優生思想

バクバクの会 尊厳死法案に対する声明

国会議員のみなさま

人工呼吸器をつけた子の親の会(バクバクの会)
会長 大塚 孝司
事務局 〒562-0013 大阪府箕面市坊島4-5-20
箕面マーケットパーク ヴィソラWEST1 2F
みのお市民活動センター内
TEL&FAX 072-724-2007
E-Mail bakuinfo◎bakubaku.org
URL http://www.bakubaku.org/

尊厳死の法制化に反対します
―バクバクっ子「いのちの宣言」とともに―

 

国会議員のみなさまにおかれましては、すべての子どもたちの命を健やかに守り育むために、日夜、ご尽力いただきまして、心より感謝しております。
私たち、人工呼吸器をつけた子の親の会<バクバクの会>の子どもたち(以下、バクバクっ子)の多くは、病気や事故など理由は様々ですが、長期に渡って人工呼吸器や経管栄養を使いながら、生活しています。
2012年3月7日、東京新聞朝刊で、「終末期患者が延命治療を望まない場合、人工呼吸器装着など延命措置を医師がしなくても、法的責任を免責される法案」が、三月中にも議員立法で国会に提出されようとしていることが報じられました。
現在、国連障害者権利条約の批准をめざし、どんな重い障害があっても、ひとりのかけがえのない人間として尊重され、当たり前に暮らせる方向を目指して、障害者施策の見直しがされている中で、なぜ、このように重度障害や難病をもつ人々の命の軽視につながりかねない法案が上程されようとしているのか、私たちには理解できません。
法案では、「適切に治療しても患者が回復する可能性がなく、死期が間近と判定された状態を『終末期』と定義」されているようですが、人の命とは、専門家といえども簡単に推し量ることなどできないことをバクバクっ子たちが証明しています。
バクバクっ子のほとんどは、当初、医師より生命予後不良との宣告を受けたものの、それらの予測を大きく覆して、それぞれの地域で様々な困難に直面しながらも、年齢に応じた当たり前の社会生活を送りたいと願い、道を切り拓いて来ました。医療によって命を救っていただき、サポートしていただいたからこそ、彼らの「現在」があります。
その生き抜く彼らの姿から、生きても仕方のない命など一つもないことを私たちは教えられました。さらに、彼らの未来を阻む最も大きな障壁は、彼ら自身の障害や病気などではなく、わたしたち家族を含めた社会の「重い障害や病気を持って生きることは尊厳がない」という決めつけであることにも気づかされました。
その人の思いに沿った医療は、本人・家族と医療関係者のみなさんが、信頼関係の下、ていねいにコミュニケーションをとっていくことで実現されるはずです。それを、わざわざ法制化することは何を意味するのでしょうか。私たちは、今後、重度障害や難病をもつ人や子どもたちの未来をも否定されていく方向に、社会が転がり落ちていくのではないかという大きな危惧を覚えます。
2010年8月、バクバクの会設立20周年集会において、バクバクっ子たちが「バクバクっ子・いのちの宣言」を発表しました。私たちは、この「いのちの宣言」を添え、ここに、尊厳死法制化反対を表明します。

「バクバクっ子・いのちの宣言」文

<ひとつ>

わたしたちは、みんな、つながっているにんげんです。

いっしょうけんめいにいきています。

<ふたつ>

いま、せかいは、いのちのじだいです。

わたしたちには、そのいのちを、ひとりのにんげんとして、

たいせつにすることが、もとめられています。

<みっつ>

どのいのちも、ころしても、ころされても、じぶんでしんでもいけません。

とおといしにかたは、ありません。

とおといいきかたと、とおといいのちがあるだけです。

<よっつ>

わたしのかわりも、あなたのかわりもありません。

わたしたち、にんげんは、わたしのいのちを、せいいっぱい、

いききるだけです。

<いつつ>

わたしたちは、わたしたちのいのちをうばうことをゆるしません。

わたしたちは、わたしたちをぬきに、わたしたちのことをきめないでとさけび、

ゆうきとゆめ、きぼうをともだちに、にんげんのいのちのみらいにむかいます。

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