オールラウンド交渉

2011年度 神戸市への要望書

2011年9月28日

神戸市長

矢田 立郎 様

神戸市教育委員会

永井 秀憲 様

障害者問題を考える兵庫県連絡会議

代表  福永年久

 

2011年度  障害者問題に関する要望書

 

貴職におかれましては、障害者の権利実現を基本とし、自立と社会参加の推進など障害者福祉の向上のため日々尽力しておられることと存じます。

さて、国会では障害者基本法の改正がようやく成立し、いよいよ総合福祉法(仮称)への制定へと動き出そうとしています。何よりその基調として国連・障害者権利条約の理念、すなわち障害のある人もない人も平等な権利が保障される社会の実現が求められます。どんな障害を持つ人でも地域で生活する事、同じ場で共に学ぶインクルーシブ教育の実現、その他情報保障、就労保障等、全般にわたって、その権利が保障されなければなりません。

一方、今年3月11日に発生した東北・関東大震災による甚大な被害に対し、神戸市行政としても最大限の支援をされていることと思います。私たち障問連も阪神大震災における障害者救援に尽力し、また全国的な支援を受けた経緯からも、加盟団体による支援活動が継続して行われています。未曽有の災害ではありますが、残念ながら障害故にその生命が断たれた人がいます。改めて災害時においても障害者がその生命・生活が保障されるためにも、地域社会でその人の存在がしっかり認識され、安心して暮らせる十分な支援基盤が必要である事が、今回の震災からも明らかになっています。また、震災復旧に伴う国の財政難による地方交付税減額があった場合でも、神戸市における障害福祉施策の後退はあってはなりません。

国における制度のあり様が、どのように変わろうとも、神戸市において、どんな重い障害を有していても、権利主体として、その人の意思や希望が尊重され、地域でその人らしい地域生活や、地域で共に学び共に働くことを実現していくこと、そのためのシステムを社会に構築していくことはますます求められます。すでに平成24年度からの第3期神戸市障害者福祉計画策定のため、第2期計画の現状分析、今後に向けての基本的な考え方、数値目標・サービス見込み量について検討が行われている事と思います。しかし、地域移行は本当に進んでいるのでしょうか。地域移行にあたり、地域で生活できる社会基盤・社会資源は十分にあるのでしょうか。地域以降をうたいつつ、現実には新たな施設入所者が増加している神戸市の現状を直視していかなければなりません。人生にもう一度はありません。その人が地域生活する権利、選択できる権利が当たり前に保障されなければなりません。

また、一方インクルーシブ教育の推進が求められているにもかかわらず、小さい頃から障害児と健常児が同じ教室で共に学び共に生活する環境が神戸市で整備されているとは言いがたい現実があります。改めて神戸市における共生教育の理念、実現へのビジョンを神戸市が示すことを強く求めるものです。

このような障害者施策を神戸市全域で推進していくためには、神戸市障害福祉行政が果たすべき役割

 

は大変大きく、私たちの今回の要望内容を盛り込んだ第3期障害者福祉計画を策定して頂くよう強くお願いするものです。今回、精神障害者問題について、別紙のように要望させていただきます。精神障害当事者にとっては約半日の話し合いは激務になります。例年どおり別途時間を取っていただくようお願いいたします。以下、具体的な施策について要望させていただきます。

 

【はじめに ~障害者計画】

①  7月29日、参議院において改正障害者基本法が可決されました。障害者基本法に定められる「障害者計画」も各自治体において、改正基本法の趣旨に則った改正が求められますが、神戸市として「神戸市障がい者保健福祉計画2015」の改定について、どのように検討されるのか、回答されたい。国における今回の基本法改正は、根本的な改正であり、神戸市としても、十分その趣旨に則った改訂が求められます。

 

【 1.教育 】

①   改正障害者基本法には、「年齢・能力に応じ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるよう、障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ・・・」とある。6月16日国会衆議院での質疑に対して文科省副大臣は「可能な限り同じ教室で共に学ぶ事を目指すもの」と答弁している。神戸市教育委員会として、「共に生きる教育指針」(仮称)を策定して下さい。または、特別支援教育推進計画の中に、ノーマライゼーションの実現を図るべく、「同じ教室で共に学ぶ教育」の実現を目指すための条件整備等も含めた長期計画を盛り込んで下さい。

②   障害児の通学・就学に関して、地域の普通校への通学にも必要な施策を講じること。私たちが毎年要望しているにもかかわらず、遠足・修学旅行等の学校外の活動において、保護者に付き添いを求める学校があると報告を受けている。校外活動においても責任は学校にあり、保護者に介助させたり、責任を押し付けることはあってはならないとあらためて各小中学校に文書でもって通知されたい。

③   友生養護学校が兵庫区に移転し、「友生特別支援学校(仮称)」として2013年に開校予定とされ、また知的障害部門が設置される。また神戸市北区にある県立神戸特別支援学校(知的障害)にも2013年度から肢体不自由部門が設置、2012年からは、神戸市立青陽須磨支援学校に肢体不自由部門が設置されるなど、特別支援学校も大きく再編されていくと聞く。なぜ専門的教育の確保が謳われ、障害種別の学校を設置していたのに、「複数障害」に対応する学校へと改変されるのか。特別支援教育は、本来、既成の「障害」でなく、全ての児童には個別に多様な教育的ニーズがあり、分離でなくインクルーシブな教育として実施するべきものであるにもかかわらず、そのような本来の趣旨から逸脱し、財政効率を優先させた施策だと私たちは考える。これまでをどう総括した上で改変

されるのか。

④   普通学校における医療的ケアを必要とする障害児が保護者の負担なく安心して学校生活が行われるよう、医療行為有資格者の確保及び医療機関との連携など、市教委として責任を持って必要な施策を講じること。普通学校を希望したら医療的ケアが十分に保障されない事態は、本人・保護者の学校選択権を侵害するものであり早急に是正されたい。

⑤   市立楠高校には、約40人の障害生徒が在籍している。市教委としてどう評価するのか。同校の実績を、他の神戸市内の高校が学び、積極的に高校に障害生徒を受け入れるよう市教委として施策を講じること。

【 2.保育について 】

①学童保育の必要性は、全般的に高まっているが、とりわけ障害児童の場合、小学校高学年以降も学童保育のニーズが高く柔軟な対応が求められる。小学校高学年以降の障害児童の学童保育への受け入れが、どのような実態にあるのか示されたい。また毎年確認している、「高学年であっても状況に応じて、学童保育責任者の判断で受け入れ可能な場合があること」を、保護者にも周知すること。

 

【 3.街づくり・交通・移動について】

①   公共交通機関の駅舎・ターミナルのバリアフリー化について、具体的に民間事業者の駅舎等の改築に際して、障害者・車椅子ユーザーの意見を踏まえた改築等が図られるよう、県として何らかの手立てを講じること。

②   平成23年3月31日、国土交通省等より示された「移動円滑化の促進に関する基本方針」には、一日当たりの平均利用者数が3000人以上の鉄道駅において、平成32年度までにエレベーター・スロープ等の整備が原則、すべて整備されることとされている。神戸市内の駅舎において、該当する駅舎等はどこであり、今後約10年間、どのような計画で進められるのか回答されたい。

③  視覚障害者にとって、駅や公共施設の出入り口に音声ガイドの設置、音声信号機は必要であり、地域住民などに視覚障害者への理解も促進しつつ、その普及を徹底すること。特に、神戸市営地下鉄では、音ガイドがついているものの、「音だけ」であるため、その音が何を意味するのか(トイレである、とか切符売り場である、など)知らないと全く意味をなさないガイドになっている。音だけのガイドではなく、何があるのかを言葉でアナウンスする音声ガイドにしてください。

④  平成23年3月31日付で国土交通省から「移動等円滑化の促進に関する基本方針」が示されています。その中でも、ホームドア又は可動式ホーム柵の整備を進めていくことは重要であると明記されています。ホームドア又は可動式ホーム柵は、視覚障害者にとっ

てだけ重要なのではなく、お年寄りや子供、体調不良の人など多くに人の転落防止にも重要であるという認識を持って整備を早急に進めてください。

⑤   精神障害者が、公共交通機関・タクシーを利用する際の運賃割引の現状に関して、神戸市としての見解を明らかにすると共に国ならびにJR・私鉄各社に対して働きかけること。

⑥   公共施設以外の民間店舗等においても、障害者が自由に利用する環境整備は必要である。それを促進するため市としての啓発を行う事、ならびに店舗等がバリアフリー化を行う場合、改修費の補助などの援助施策を検討されたい。また、新店舗等の完了検査、また中途段階の際に、バリアフリー化されているかどうかチェックできるよう建築指導できる施策を講じること。

⑦   神戸市バスの職員・運転手研修内容について、私たちをはじめ、地域でバスを利用している障害者とともに検討すること。とりわけ運転手の研修にバスユーザーである障害者を講師に招いて話をきくいなど、より実践的な研修をおこなうこと。運転手全体の研修が難しければ、一部の営業所の接遇研修にバスユーザーを招くなどモデル実施の実現を具体的に検討すること。

 

【 4.労働について 】

①   市職員採用において「自力勤務」条件の見直しをすること。不特定の職場が想定されるため、介護を要する身体障害者の採用ができないと昨年度回答があったが、障害者雇用を積極的に推進するべき市当局として、検討を重ね、模範を示すべきである。また、毎年要望しているよう、採用試験について、点字試験や音声パソコンによる試験など、障害に配慮した試験方法等、行政が率先して実施すること。

②   市職員における知的・精神障害者を含む障害者の採用計画を策定すること。現在行われている実習の成果と課題を明らかにすると共に、正規採用につながる実習受け入れを検討すること。とりわけ精神障害者採用について行財政局の見解を明らかにすること。

③   神戸市第2期障害福祉計画における就労支援目標数値136人以上(単年度)について、現在の進捗状況を明らかにし、どのように現状分析されているのか、何が就労を阻んでいると認識されているのか、またそれを踏まえ第3期計画の策定に際しては、どのような施策を講じられるのか回答されたい。また、企業等の雇用者側に対して職場での障害者への理解促進や障害者が働ける環境整備を促進するために、労働組合・雇用主・経営者団体に働き掛け「障害者と共に働く研修会」の開催、またとりわけ精神障害者が安心して働ける環境として、フレックス制や集団就労など、先進的な取り組みを実施する企業への援助など、市としての有効な施策を示されたい。

④   精神障害者の就労支援、特に就労した後の支援について現状と今後の見通しを示すこと。とりわけ社会適応訓練事業について、一般就労への定着率を明らかにするとともに、事業終了後の支援について市の見解を示すこと。

 

【 5.自立生活支援に関して 】

1.住宅に関連して

① 民間住宅の障害者への入居拒否がなくならない現状があり、またグループホーム(ケアホーム含 以下同)の設置にも民間賃貸物件や自力での新設には多くの限界があり、入所施設・病院からの地域移行の促進、在宅で生活する障害者の自立生活実現のためにも、公営住宅の活用は重要だと考える。

ア、神戸市における公営住宅のグループホーム利用はどのような状況にあるのか、昨年度からの進捗状況ならびに、福祉枠の確保について障害部局・住宅局の検討状況を明らかにすること。

イ、公営住宅募集は空き家募集のみで倍率は高い。今後とも障害福祉計画実現のためにも、障害部局と住宅局との協議により、障害者の住まいについて従来施策以上の何らかの施策を、今後の障害者計画策定において具体的に示されたい。

ウ、身体障害者の入居の場合、それぞれの障害特性に応じた改修が必要となる。車いす用住宅といっても、入居する障害者により再度改修が必要となる。公営住宅の改築において、ハーフメイド方式の導入について検討されたい。

エ、居住サポート事業の進捗状況、改正自立支援法の中で、今後どのようになっていくのか、神戸市としての見解を明らかにすること。

 

2.介助に関連して

① 基盤整備について

重度訪問介護や移動支援など、深刻なヘルパーの人材不足について、人材確保・事業所確保の方策を具体的にうちだすこと。

② 支給決定について

ア、      昨年度の交渉において、区役所において、障害福祉サービスの標準支給量(以下ガイドライン)は各区の整合性を保つための目安であり、市立の上限ではない、必要であれば審査会にはかり、必要な支給決定はできているとの回答をうけたが、窓口で、まずガイドラインの数値が提示され、上限であるかのような対応があとをたたない。結果として当事者の要望や生活実態を踏まえた支給決定を行えていない現実があると私たちは考える。ガイドラインの運用について各区ごとに格差が大きい。各区ごとの昨年度の非定型審査会の開催数を明らかにすること。ガイドラインの数値の見直し作業を行うこと、また各区の担当者に対し、支給決定の理念や制度の知識を当事者講師をまねいて研修をおこなうこと。

イ、      65歳を迎えた障害者について、介護保険の申請を強要しないこと。障害特性をふまえた制度利用と、生活実態を丁寧にききとり、柔軟な対応をおこなうこと。

ウ、      自立支援法の見直しにより、サービス利用者全員に指定特定相談支援事業舎によるサービス等利用計画案の作成が義務付けられ、市はこれを勘案して支給決定されるいう、支給決定プロセスの見直しについて、どのような課題があると市は認識しているのか。相談支援事業舎が、利用者の希望を聞き入れず、あらかじめ支給決定のガイドラインを上限とした支給時間範囲内に利用計画が作成されることを私たちは危惧する。そのような事がないよう、またその計画案に代わりセルフケアプラン案等も認められることなど、市として改めて各指定事業者に周知徹底されたい。

 

③ 移動支援ならびに入院時の介護保障

ア、      移動支援事業の一律時間数決定について

現在のような一律の時間数支給ではなく、一人一人の生活ニーズに基づいた時間数の決定をできるようにすること。身体に認められている必要不可欠外出の上乗せを他の障害者にも認めること。

イ、      移動支援の人材不足・事業所不足について深刻な状況は続いている。移動支援事業についての利用者証の発行人数・利用者人数・派遣時間数・事業所数を示して、神戸市の見解を明らかにすること。

ウ、      施設入所障害者の移動支援利用について

・  市として地域移行のためにも施設入所者の移動支援は必要だと考えるのか。

・  西宮市では、まだ試行的ではあるが施設入所障害者に移動支援が制度化された。今後の神戸市における実施にむけて調査され報告されたい。

・  入所者本人が地域移行したいと思うためには、地域社会で様々に経験することが必要であり、市として地域移行をより一層促進していくために、どうはたらきかけていくかを明らかにすること。

エ、      入院時の介護保障施策について、どんなに重度で家族支援が不可能な当事者においても、「コミュニケーション 可」と認定されれば、この施策の対象とはならない。せっかくできた制度であり、当事者の実態とニーズに合うよう、対象者を柔軟に適用するなど、要綱等の改善を行うこと。

 

同行援護について

ア、           同行援護の標準支給量を明らかにすること。またこのガイドラインが上限ではないことを周知徹底し、指導すること。

イ、           同行援護の運用において、こどもの登園・通学時利用や病院内での介助など、重度訪問介護と同様に柔軟な対応が出来るように国に働きかけていくこと。特に、病院内での中抜きはしないように指導してほしい。大病院では番号での呼び出し(画面での掲示)、受付や支払などのタッチパネル化等、視覚障害者にとって、動きにくい環境となっていること、またずっと看護師などが付いてくれているわけではないので、誘導された座席から移動してトイレにいくこともできない点などを考慮すること。

ウ、           現行の視覚障害者の移動支援制度では、利用者が在住する都道府県だけでなく、他府県でガイドヘルパーが必要になった場合には、その移動先の他府県の事業所と契約し、利用することが認められてはいた。同行援護になっても制度の後退をせず、同様の運用がなされるように国に働きかけていくこと。また、他府県の事業所を利用する場合には、その他府県の事業所が利用者在住の市町村への事業所登録が必要などの事務処理の煩雑さがあり、それを理由に事業所が受けたがらない状況があった。これを解消するため、同行援護では受給者証があればどの都道府県でもすぐに利用できるなど、利用しやすい環境にするように国に働きかけていくこと。

 

 

グループホーム・ケアホームについて

日中活動の場がない休日等において、グループホーム等の利用者の支援は大きな課題です。「住まい」とされながらも、本人の意思ではなく事業所都合により土日は実家に帰省させられる場合も聞くが、本来あってはならないと考える。

ア、そのような事がないように、ヘルパー利用も十分できるよう移動支援量を確保できるようにして下さい。現状では、上限30時間と決められているなど、土日等に帰省できない障害者の支援は大変困難である。

イ、また、限られた社会資源の中で、グループホーム等の果す役割は大きいと考えます。本人の生活の幅を広げていくために外泊の旅行やイベント等への社会参加は欠かせません。地域生活を充実させていくためにも、休日等のホームを離れての生活も必要不可欠であり、その際のグループホーム等の支援の必要性を認め、何らかの財政的補助を検討されたい。

ウ、また、家賃補助について、10月から国による家賃の半額かつ上限1万円の助成が始まりますが、これまで神戸市では家賃の半額かつ上限2万円でした。3月の事業者説明会では、「今の自治体助成を下回らない」、「現在、調整中」と聞きました。利用する当事者や事業者に、負担を強いる事がないよう、これまでの助成額を下回らないよう努めていただきたい。

エ、グループホーム・ケアホームを新規に開設するにあたり、物件探しは大きな課題になっている。やっとの思いでいい物件をみつけても、グループホームは「寄宿舎」あつかいなので、一般住宅の構造では許可できないと行政窓口で却下される事例が多発している。一般住宅でのグループホーム開設について神戸市の見解を明らかにすること。

 

【6.地域移行に関する課題】

地域移行の市の基本的な考え方

ア、      本人の意思に反して入所施設での生活が継続している事は人権侵害であると市として認識しているのか。神戸市の地域移行に関する基本的な考え方を示されたい。

イ、      改正障害者基本法を踏まえ、従来施策の見直しについて検討されているのか。また第3期計画での地域移行の推進のための市の基本的な考え方を示されたい。

ウ、      本来、地域移行とは、既に入所している者を地域移行させるだけではなく、現在地域で暮らしている障害者が施設入所することなく地域生活を継続させることが重要である。新規の施設入所者を、基本ゼロを目標とすること

エ、      入所施設が地域移行をより一層推進させるインセンティブを与えるような神戸市独自の施策を検討されたい。

オ、      地域移行と称し、入所施設の近隣にグループホーム等を設置するなど、そのような本来の趣旨から逸脱したあり方になっていないのか、実態を報告されたい。

 

② 相談支援事業について

ア、      自立支援法の見直しにより、「特定相談支援事業者」「指定一般相談支援事業者」が設定されるが、神戸市の今後の見通しを明らかにすること。

イ、      相談支援事業者、相談支援専門員一人当たりのサービス利用者数について、明らかにすること。新たに地域移行支援等の業務が加われば、十分な事業が実施できないと考えられるが、市としてどのように考えるのか。

ウ、      地域移行には住宅確保も重要な要素である。地域生活支援事業の必須事業として「住宅入居等支援」があるが、その進ちょく状況、具体的にどのように活用されているのか、どのような実態なのか示されたい。また、平成24年度から相談支援事業の見直しに際して、この「住宅入居等支援」の何がどう変わっていくのか、また第三期計画においてどのように位置付け施策を実施していくのか、説明されたい。

今後の入所施設について

・自立支援法においては、平成24年3月までに旧体系施設は新体系に移行しなければならないとされている。神戸市の移行状況を報告されたい。

・新体系においては、24時間同じ施設でなく、日中の活動支援と居住支援を組み合わせる昼夜分離を進め、障害者が希望に応じて複数サービスの利用を可能とし、地域生活へ移行する事を目指すとされている。それに基づき平成24年4月から神戸市においてどう施策を展開していくのか回答されたい。また入所施設にいながらの作業所も含む通所施設利用や重度訪問介護や移動支援利用は可能となるのか回答されたい。

 

【 7.生きる場・作業所について 】

神戸市は、小規模作業所のこれまで果してきた役割の重要性を述べながらも、新体系移行促進に偏った施策を行っている。私たちは、地域でより多くの障害者が安心して暮らせる社会の実現、そのための多様な日中活動の場=生きる場の必要性は、まさにこれからも必要であり、そのためにも小規模作業所制度の存続を求めるものである。以下、各項目に回答されたい。

①   平成23年度4月時点で小規模作業所の新体系移行状況を交渉までに資料でもって事前に回答されたい。また補助制度の今後について明らかにすること。

②   神戸市東部では、生活介護事業所の来年度の受け入れがきわめてゼロに近い実態であると聞く。重度障害者の進路先の確保は緊急課題になっている。さらに今後とも卒業する障害児の進路先、地域移行した者の日中活動の場を考えるなら、障害者の地域生活を支える社会資源が十分あるとは思えない。私たちは、障害当事者や支援者から作業所新設の申請があれば、障害者の日中活動の基盤をさらに拡充するという観点から真摯に対応し、地域の身近な場所に小規模でも存在する作業所こそが必要であるとの観点に立ち、第3期計画の策定に臨むよう要望する。

とりわけ、神戸市東部における重度障害者の生活の場確保は急務であると考える。神戸市東部における生活介護事業所を新たに公募するなど、具体的な緊急対策を講ずること。

 

【8.情報保障】

① 行政サービス利用について必要となる書類・冊子などについて拡大文字版やデータ版の提供を徹底すること。また、その存在を積極的に情報提供すること。

② 情報を取得するための機器は多様化している。日常生活用具においては、機器を限定することなく、各人が使いやすいものを利用できるようにし、最新の機器にも対応できるようにすること。

③   手話通訳、要約筆記の費用を、個人や主催者負担にせず、目的に関わらず全額公費負担することで、盲ろう者や聴覚障害者の社会参加を積極的にすすめること。

④   災害時の情報保障について、具体的な施策を回答されたい。

 

【9.その他】

①   神戸市における差別禁止条例についての検討状況を説明すること。および各区自立支援協議会において障害者差別についてのワークショップを開催して事例を集めるなど具体的な取り組みをすすめること。

以上

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