教育

【報告:教育】 地域の学校で学ぶ障害児の通学における問題

栗山和久

大阪府教育委員会は今年度から以下の事業(実施する市町に大阪府が1/2補助する)を開始した。

 

〈市町村通学支援補助〉

「市町村立小・中学校に通う医療的ケア等障がいのある児童生徒のために通学支援を行う市町村に対しその経費の一部を補助する。例えば、自力通学が困難な、障がいのある児童生徒が通学するための福祉タクシー等の借り上げや、通学のためのガイドヘルパー活用に係る事業等、市町村教育委員会が行う通学支援事業に対する補助。(※教育委員会実施事業に限る。)

(※通学に係る看護師の配置については、国庫補助対象のため本事業の補助対象外)」

 

大阪府下のいくつかの市町ではすでに独自に通学支援制度が実施されている。例えば・・・

〇枚方市「障害児通学支援制度」・・・「ひとりで通学が困難な児童・生徒を対象として、通学ガイドヘルパーを派遣し当該児童・生徒の通学のために必要な支援を平成24年10月より行います」。

〇箕面市「重度障害児送迎事業」・・・「保護者が就労などで送迎できない重度障害のある子を、市シルバー人材センターが運行する福祉有償輸送の民間タクシーを活用して送迎。担任や介助員が補助のため同乗する。(平成25年市長会見  利用見込み90人)

→ 今回の大阪府教委の補助事業により今後、府下市町で通学支援制度が広がっていくことが予想される。大阪府は看護師配置制度も同様の「府が市町に半額補助」する仕組みがあり広がった経過もある。

養護学校や特別支援学校にはスクールバスがある。しかし地域で学ぶ障害児の通学は、多くは保護者の責任とされている。また福祉施策の「移動支援」は「通学の利用は不可」。西宮市や神戸市では、「保護者の入院等緊急時のみ利用は可」とされている。

私も所属する「インクルネット西宮」では、これまでの保護者からの相談の中でもこの通学に係る要望が寄せられ、大阪府の取り組みを聞き、西宮市でも通学支援制度が実現できないか、まずは実態を知るためにアンケートを実施されました。すると、特別支援学級に在籍する児童のほとんどが保護者が付き添いし、学校から求められる場合も多く、そして保護者が体調不良時の多くの場合、子どもを休ませている等の実態が改めて浮き彫りになりました。子どもの教育を受ける権利が保障されていません。広く知ってもらおうと記者発表し、別紙のよう取り上げられました。

また西宮市議会から求められ西宮市教委としても特別支援学級在籍児童の保護者付き添いにつして実態調査が行われました。6月28日西宮市議会本会議でも調査結果資料が配布されました。

・西宮市 特別支援学級在籍児童数  793人 (小学校・中学校)

・登校時に付き添っている人数      318人

・下校時に付き添っている人数      262人

・保護者体調不良等で子どもを休ませている人数  97人

 

インクルネットでは西宮市教委への要望も行われています。障問連の会議でも報告され、県教委への要望も含め取り組んでいきたいと思います。

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