兵庫県 2021年度 障害者問題に関する要望書/精神障害者問題に関する要望書
兵庫県知事 斎藤元彦 様
障害者問題を考える兵庫県連絡会議 代表 福永年久
2021年9月3日
2021年度 障害者問題に関する要望書
7月18日投開票の兵庫県知事選挙の結果により、新たな兵庫県政が始まります。新知事の下で、あらゆる差別を解消し人権が保障される共生社会、真にユニバーサルな社会の実現を目指されることを強く願います。
兵庫県においては何波にも及ぶ新型コロナウィルス感染拡大に対する対応に日々尽力されていることと存じますが、残念ながら特に今年4月から急速に感染拡大し、兵庫県は人口100万人当たりの死者数が全国的にも多く、医療体制が逼迫し入院できず待機のまま亡くなられた方がいます。医療体制が逼迫すれば「命の選別」が現実化し障害者等にとっては恐怖や大きな不安を感じます。地域で生きる重度障害者にとって支援者との密な関りは欠かせず、感染すればより多くのリスクや困難さに直面します。また精神科病院でクラスターが発生し転院できず治療も十分に受けられません。精神科特例による不十分な医療体制や長期の隔離や閉鎖性の中、人権侵害がコロナ禍でより顕在化しているのではないでしょうか。
感染症拡大や様々な災害などの緊急事態に際してもあらゆる人が安心して生活していくためには社会的なリソースが必要です。私たちが求める共生社会の理念や兵庫県行政も推進するユニバーサル社会の実現には、その前提としてセーフティーネットが必要です。理念だけに止まらず、実態化すべき必要な具体的な施策の拡充に取り組まれることを強く要望します。
障害者施策においては、障害者差別解消法改正案が通常国会で成立、施行に向けた兵庫県としての新たな取り組みも求められます。新型コロナウィルス感染拡大により疲弊している障害者支援現場に対し人材確保など県によるバックアップ支援策も求められます。その一方、教育においては特別支援学校の増設が予定され、昨年度発覚した神出病院での暴行虐待事件に現れる精神科病院の根深い課題など、共生社会に逆行する状況もあります。
コロナ禍により1年延期された「ひょうご障害福祉計画」策定において、障害当事者の意見を反映し、共生社会の構築に向け、障害のない者と同様に特定の生活様式が強制されず、誰とどこで生活するのかの意思決定が尊重され、自由に社会の様々な場に参加・参画できる、それが当たり前とされる真の共生社会の実現に向け、しっかり理念や施策の方向性が県障害者福祉審議会等で検討され、その下で各市町が具体的な施策を推進できるような計画にしてください。それを踏まえ以下、各施策や各課題について要望しますので前向きな回答をお願いします。
なお意見交換会の開催形態につきましては、昨年度と同様、感染状況により事前に協議させていただきますが、感染予防に留意し、できるだけ広い会場で感染予防に留意し、オンラインも含めて開催できるよう要望いたします。
【1.新たな兵庫県政の基本姿勢】
新たに兵庫県知事になられた斎藤元彦氏は当選直後の記者会見で、改革意欲のある職員を自ら選任し県政刷新の司令塔となる「新県政推進室」(仮称)を新設し、同室で行財政改革プランを作り、財政や行革の担当部署とともに進め、2022年度当初予算編成に向けて全庁的に全事業をゼロベースで見直すと示されています。私たちはこのようなトップダウンの手法および新型コロナウィルス感染拡大により県民も県行政職員も疲弊している時、また同感染拡大により公的なセーフティーネットの脆弱さが明らかになりその改善が喫緊の課題とされる現在においてこのような姿勢を示されることに対し、大きな疑問と不安を感じざるを得ません。以下、質問ならびに要望させていただきます。
① 兵庫県では、平成20年度に全国で初めて「行財政構造改革の推進に関する条例」を制定し、3度にわたり行財政改革がすでに行われています。私たちが主に関わる障害福祉部局においてはこの10年間で多様な障害者のニーズや国が示す新たな施策に対応する等、役割がどんどん増大しています。またポストコロナを見据えてもあらゆる県民が安心して暮らせるための公的なセーフティーネットは必要であり、財政効率を優先し行財政改革の名の下で、県職員を削減しないでください。(要望のみ)
② 障害基礎1級年金を受給しても自立した生活ができる所得には達しません。障害基礎2級年金ならなおさらです。そのため、重度障害者医療費助成制度をはじめ県独自の様々な施策が実施されています。決してこのような施策を後退させず、むしろ拡充する方向で検討して下さい。(要望のみ)
③ 2014年、日本政府は国連障害者権利条約に批准し、それを踏まえ新たな障害者諸制度の改革は継続し、それに対応すべき県施策もまだまだ途上にあります。またLGBT法案が国会で審議され、外国人の受入れをめぐる諸問題も山積し、より一層多様性を認め合う共生社会が求められています。そのような中、「すべてゼロベースで事業を見直す」とのことですが、障害者施策や介護福祉施策、人権に係る施策に対しては、具体的に何を基準にどのような方向で見直されるのか具体的に回答してください。(文書回答)
【2.新型コロナウィルスに関する課題】
以下、新型コロナウィルス感染拡大に係る質問について回答をお願いします。
① 介護が必要な障害者がコロナ陽性の場合、入院できるようにして下さい。
障害者が陽性になった場合、昨年度回答では「兵庫県は原則入院できるようにする」との回答でした。しかしその後の医療逼迫で入院できず亡くなるという事態が起き、さらに今年7月下旬以降の過去を上回る感染拡大によりさらに病床逼迫し、厚労省は重症化リスクのある者以外は原則、自宅療養との方針に基づき各自治体での感染状況を踏まえ検討するよう指示しています。兵庫県としてどうするのか考え方を示していただくとともに、重症化リスクが健常者よりも高くなる人が多い障害者の立場、また常時介護が必要な障害者が感染した場合、最小限の人間で長い期間の介護体制が必要になり、障害者が感染した場合、利用を拒む事業所もある等を踏まえ、障害者が感染した場合、原則、速やかに入院できるよう対応するなど、より具体的な対応策を示してください。(文書回答)
② 感染拡大時などに、感染症以外で重度障害者が入院が必要な場合、病院内に慣れた介護者が入り支援できるようにしてください。
新型コロナウィルスの感染以外で障害者が入院した場合、重度障害者にとっては常時近くに慣れた介護者がいないと困ります。慣れた介護者でなければコミュニケーションが図られず、介護方法や不調、自分の意思等が医療従事者に伝わらず、自分の体調がますます悪化していきます。安心して入院できるはずの病院が、介護者がいなければ安心につながらず、逆に生命の維持を脅かしてしまう可能性もあります。コロナ禍の中で入院する場合、介護者など第三者が入ることを拒む病院が多くあります。国の通知では重度障害者が入院した場合にもコミュニケーション支援の観点から熟練した介護者が入院中に支援できるよう通知を出していますが、兵庫県下の病院では守られていません。兵庫県として重度障害者が入院した場合、介護者が入れるように、医療機関に積極的に働きかけてください。(文書回答)
③ 兵庫県下の精神科病院でも新型コロナウィルス感染によるクラスターが発生しています。長期入院の方も多くおられ、精神科特例による他一般病院に比べ少ない医師・看護師数の医療環境、また閉鎖的な環境で深刻な人権侵害が起きているのではないかと危惧します。それを踏まえ、精神科病院での新型コロナウィルス感染拡大の実態と課題について、以下の点についてお答えください。
・兵庫県下の精神科病院での感染者数、死亡者数、転院した人数について報告ください。(文書回答)
・このような精神科病院でのクラスター発生と対応に対して、兵庫県としてどのように認識され、どのような課題があると認識されているのか回答してください。また精神科病院は精神科特例により他一般病院より医師・看護師数が少なく内科専門医が不在な医療環境でクラスターが発生する事は今後も想定されます。県としてどのような対策を検討されるのかも回答してください。(文書回答)
【3.ひょうご障害者福祉計画について】
「ひょうご障害福祉計画」に対する意見・要望は特別委員として述べるとともに、すでに2019年12月27日に提出させていただいた「ひょうご障害者福祉計画策定にかかるアンケート調査への回答」の内容を、ぜひ計画に盛り込んでいただくよう要望します。その上で、重点課題および追加の新たな内容について改めて要望、質問させていただきます。
① (生活基盤分野)
精神科病院、施設で虐待や身体拘束があり、家族との在宅生活でも「80・50」問題に現れるよう生存も危ぶまれる状況があります。現計画の「生活基盤分野」では「障害者が自ら必要なサービスを選択できる環境が整備され、充実した生活基盤の上で毎日を過ごすことができる社会」とは程遠い現実があります。「障害福祉サービスを支えるマンパワーの確保」、「本人の意向も十分に踏まえない各市町によるサービス量の支給決定の課題、および市町間格差の問題」など、これら課題解決に向けた方針を計画に示してください。(要望のみ)
② (くらし支援分野)
知的障害者や精神障害者が重度訪問介護などを使いながら、地域で一人暮らしをすることもほとんど進まず、暮らしの場の選択肢は極めて限られています。それを解消するためにも、意思決定支援を保障しうる相談支援の質量ともに充実させ、地域移行の道筋も具体的に示し、本人中心支援を理念だけでなく実効性をもって展開させる方策も含め、審議会で十分に議論され計画に反映してください。(要望のみ)
③ (生活基盤分野およびくらし支援分野)
入所施設からの地域移行支援、地域定着支援が国制度として実施されています。しかし在宅にある障害者が家族状況等環境の変化に関わらず、地域生活を継続できる支援は一般サービスの利用以外にはありません。私たちの加盟団体の事業所は利用者が家族状況等環境の変化があっても地域生活が継続できるよう日々支援に尽力しています。知的障害者や精神障害者の重度訪問介護の更なる柔軟な対象拡大や一人暮らし等の生活を体験し本人がくらしの場を選べるための体験場所の確保やその期間内の居宅介護等の暫定的な支給決定等を盛り込んだ「地域生活の継続」を次期計画に盛り込んでください。(要望のみ)
④ (分野を超えた地域生活支援モデル)
地域移行や地域定着また地域生活継続において、障害種別に応じた支援モデルを計画に盛り込んでください。地域生活には住宅、所得保障、介護、居場所、就労等、これら各施策は縦割りにされ分野ごとに計画には記されていますが、1人の障害者の生活、人生は1つです。縦割りではなく面的にとらえた支援モデルを計画に示してください。(要望のみ)
⑤ (教育・社会参加)
現計画では「インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別支援教育の充実」に向け、「障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流及び共同学習」とあります。しかし「交流及び共同学習」の前提には「分離教育」があります。障害者基本法が示す「可能な限り共に学ぶ」方向性は見られません。大阪府では通学支援を実施する市町に半額補助を行うなど、合理的配慮を具体的に府がバックアップしています。兵庫県においても、地域の学校でどうすれば共に学べるのかを重視した理念や施策の方向性を次期計画に盛り込んでください。(要望のみ)
⑥ (障害者差別解消)
障害者差別解消法が改正され、民間事業者の合理的配慮の提供義務や相談窓口の拡充などが、3年以内に施行、新たな計画期間中に改正法が施行されます。県障害者差別解消相談センターの在り方の見直しも含め、改正法を踏まえた、より実効性ある差別解消施策について、次期計画にきちんと盛り込まれるよう審議会で十分議論してください。(要望のみ)
⑦ (計画のわかりやすい版・情報保障)
計画策定の過程で当事者の意見が十分に反映されるよう、特に知的障害者に対して分かりやすい説明、例えば計画案のパブリックコメント募集時には計画案の分かりやすい版の作成をしてください。また、視覚障害者などにとって表などのデータが多く十分な情報保障になっていません。県のホームページに審議会の議事録を公開するのに時間がかかっている状況もありますが、当事者自身が議事内容を事前に把握し理解できる時間を十分に確保しながら、それぞれの障害者に応じて情報保障を行ってください。昨年度の回答では「分かりやすい版」について「検討したい」でしたが、概要版はありますが「分かりやすい版」はありません。昨年度からの取組や検討状況について回答してください。(文書回答)
⑧ (医療的ケア児童支援法に対する対応)
医療的ケア児童支援法が成立し9月から施行されます。医療的ケア児童が保育所・幼稚園・学校等で看護師等が配置され保護者の付き添いなく通所通園通学できるようにすることが自治体の責務とされます。次期計画において医療的ケア児童支援法の施行に対応した課題や取り組み方針について、障害者福祉審議会事務局である県障害福祉部局として同審議会で提示される内容について報告してください。また同法に係り想定される兵庫県としての役割および責務についても併せてご説明ください。(文書回答)
【4.優生思想に関わる課題】
(1)、旧優生保護法の下で行われた強制不妊手術被害者への対応について
① 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金支給法(以下、一時金支給法)における制度について、兵庫県では請求受付件数17件、相談件数においても74件(2021年6月6日現在)と、非常に少ない件数に留まっています。この状況について、県としての見解を示してください。なお、私たちは「不幸な子どもの生まれない運動」を展開してきた兵庫県において、非常に多くの被害者が未だ申請も相談すらできていない状況があると考えます。改善のために、新たな取り組みを行う予定があるか、具体的に示してください。また、相談や申請を行うための窓口の職員体制及び研修をどのように行っているのか、できる限り具体的に示してください。(文書回答)
② 明石市は現在、独自の条例を作り、一時金法からは漏れてしまった中絶被害者や配偶者への補償を行おうとしていますが、同様に県として独自の補償を行うよう要望します。(文書回答)
③ 新たに就任された県知事として被害者に何らか謝罪の意を表明してください。(文書回答)
(2)、 NIPT 等の出生前検査の課題
厚生労働省は、「NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書」(以下、報告書)を確定し、6月16日に各自治体に対し説明会を行っています。
厚労省が1999年に出した「母体血清マーカー検査に関する見解」においでは、「医師が妊婦に対して、本検査の情報を積極的に知らせる必要はない」としていましたが、今回は「妊娠・出産に関する包括的な支援の一環として、妊婦及びそのパートナーが正しい情報の提供を受け、 適切な支援を得ながら意思決定を行っていくことができるよう、妊娠の初期段階において妊婦等へ誘導とならない形で、出生前検査に関する情報提供を行っていくことが適当である」としています。その理由として、ネット上に誤った情報があふれていること、遺伝カウンセリングなどの相談体制が十分でない医療機関等へアクセスすることが増加してきた背景があること、一方、2006年の国連障害者権利条約の成立や1994年カイロ国際人口・開発会議で、 リプロダクティブヘルス・ライツの概念が提唱された国際的な潮流があったこと、福祉サービスの向上、妊娠から育児まで切れ目のない支援体制等、これらが充実したものであることをもって、出生前検査の情報提供を行うことしています。
しかし、現在のような障害に対するネガティブな情報があふれる中で、この検査に対する情報提供が行われることに、私たちは大きな危惧を抱いています。よって、以下について質問と要望をします。
① 同報告書では、「都道府県、指定都市、中核市の母子保健部局において、出生前検査に関する悩みや不安をもつ妊婦や家族をサポートする体制を構築する必要がある。具体的には、関係行政機関と産婦人科・小児科等の医療機関、福祉関係機関、ピアサポート機関の連携を図るためのネットワー クを地域レベルで設けることも考えられる」とあります。この地域レベルでのネットワーク構築について、現段階での兵庫県としてのお考えを示してください。(文書回答)
② 「出生前検査に係る妊婦や家族への説明・相談支援の質の向上や理解の促進を図るため、手引きの作成、研修の実施等」が求められています。関係者に対する理解の促進として、兵庫県としてどのようなことを実施する予定であるのか、実施時期や内容も含め設計して下さい。について示してください。また手引き作成や研修を行う際には、障害者権利条約やリプロダクティブヘルス・ライツの視点をもつ障害当事者を講師として選定し、またピアサポーターとして参画できるよう要望します。(文書回答)
【5. 障害者差別解消に関わる課題】
① (昨年度回答への再質問)
昨年度、グループホーム設立に際しての近隣住民の反対に関し、障害者差別解消法成立時の国会附帯決議で「グループホームの認可などに際して周辺住民の同意を要件としない事を徹底するよう自治体に求めている」ことも伝えたうえで、兵庫県としての見解及び取り組みをお聞きしましたが、昨年度回答では「事前に地域との関係構築に努めるよう事業者に促している」と事業者に責任を転嫁し上記付帯決議と反するような実質「同意要件」を県として促進していると解される回答でした。私たちが把握する数年間の事例では、事業者が住民に関係構築を求めても受け入れられません。上記付帯決議に沿った兵庫県としての見解及び取り組みについて、再度回答してください。(文書回答)
② (県障害者差別解消相談センターの在り方)
これまでの審議会でも、差別事例分析など本来その役割を果たすべき障害者委員会や障害者差別解消地域協議会が独自に開催されず形骸化し実質的な検討がなされていないと、何度も指摘されています。様々な障害当事者が入って事例の一つ一つを評価、検証するようにしてください。審議会の報告だけでは不十分です。また、個人を特定しない形で差別事案について明らかにしてください。(文書回答)
③ (障害者差別解消法改正を踏まえた対応)
同法改正は民間事業者の合理的配慮提供義務やワンストップ相談窓口が求められ、今後内閣府障害者政策委員会で基本方針の検討が行われ、事例収集と公表、複合差別等も検討される予定です。同法改正以前に大阪府では市町で対応困難な専門的な事案に対し大阪府が広域専門員4人を配置し、また名古屋市は医療や教育、サービスなど分野ごとに差別事例を公表し差別が発生した背景や具体的な解説も盛り込まれています。このような先進的な取り組みを兵庫県でも実施し、更なる差別解消施策の拡充に向け、そのためにも兵庫県として既存条例を整理され、差別解消条例の制定を検討してください。(文書回答)
④ (事例に対する見解)
西宮市教育委員会が通常学校の特別支援学級に通学する児童生徒の通学に際しての実態調査を行い、その結果が6月28日西宮市議会で資料配布され、多くの児童生徒の保護者が通学に付き添い、保護者が体調不良時には子どもを休ませている実態が明らかになりました。教育を受ける権利が保障されていません。このような事例は西宮市以外、県下各市町でもあると思われます。兵庫県の障害者差別解消施策を主管する県障害福祉部局として、このような事例は障害者差別解消法に照らし、どのような見解を持たれ、解決していくべきだとお考えなのか、ご回答ください。また本年9月開催の兵庫県障害福祉審議会での次期計画検討の際に、「教育・社会参加」分野および「差別解消」の課題として検討していただき、同時に兵庫県教育委員会に対し、保護者付き添い及び保護者体調不良時に学校を休ませているかどうか、および各市町教育委員会の支援策の有無等も含め県下市町の実態を把握するよう働きかけてください。(文書回答)
【6.街づくり・交通・バリアフリーに関わる課題】
① 【駅舎等のバリアフリー/進ちょく状況】 1日当たりの平均利用者数が3000人以上の鉄道駅舎における、エレベーター設置等に関する、兵庫県内の昨年度からの進捗状況について資料をもって回答して下さい。(資料回答)
② 【バス問題/導入率】 県内各市営バス、県内民間バス会社ごとのノンステップバスの導入率に関し、昨年度からの進捗状況について資料を提示して下さい。(資料回答)
③ 【駅舎等のバリアフリー/ホームドア等】 神戸市営地下鉄三宮駅などで設置が進められていますが、ホームドア又は可動式ホーム柵の整備に関する兵庫県内の昨年度からの進捗状況ならびに今後の設置計画について報告してください。(資料回答)
【7.労働に関わる課題】
(1)県職員の採用に係る課題
① 県職員採用の任命権者は、「知事部局」「警察」「教育委員会」とありますが、それぞれの2020年度の障害者雇用率について回答してください。(資料回答)
② 「障害のある教員が学校教育に携わることで、子どもたちの障害者への理解が深まるうえ、障害をもつ子どもにとってはロールモデルになる」と文部科学省は障害者の教員を増やす目標を掲げています。教員にしめる障害者の割合は兵庫県は2019年度は全国最低の0.82%だと文科省調査で示されましたが、2020年度と2021年度の障害者が占める割合について回答してください。(資料回答)
③ 昨年度、障害のある教員を増やす県教育委員会の取り組みとして、「障害のある人を対象とした教職員採用の実施」「教員を目指す大学生等への働きかけ」「雇用の機会と学校現場での経験を促すため臨時的任用教職員等としての勤務を希望する人の障害者人材バンクを活用」等、回答されました。採用を阻む壁として教育実習時に障害者に対する合理的配慮がないこと、また採用されても手話通訳や点字教材、車いす障害者へのサポート体制などの合理的配慮が保障されていないと聞きます。埼玉県立のある特別支援学校では聴覚障害のある教員の職員会議等での情報保障として手話通訳者が配置されていると聞きます。また車いす利用や視覚障害のある教員をサポートする事務職員の配置など、教育実習時の配慮やこのような取組を兵庫県においても実施されるのか、兵庫県教育委員会の取組と今後の方向性を回答ください。(文書回答)
(2)雇用施策との連携による重度障害者等就労⽀援特別事業について
雇用政策との連携による重度障害者等就労支援特別事業が、昨年度回答で兵庫県に実施市町は無いとの回答でした。以下、質問並びに要望します。
① 現在の県下各市町での実施市町および利用人数など実施状況を回答してください。(文書回答)
② 私たちの加盟団体に所属する加古川市の重度障害者が加古川市に昨年度から実施の要望を行っていますが、進んでいません。重度障害者が加古川市に要望したところ昨年度には「調査研究中」また今年度には「市町連絡会で確認したい」との回答があり、実施されるかどうか分かりません。2021年度から国は同事業を地域生活促進事業としました。それを踏まえ県下各市町が同事業を推進するよう、兵庫県として積極的に働きかけてください。(協議事項)
(3)障害者優先調達推進法による就労継続支援事業所等への支援の拡大
新型コロナウィルスの感染拡大がさらに長期化する中で、従前の仕事の受注や頒価路先が大きく損なわれ、就労継続支援事業所等は大変困難な状態にあります。障害者優先調達推進法に基づき、県立大学や県が関与する公社等関係法人も含め、兵庫県としての発注等の支援の実績について回答いただくとともに、積極的に兵庫県として同法に基づき、発注の拡大を行ってください。(文書回答)
【8.不服審査部会のあり方について】
① 2020年10月22日、神戸地裁において兵庫県が行った裁決取り消しを違法として取り消す判決が下されました。法を逸脱する杜撰な審議が不服審査部会で行われていた証です。再発防止およびより公正中立性を高めるため、弁護士を審理員にしてください。(協議事項)
② 昨年度、私たちは公正中立性そして透明性が担保されるよう、「不服審査部会」に関わる積極的な情報公開を求めたところ、「審理手続における必要な情報提供等を含め、引き続き、審理の公平性及び透明性の確保に向けた取組に努めていく」と県は回答されましたが、県ホームページを見る限り何ら改善されていません。不服審査部会の委員氏名、開催日時、審議予定、案件の概要、審議の結果など、早急に公開してください。(協議事項)
【9.障害福祉サービス等生活支援に関わる資料提供】
以下の3点について資料の提供をお願いします。(資料提供)
① 2014年4月から「重度訪問介護の対象拡大」が実施されました。話し合い時点で、県内市町で知的障害者・精神障害者が重度訪問介護の利用に至ったケースについて、実施市町名ならびに市町ごとに精神障害者と知的障害者ごとの利用人数に関する情報提供をお願いします。
② 地域生活支援事業による「重度障害者の入院時コミュニケーション支援事業」を実施している市町名ならびに同制度の利用状況(2020年度の利用人数/利用時間)について情報提供してください。
③ 施設入所者の移動支援を実施している各市町での2020年度の実施状況を資料提供してください。
【9.兵庫県として以下の事項を国に要望してください】
① 2020年度10月以降から2021年度に兵庫県独自に、また他自治体等と共同して国に要望した内容について回答してください。(文書回答)
② 以下の事項について兵庫県独自または他自治体と共同し国に対して要望してください。(要望のみ)
(重度訪問介護)
・重度訪問介護の入院時利用について、障害支援区分による利用制限を撤廃し少なくとも区分4、5の人も利用できるよう対象拡大してください。
・熟練ヘルパーによる同行支援について、新規採用ヘルパーだけに限定せず、介護の習熟に時間の要する障害者の介護に初めて関わるヘルパーまで拡大してください。
・重度訪問介護の対象者を行動障害がない知的・精神障害者が利用できるよう対象拡大してください。
・重度訪問介護を通勤・就労中、通学・就学中でも使えるようシームレス化してください。
・介護保険対象者の国庫負担基準は低い基準が設定されており、自治体による介護保険を強制する理由になっています。介護保険対象者の国庫負担基準を非対象者と同等に引き上げてください。
・重度訪問介護は比較的長時間利用が想定され報酬単価が低く、事業者の参入が進まない要因になっているため、安定的な事業所運営、人材確保ができるように重度訪問介護の基本報酬を引き上げてください。
(グループホーム)
・グループホームについて、経過措置とされている「個別ヘルパー利用」を恒久化し、サテライト型の利用年限
を撤廃してください。
・現在、社会保障審議会障害者部会でグループホーム利用者の重度化・高齢化が課題に上げられ今後、再編に向け検討される見込みであるが、元々の報酬が低く事業運営に困難さがあり、再編に当たり十分に報酬を引き上げてください。
(地域移行/相談支援)
・地域移行の進展が遅いうえに、新規入所者が多くいるため、地域移行全体は進んでいません。新規入所者をゼロにするよう、施設からの地域移行を促進するために運営法人がインセンティブを持てるような予算措置を講じてください。
・地域移行の中に在宅(親元)からの一人暮らし等、住み慣れた場所での地域生活継続に向けた支援策、例えば一人暮らし体験場所の確保や一人暮らし体験のための暫定的な介護給付の支給決定などを国において検討し、国の責任でより踏み込んだ地域移行・地域生活継続を具体的に実行することを国の障害者基本計画に盛り込み、各自治体の障害者計画にも位置づけ具体的に実行できるよう、予算措置を講じてください。
・相談支援事業の一つに地域移行支援がありますが、報酬が低く指定を受けても実施していない、人材不足で実質的に実施できないなどの事例があります、地域移行支援が積極的に行えるよう、報酬を大幅に引き上げてください。
・相談支援事業の基本報酬が低く参入が進まず、本人に寄り添った支援ができていません。基本報酬を引き上げてください。
【10.訪問系サービス等に関する各市町課題】
毎年要望していますが、以下のように各市町での主に訪問系サービス等をめぐる対応について、多くの課題があると私たちは認識しています。以下の事例についてご回答ください。
① 姫路市では、グループホームから実家に帰省する際の支援の手段がありません。理由は、姫路市が移動支援についていわゆる「ドアtoドア」の原則を持ちだしているからです。重度訪問介護や同行援護は「ドアtoドア」の原則を廃止し、以前の県回答(2015年11月24日障問連と兵庫県との意見交換会)では、兵庫県障害福祉課から「いくつかの市町に聞いたが、発着点については制限していないとの回答がいくつかあったため、自宅以外での発着点も可能であると市町の主幹課長会議の場を通じて話ししたい」と回答され、「ドアtoドア」の原則は解消される方向の見解が示されました。昨年、芦屋市の移動支援の「泊を伴う外出」「ドアtoドア」問題での私たちの質問に対し「市町判断が異なりフィールドバックして対を促す」と回答されましたが、姫路市の事例のように問題は解決されていません。県として、このような市町の移動援制度の制限により移動する権利が侵害されている実態は障害者差別解消法に照らし不適切であると考えられるのかどうかの見解を示していただくとともに、改善に向け当該市町に対し早急に技術的助言を行ってください。(協議事項)
② 65歳を迎え介護保険制度に移行すると、それまでの障害福祉サービスの支給量に比べ極端に減る事例が多くあります。姫路市では介護保険の訪問介護と重度訪問介護の併用の際、確実に介護保険を使い切るよう、月間プランの月初には介護保険が多いプランになり、本人が望む暮らしの実現のためのプランが制度優先になっています。また他市でも障害福祉サービスの居宅介護より訪問介護では減じられたり介護保険のデイサービス利用が減るなど様々な課題があります。兵庫県「高齢障害者ケアマネイジメント強化事業」報告書にあるよう、65歳になっても必要なサービス量は従前と変わらないのは当然です。兵庫県として、介護保険への移行に際し、本人の希望を尊重し、最低限65歳前の障害福祉サービス量を維持するよう各市町に周知し技術的助言を積極的に行ってください。(協議事項)
③ 姫路市など24時間介護が必要な人は、最大でも月500時間に満たない重度訪問介護の時間数の状況が長く続いています。各市町の支給量基準(ガイドライン)上は上限とはされないものの、実態として上限とされ、支給量が市町によって大きなばらつきがあります。県はこの状況をどう認識され、各市町にどのように技術的助言されるのか、回答してください。(協議事項)
④ 厚生労働省は2021年3月31日、報酬改定に関わるQ&Aにおいて「問21」で「問40」を援用しつつ、重度訪問介護の夜勤の取り扱いについて、「労働基準監督課との協議済み」として「労働時間として取り扱わなければならない手待ち時間についてもサービス提供時間として取り扱われるべきものであることから、当該時間が報酬の対象とならないということがないように留意すること」と示されました。厚生労働省が「留意すべき」とするこの内容に対する兵庫県の考え方を示していただくとともに、県下各市町に対して留意すべきこととして改めて技術的助言を行い周知してください。(協議事項)
【11.グループホームについて】
私たちの加盟団体の多くがグループホームを運営しています。利用者の重度化や高齢化、日中の支援の必要性や通院等の個別に寄り添った支援も求められています。国においても2021年6月社会保障審議会障害者部会で「グループホームの利用者の4割以上が支援区分4以上の重度者」と制度創設当初の利用者増と乖離しグループホーム制度の再編、実態に応じた制度設計が求められるとされています。このような状況を踏まえ、以下、要望します。
① 施設入所者数とグループホーム入居者数が、この数年、初めて全国総数ではグループホーム入居者が上回りました。しかし兵庫県は違い、全国比較で立ち遅れています。兵庫県の施設入所者数とグループホーム入居者数の直近の数値を回答してください。(文書回答)
② グループホームの重度化・高齢化に対応した国の再編に先駆けて、公営住宅のグループホーム利用や民間住宅とのマッチング、開設時の補助施策に加え、さらなる兵庫県独自の支援策を実施するよう検討してください。(文書回答)
【12.知的障害者、精神障害者の1人暮らし支援/意思決定支援の課題について】
① (重度訪問介護の対象拡大)
重度の知的障害者、精神障害者が重度訪問介護という見守りも含めた長時間の個別支援により一人暮らしが実現できるサービスの1つです。私たちが毎年提供を受けている兵庫県下各市町ごとの知的障害者・精神障害者の重度訪問介護の利用人数の資料について、県障害福祉審議会で配布し委員に周知、説明するよう昨年度要望し、「検討する」と昨年度に県は回答しました。検討の結果はどうなったでしょうか。2021年度の兵庫県障害者福祉審議会で配布し周知されるよう再度、要望します。(協議事項)
② (市町間格差の解消)
重度訪問介護の対象拡大には市町間で大きな地域格差があります。西宮市と伊丹市が突出して多く、一方政令市神戸市や中核市姫路市はゼロ人です。社会資源の量による格差とは考えられず、何らか制度的運用に差があるとしか考えられません。国一律のサービスにこのような地域格差があってはならず是正されるべきであり、兵庫県として実態把握し解消できるよう各市町の技術的助言を行ってください。(協議事項)
③ (くらしの場を選択できる環境)
知的障害者の生活形態の昨年度の要望に対し、兵庫県は「生活の形について選べるようにします」と回答されました。しかし選ぶためは選択肢と自分で決めるための経験が必要です。単なる場所環境だけでなく「暮らしのイメージ」は経験しなければ理解することが難しい。しかし入所施設やグループホームは見学や体験利用もできますが、1人暮らしはできません。生活の形を「選べるようにする」という事は、そのような体験できる場所、体験期間中の支援を保障しなければなりません。体験期間中の仮の支給決定、重度訪問介護の柔軟利用、居宅介護や移動支援のフレキシブルな利用を可能とするなど、行政がバックアップする仕組みを県として考え各市町に技術的助言してください。また一人暮らしを体験できる場所として、各市町、各圏域に設置される地域生活支援拠点にそのような場を設けるよう各市町に周知してください。現時点で、兵庫県下の地域生活支援拠点にそのような場所を設けている事例があれば情報提供ください。(協議事項)
④ (意思決定支援)
意思決定支援に係る私たちと兵庫県のこれまでの意見交換の中で、三田市知的障害者監禁事件の検証委員会に兵庫県も委員として関りまとめられた報告書を全市町で共有したことが2019年度に回答され、意思決定支援については国においてガイドラインが作成されていると2020年度に回答されました。それを踏まえ、以下要望並びに質問します。
(1) 国の意思決定支援ガイドラインには意思決定支援責任者の設置が示されています。兵庫県には意思決定支援責任者は何人いるのか回答してください。(文書回答)
(2) 兵庫県は意思決定支援がとても重要と認識されています。意思決定支援の前提として、それぞれの障害に応じて分かりやすい説明と選択肢の提示が必要であり、それを踏まえ意思形成支援が行われ、その結果、今後の生活する場所や様式の意思決定が図られます。そのようなご本人の意向調査に係り、兵庫県が見本的にマニュアルを示し、県下で実施できるよう各市町に技術的助言をしてください。(協議事項)
(3) 入所施設や精神科病院において、知的障害者や精神障害者に意思決定支援がきちんと行われていると兵庫県は認識していますか。どうすれば意思決定支援が実施できると兵庫県は考えていますか。この2つに答えてください。私たちは意思決定支援ガイドラインの活用を入所施設や精神科病院に義務付け、そして意思決定支援する者は入所施設職員や精神科病院職員など直接処遇する関係者以外の者が行われるべきであると考えます。(協議事項)
【13.地域移行~入所、入院時の移動支援利用】
① 兵庫県下各市町および県全体で入所施設の入所待機者が何名いるのか回答してください。把握していないのであれば、今後、兵庫県として各市町と共同して何らかの実態把握するよう努めるとともに、兵庫県障害福祉審議会において県下の入所施設待機者を実態把握してください。入所待機者がどうすればゼロに近づけられるのか、長期的な視点で審議会において検討してください。(文書回答)
② 施設入所者の移動支援利用について、昨年度、兵庫県は「障害者のニーズを踏まえ実施主体である市町の実情に応じて実施し、(県として)各市町に対しニーズに応じた対応を促していく」と回答されました。しかし施設に入所する特に知的障害者本人に外出に関する要望や意見は聞かれているのでしょうか。まずニーズを知るためには「障害当事者の意思の表明の保障」が必要です。県として施設入所者に対する外出に関するアンケート調査を実施するか、または知的障害者施設連盟等を通じ施設入所者の外出が保障されているのか、どのような実態、要望があるのかを県として聞き取ってください。そのニーズを各市町にフィードバックし、本人の希望に沿い外出できるよう、移動支援の対象拡大が図られるよう、県として各市町に技術的助言してください。(協議事項)
【精神障害者問題に関する要望】
【14.精神障害者施策に関する資料提供】
以下の各課題の数値等の資料について、意見交換の開催日までに提供ください。(以下すべて文書・資料回答)
(継続支援/措置入院者支援委員会)
毎年要望しているよう私たちは継続支援および措置入院者支援委員会に警察が関与することを反対します。引き続き遵守していただくよう要望します。それを踏まえ、以下について回答してください。
① 2020年度に行われた「継続支援」「措置入院者支援委員会」、それぞれの人数および件数を教えてください。
② 継続支援の平均期間と支援の内容をお答えください。
③ 継続支援になったケースの疾病種別、入院種別の件数を教えてください。
(精神障害者の介護保障等、地域生活)
① 精神障害者の居宅介護の2020年度の各市町毎の利用者数・利用時間について回答して下さい。
② 精神障害者の移動支援(ガイドヘルプ)についても、精神障害者に特化した2020年度の各市町の利用者数と利用時間について回答して下さい。
③ 兵庫県下各市町毎に精神障害者のグループホームが何ヶ所あり、何人利用しているのか、2020年度実績について回答して下さい。
(精神科病院での身体拘束)
兵庫県下で、2020年度の「身体拘束」を行った精神科病院数と身体拘束の件数及び身体拘束の平均の期間、身体拘束した理由について回答してください。
(兵庫県精神医療審査会)
兵庫県の精神医療審査会の2020年度の開催回数と審査件数、また、そのうち退院請求、処遇改善請求それぞれの件数について回答してください。また退院請求してその後退院になった件数、また処遇改善請求して、その後処遇が改善された件数も併せて回答してください。
【15.兵庫県として以下の事項を国に要望してください】
① 神出病院での患者に対する暴行虐待事件は改めて精神科病院の根深い問題を表しています。また身体拘束が年々増加していますが、これらの背景の一つとして他病院より少ない医師、看護師でも認可される精神科特例があります。2013年の第183回通常国会で「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議」では、政府に対し「本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである」とされ、そこには「 精神障害のある人の保健・医療・福祉施策は、他の者との平等を基礎とする障害者の権利に関する条約の理念に基づきこれを具現化する方向で講ぜられること」とされ、そして「精神科医療機関の施設基準や、精神病床における人員配置基準等については、精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針の内容を踏まえ、一般医療との整合性を図り、精神障害者が適切な医療を受けられるよう、各規定の見直しを検討すること。なお、指針の策定に当たっては、患者、家族等の意見を反映すること」とされています。医療法に定められる精神科特例を段階的な廃止の方向で見直すよう、兵庫県として国に要望してください。(協議事項)
② 神出病院での患者虐待暴行事件が、長年にわたり問題が発覚しなかった背景の一つとして障害者虐待防止法の通報義務が精神科病院は適用外とされていることがあります。神戸市議会が全会一致で、国に対し精神科病院に対しても同法の通報義務を適用する旨の意見書が採択されました。兵庫県としても国に対し同様の意見、要望を上げて下さい。(協議事項)
【16.住宅の課題】
公営住宅に関し、以下の点について回答してください。
① 昨年度回答では、大阪市平野区の市営住宅で精神障害への理解が欠如していたため障害当事者が自死するという痛ましい事件に係る要望に対し、このような事案が発生しないよう精神障害者の理解を深めるよう、また当事者も安心して相談できるような周知を私たちは求めました。その結果、昨年度の回答通り、県営住宅だよりの指定管理者のお問い合わせ欄に「日常生活での困りごと等について、お気軽にご相談、お問い合わせください」と掲載されましたが極めて不十分です。私たちが要望しているのは単なる「困りごと」ではありません。近隣住民の精神障害に対する無理解や偏見、その結果生じる差別に対する様々な不安や孤立です。精神障害者問題や障害者差別解消法に基づく合理的配慮等に関してきちんと広報してください。そうしなければ公営住宅での生活が継続できません。(協議事項)
② また昨年度の回答では「指定管理者に障害者対応等に長けた総合相談員等を配備し、生活支援センターや病院等と連携した取り組みを行っていく」と回答されましたが、広報誌には掲載されていません。総合相談員は障害者とどのように関り理解している人なのか回答してください。また総合相談員は具体的にどこに、何人、どのように配置されているのか具体的に回答し、きちんと広報してください。また精神障害のある入居者にどのように対応したのか、事例としてあるなら言える範囲で回答してください。(協議事項)
③ 2021年度から10年間の「ひょうご県営住宅・管理計画」が改定されました。管理戸数が2020年4月49950戸を、10年後には45000戸に減じるとされています。しかし諸外国に比べ日本は全住居のうち公営住宅が占める割合は低く、居住福祉の発想が貧困です。精神障害者も含め障害者が公営住宅に応募してもなかなか当選しません。新型コロナウィルス感染拡大による住宅困窮問題や災害時への備えなど、公営住宅の存在は重要であり、精神障害者の地域移行やグループホームへの活用など、障害者の地域生活にとっても重要です。同計画において障害者のこのような課題をどのように検討され改定されたのか回答いただくとともに、不十分であれば計画改定も含め検討して下さい。(協議事項)
【17.重度障害者医療費助成制度】
重度障害者医療費助成制度に係り、以下、質問並びに要望します。
① 新たな県知事の下においても、重度障害者医療費助成制度は最低限、必ず存続するとともに、引き継続き精神保健福祉手帳2級者、療育手帳B1者にも対象拡大するよう要望します。(文書回答)
② 川西市に在住する知的障害者Aさんの実例を示します。Aさんの収入は年金と作業所工賃合わせ89000円です。支出はグループホーム利用料と作業所での昼食費併せて約55000円。残り34000円で「医療費、被服費、携帯電話料金、交通費、休日の昼食代や娯楽費」等をまかなっています。持病のあるAさんは定期的な検査や複数科の受診の必要があり医療費が家計を圧迫し、さらに交通割引の適用も受けられません。
2018年度年間医療費132,690円 34回受診 医療費助成あれば400円×34回=13,600円
2019年度年間医療費130,820円 37回受診 医療費助成あれば400円×37回=14,800円
医療費助成があれば毎月の平均医療費が約10000円安くて済みます。使えるお金が34000円のうち10000円はとても大きな金額です。一般就労し所得がある場合や工賃が高額であれば払えます。実態としての所得状況は反映されず一律に手帳等級の違いだけで、同じ作業所で働く障害者となぜこのような格差があるのでしょうか。このような在り方は不合理であり平等であるべきです。一般の健康保険制度の医療費負担額は所得が反映されています。重度障害者医療費助成制度に所得基準を設けてください。(協議事項)
【18.精神障害者への交通割引について】
① 全国各地で個々の交通事業所の判断で精神保健福祉手帳2級の者に対して減額が実現している例があります。また知的障害者も療育手帳の等級A以外の人は交通割引が適用されません。兵庫県下の鉄道事業者等が交通割引の対象拡大を行うよう兵庫県として各交通事業者に働きかけてください。(協議事項)
② 上記「重度障害者医療費助成」の項②で障害当事者の生活実情を述べましたが、交通割引も適用されないことで、より一層の経済的困窮を招いています。昨年度回答で交通割引の対象者は国において決められているとのことですが、手帳等級ではなく、交通機関利用に際して移動支援を利用している障害者は交通割引の対象とするよう、兵庫県として国に対し要望してください。(協議事項)
9月 3, 2021