07月28日 東京夕刊

http://mainichi.jp/shimen/news/20140728dde041040042000c.html

 

自ら選んだ家に住むことは、心に病気や障害を持つ人が自立して生きる力になる−−。

岡山市北区の不動産会社社長、阪井ひとみさん(55)は、この信念で精神科の患者らに部屋のあっせんを続けている。退院後の受け皿がないため長期入院を余儀なくされる患者も多い中、地域で暮らすための先進例として注目されている。【山崎明子】

阪井さんは岡山市内を中心に約1000戸の物件を管理し、精神障害の人ら約450人に住まいを提供している。成年後見に携わる弁護士らと2008年、NPO法人「おかやま入居支援センター」を設立。医療や福祉関係者も参加し、チームで精神科の患者らの入居支援に取り組む。

地域での暮らしに必要なサポート体制を整えるとともに、不動産業者単独では難しい信用や協力も得ている。

多職種で支援する阪井さんらの取り組みは珍しく、精神科病院の長期入院者の退院を進める厚生労働省の検討会でも好事例として紹介された。

阪井さんの支援のきっかけは18年前の経験だ。「誰かが俺を殺そうとしている」とあっせんした男性から電話があり、精神科病院を受診させた。その後、病院から、患者の退院後の入居支援を相談され、過酷な現状を知った。

風呂やトイレが壊れたアパートの一室をあてがわれている人、畳も壁も朽ちかけているのに生活保護の支給額の上限に近い家賃を払わされている人。風呂などの修繕は大家の責任だと指摘すると「善意で貸している」と言い返されたことも。住人に転居を勧めたり、理解を示す大家や保証人を探したりした。手入れされた家に住むと、悲観的な考えだった人も3度の食事を取り、入浴し、表情も明るくなってくるという。同市内にある7階建て賃貸マンションに2年前、単身で入居した男性(36)は17歳で統合失調症を患い、今は服薬とデイケアに通いながら暮らす。「親と同居の時は病気が原因で親に当たることもあり、発作で入院したこともあった。今は同じ境遇のご近所さんもいて精神的に安定できている」と話す。

厚労省によると、国内の精神科病床は約34万床で、約32万人が入院。1年以上の長期入院は約20万人に上る。

 

 


■障害のある子、入園の壁 「普通に申請させて」親が市長に要望書

朝日新聞デジタル 2014年7月18日05時00分

http://www.asahi.com/articles/DA3S11249615.html

 

保育園や幼稚園に通って、元気に成長してほしい、友達と同じように――。そんな願いが見えない壁にはばまれ、悩み、苦しんでいる人たちがいます。障害のある子を育てる親たちです。

「申請しないよう圧力をかけられることなく、普通に申請書を出したい」「公正に審査してほしい」千葉県で暮らす2組の家族が、保育園の入園について市長あてに要望書を提出した。今年1月のことだ。

その1人、30代の会社員女性は、ダウン症のある長男(3)を育てている。

この女性によると、長男が生まれた2011年春、市の職員に「(障害児が)保育園に入れるのは歩けるようになってから」と説明を受けた。健常の子どもは乳児でも入園できるのになぜ、と思った。後になって「歩ける」要件は存在しないと知った。

第2子を妊娠、育休を継続した。昨年秋、4月からの入園について再び市に相談した。職員に「入園はギャンブルみたいなもの」などと言われたという。悪くすれば園で取り残されるなどして子どもに良くないから申請はやめたほうがよいという「誘導」だと受け止めた。

障害児の親たちがつくる団体に相談した。同じような経験をした親と一緒に、申請書の受理や公正な審理を求めることを決めた。

市の担当課は朝日新聞の取材に対し、「関係部署に聞き取りしたが、(親たちが指摘する)不適切な発言はしていない」と反論した。ただし、職員の説明不足で誤解、混乱を招いたことは認め、「不確定な情報で保護者を混乱させないよう、適切な対応を指導した」と説明する。

女性の長男はこの春、保育園に入園できた。入園するとすぐ、自分で服を脱いだり着たりできるようになった。「ほかの子に助けてもらいながら楽しく過ごしている。差別を受けることなく、一緒に育つことが当たり前になってほしい」

■「どこに行けば…」退園迫られ孤立感

首都圏の自治体に住む会社員女性(36)は10年春、生後7カ月だった長女(4)を認可の私立保育園に入れた。しかし3週間で退園を余儀なくされた。

女性によると、心身の発達の遅れは園側に伝えていた。だがすぐに「この子がいると保育士のストレスになる」と言われ、退園を迫られた。自治体に相談すると転園を勧められた。職員は「待機児童が多いので保育園に強く言えない」と言ったという。

東京23区に住む母親は、学区内にある幼稚園すべてに入園を断られた。「この子はどこに行けばいいんですか、と役所に聞いたら『ご自分で探してください』と言われた。ほかの受け入れ先の情報ももらえない。社会から無視されている気がした」

同じく二つの幼稚園から発達障害のある長男の入園を断られたという母親は「親自身も、障害のある子への対応にいつも不安を抱えている。さらに追いつめられ、自分を責め、気持ちが乱れた」と振り返る。

■支援計画、自治体任せ

保育園に入れない待機児童は全国2万人を超える。この待機児童問題のかげに隠れているが障害児の保護者にとってはさらに狭き門になっている。

厚生労働省によると12年度、認可保育園では5万788人の障害児を受け入れた。全児童の2%にあたる数で、その数は少しずつ増えてはいる。ただし、受け入れ保育園は1万4658カ所で、約6割にとどまる。保育士の増員や障害児枠の有無など、自治体による違いもある。

一方、幼稚園は義務教育でないため、障害児の受け入れは原則、園側の裁量となる。就学前の障害児には市区町村が実施する児童発達支援事業を利用する選択肢もある。だが預けられる日数や時間が限られている現状もある。日本福祉大副学長の近藤直子教授(障害児保育)は、「障害児の受け入れ先すべてが貧弱な中で、行き場を失っている親たちがいる」と話す。

来年度に始まる子ども・子育て支援制度でも、障害児受け入れの具体的な支援計画は市区町村に委ねられる。近藤さんは「障害を受け入れられない親もいる。当事者が声を上げにくい政策を地方任せにするのは誤りだ。受け入れ数の目標値を定めるなど、国が政策を誘導する必要がある」と話す。(田中陽子)

■一緒に給食「おいしいよ」 名古屋市、父母の声で保育枠増

名古屋市立富田第三保育園は、0~5歳児102人のうち7人が障害のある子だ。5歳児クラスの給食の時間、子どもたちは障害のある子に「食べないの?」「おいしいよ」と声をかけていた。佐藤明美園長は「先生の対応をまねて、子どもたちは自然に身につける」と話す。

障害児受け入れについては、自治体によって、あるいは幼稚園や保育園の責任者の考え方によって、対応に大きな開きがある。名古屋市は1979年度から、全公立保育園で障害児を受け入れている。1園につき3人が目安だった「枠」は10年度に4人、今年度から5人に増えた。親たちの要望を受けたものだ。

市公立保育園父母の会に障害児部会ができたのは93年。毎年アンケートを行って200人近くの声を集め、市の担当課と話し合い、署名活動や議会への請願も重ねてきた。「親同士がつながり、リアルな意見を制度にいかしてもらうことが大事」と、事務局長の山田加奈子さんは話す。

 

 

■精神障害者の割引進まず…鉄道3割・バスも地域差

読売新聞(ヨミドクター) 7月3日(木)15時37分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140703-00010000-yomidr-hlth

 

障害者手帳による交通運賃の割引を精神障害者にも適用している事業者は鉄道の場合、3割にとどまり、大手はどの社も適用していないことが読売新聞の全国調査でわかった。

路線バスは7割の社が適用している。身体・知的障害は全社が半額割引を基本にしており、精神障害者は取り残されている形だ。

精神障害者の割引進まず…鉄道3割・バスも地域差大きく

各社のホームページの記載、自治体や業界団体の情報、個別の問い合わせなどで全社の制度を調べた。鉄道158社(ケーブルカーを除く)の中で、精神障害者にも割引するのは46社。うち43社は中小私鉄や第3セクターだ。JR6社、大手私鉄16社は適用せず、「新たな福祉割引は国や自治体の負担でやってほしい」などとしている。公営の地下鉄でも適用は仙台市だけ。東京都や政令市の多くは、住民に限り、福祉予算で精神障害者を含めて無料パスなどを出しているが、交通事業者としては身体・知的障害にしか割引していない。

一般路線バス(高速バス、空港バス、コミュニティーバスを除く)は、450社のうち328社が精神障害者にも割引を適用、8社が一部地域で適用している。ただし地域差が大きい。25都県は全社が適用だが、山梨、愛知、愛媛、大分はゼロ。岩手、栃木、神奈川、京都、大阪、兵庫、高知、福岡も遅れている。

国土交通省は「障害の種類で扱いが違うのはおかしく、精神障害者にも割引を適用するのが望ましい」とし、各社に理解と協力を要望している。バスでは2012年7月に標準的な運送約款を改正して精神障害者も割引対象に加えたこともあり、適用する社が拡大したが、鉄道は同様の制度がない。事業者への補助などは検討していないという。

◆栄セツコ・桃山学院大教授(社会福祉学)の話

「国は3種類の障害の一元的な扱いを進めている。日本も批准した障害者権利条約は障害者が負担しやすい費用で移動できる措置を求めており、社会参加を促進する意味でも扱いの差をなくすべきだ。社会全体で解決方法を考える必要がある」

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