資料集

兵庫県障害福祉計画について

■兵庫県障害福祉計画について

(1)パブリックコメント

平成24年から3年間の兵庫県障害福祉計画がパブリックコメントを経て決定された。障問連加盟団体からも意見が県に届けられたが、パブコメ全体でも43件(7団体・1個人)の意見が寄せられた。障問連事務局として提出した意見と県からの回答の一部を紹介する。

◎(入所待機者について)・・・「県としては、地域移行を推進しており、重度障害者は施設に入所すべきとの方向性を示したものではありませんが、誤解を招かないように表現は修正します。

「障害の重い入所待機者を解消」→「真に入所が必要な方の待機状態を解消」

◎(兵庫県障害福祉審議会)・・・「計画を策定する県障害福祉審議会には障害種別毎に当事者団体3名、当事者3名の計6人の参画を得ており、当事者の意見を反映する機会を設けていますが、当事者の委員を増員するか否かについては、今後の検討課題とさせていただきます」「審議会の開催は2回ですが、その間に、委員が所属する団体を含め個別にヒアリングを行ったり、委員から個別に意見を聴取するなどにより、計画案をまとめ、その結果を審議会で議論いただいており、十分な審議ができていると考えています」

その他、「兵庫県に差別禁止条例を制定すべき」→「現在、国において差別禁止法を制定する動きがあることから、県としてはこの動向を見据えつつ対応したい」。

 

(2)第三期兵庫県障害福祉計画

計画の詳細な紹介と批判まではできないが、紹介するように県内には都市部と郡部とに大きな地域格差、社会資源の格差が顕著であり、県の計画でそれは認識されながらも有効な県主導の施策は見受けられない。そもそも、障害者基本法が大きく改正されたにもかかわらず、基本法が義務付ける障害者計画「ひょうご障害者福祉プラン」は「・・・既に改正基本法の趣旨に沿ったものである」との認識自体に問題がある。以下、主な課題について資料も合わせて紹介する。

●地域移行について

・(計画)「親世代の高齢化が進む中で、入所待機者への支援が大きな課題。親元からの独立が可能な人を支援するとともに、真に入所が必要な人の待機状態を解消していく」

・(計画)「グループホーム・ケアホーム・・・平成23年度のサービス実績量(見込み)は1744人分で、設定した見込み量の約62%に留まり、ニーズに応えられていない」

・(計画)「施設入所者は、平成26年度末までに5060人(10%減)となることを目指すが、真に入所が必要な人の将来の新規入所に備え、原則として定員数を維持する」

・(計画)「入院中の精神障害者の地域移行・・・①1年未満の入院者の平均退院率は約70% ②1年以上の入院者の平均退院率は約20% いずれも全国平均を下回っている」

【評価・批判点】

・入所しか選択肢がないために待機せざるを得ないのは何故か、との根本的な分析がない。また、居宅介護・重度訪問介護等を活用した自立生活の実現については、そのような文言すら見受けられない。困難でも本気で推進するなら、学齢期から共に同じ学校で学ぶことを推進していくことを通じて、「共に生きる」住民意識を推し進めていき、それが社会資源の拡大へとつながって行く方向性を示すべきである。

・(計画)「目標達成のための推進方策」の「検討課題」として、「入所中・入院中からの移動支援・コミ二ケーション支援等の訓練的利用」が上げられている事は、一定評価したい。長期入院・入所している人にとって、地域生活・社会の体験は奪われてきた「権利の回復」と位置付けられ、「訓練」ではない。障問連としても要望している今施策を今後、県がいかに主導し市町が実施していくのか、財政的な援助も含め、県として取り組んでいくべきである。

【施設入所者数の各圏域の数値】

  2006年時 2012年度末見込み 地域移行者 新規入所者(※)
神戸圏域 1330人 1241人(-89人) 129人 40人
阪神南圏域 775人 753人(-22人) 53人 31人
阪神北圏域 447人 527人(+80人) 74人 154人
東播磨圏域 535人 570人(+35人) 88人 123人
北播磨圏域 316人 330人(+14人) 40人 54人
中播磨圏域 641人 664人(+23人) 62人 85人
西播磨圏域 460人 507人(+47人) 36人 83人
但馬圏域 315人 331人(+16人) 36人 52人
丹波圏域 169人 143人(-26人) 47人 21人
淡路圏域 186人 171人(-15人) 54人 39人

※・・・上記表の第一期計画作成時(2006年)、第二期計画実績(2012年度末見込み)、地域移行者数は計画「第6章 障害保健福祉圏域計画」に掲載される数値です。表末尾の「新規入所者」数は事務局で計算したもので、死亡された方等の有無は不明なため正確ではありません。

※・・・地域格差は如実に表れていますが、各圏域ごとの人口割合等も考慮しないと評価はできません。数字だけを取り上げ評価することは好ましくありませんが、「地域での共生」が謳われ、長年にわたり「脱施設」に取り組んできた障問連としても、これが現実であることを認識し今後の活動の根拠とする意味でも、あえて紹介しました。

●就労支援

(平成18年度から23年度)

・新規就労者・・・11808人   離職者・・・9393人 → 離職率が高い

・就労移行支援(685人分 達成率57%)  就労継続支援A型(407人分 達成率約70%)

一般就労者は増加しているものの、①福祉施設からの移行者の割合が低い ②知的・精神障害者の特性に応じた仕事が少ない ③離職率の割合が高い。

●障害福祉サービス

・居宅介護等・・・圏域の平成23年度の実績量が全県平均の7割を下回る6圏域(北播磨・但馬・西播磨・淡路・丹波・東播磨)を中心に、介護保険事業所等への働きかけにより、基盤整備する。

・グループホーム等・・・平成23年度において事業所を確保している市町は71%(29市町  12市町は設置されていない)にとどまるため、住宅確保の支援、地域住民の啓発、事業者の参入を図って行く。

・相談支援・・・平成23年度において相談支援事業所を確保している市町は73%(30市町  11市町は設置されていない)に留まっているため、新制度に対応するため事業者の参入促進する。

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