市・町の制度 オールラウンド交渉

【報告】 オールラウンド交渉 神戸市からの回答

障問連事務局

昨年11月 5日に神戸市にオールラウンド要望書を提出したが、新型コロナウィルス感染拡大により対面での交渉は開催できなかったが、2月12日神戸市から回答書を受理した。今号では「コロナ関係・教育・保育・精神障害者の課題」について、以下、回答の要旨を報告します。次号で「バリアフリー/福祉施策」の回答を報告します。

(※障問連ホームページに回答全文を掲載しているので、詳しくはご参照ください)

 

【 1.新型コロナウィルスに係る意見・要望】

(1)【障害者が感染したときの対応】

①障害特性をふまえた入院機関の整備

(市回答)・中央市民病院等に患者の最大推計値160床を確保、感染拡大移行期に向け25床程度、宿泊療養施設を3か所298室を確保している。

・障害者が感染しても入院は可能。障害特性と病院の医療体制、本人・家族と相談しむ入院環境を整備し入院調整する。コミュニケーション支援はiPAD等を活用する医療機関もある。

②重度障害者等の入院について

(市回答)・常時支援が必要な障害者に看護体制を整備して対応、障害特性等を家族から情報提供を受けている。重度訪問介護の入院時利用は神戸市が直接病院に確認して進めている。

(課題)→緊急事態宣言下で神戸市でも感染が拡大し回答書受理での話し合いで入院について強く申し入れたが医療体制逼迫により入院できない可能性もあると回答された。また上記回答のコミュニケーション支援について感染予防を理由に支援者が病院に入ることに神戸市は消極的。

③グループホーム入居者について

(市回答)まずかかりつけ医に相談、PCR検査は濃厚接触者について検査センターの案内、施設での検査体制の調整をする。施設内での隔離方法は所在地の保健センターが直接訪問して助言している。

④防護服の支給について

(市回答)・防護服等の衛生消耗品の個人への支給は行っていない。

 

(2)【訪問系サービスの課題】

(市回答)訪問系サービスは利用者が濃厚接触者に該当しても感染防止策を徹底してサービス継続の必要がある。神戸市として訪問系と施設系に分けマニュアルをHPに掲載している。

 

(3)  【PCR検査の拡充】

(市回答)・神戸市では介護・障害入所施設で直接介護にあたる職員に積極的な検査を実施し、11月から125施設、直接処遇職員5900人に順次検査を開始、今後も定期的に実施予定。陽性者が出た場合は全員に検査を実施する。

・上記以外の福祉施設や学校等では感染拡大が疑われる場合は濃厚接触者以外にも幅広く関係者に検査を実施する。費用負担はない。

(4)  【ひよどりの運用について】

(市回答)2020年12月時点で障害者の受け入れはない。一時受け入れ時には看護師・介護職員が24時間支援するのでヘルパー付き利用は想定していない。感染予防上、ご理解ください。

 

【2.教育】

(1)【小学校と特別支援学校との一体的整備について/共に学ぶ環境整備】

(市回答)・同じ敷地に一体的に整備することで、給食や授業や行事など特定の場面だけでなく休み時間も含め日常的に自然な形で接する機会が増え相互理解が進む。

・「子どもたちがそれぞれの目標に向かって生き生きと学ぶ」「そのための多様な学びの場」「共に学ぶことについては交流の場を設定する」「交流および共同学習」により共生社会を実現。

・インクルーシブ教育システム構築のため「初任者向けの特別支援学校参観の研修」、「全教職員に夏期集中セミナー」「コーディネーター研修、管理職研修を計画的に推進」。

 

(ⅰ) 【学校のバリアフリー化】

(市回答)・新築、改築時には県福祉のまちづくり条例に基づき障害生徒の在籍の有無にかかわらず実施。

・既設校には必要な生徒が在籍または入学予定の場合はエレベーターを優先的に設置する。

 

(2)【看護師配置制度について】

(市回答)・「医療的ケア支援事業実施状況」・・・小学校12校(12名) 中学校1校(1名)

・看護師資格を有する特別支援教育支援員による実施状況・・・小学校3校(19回)中学校0

・看護師は県の上限時間は10時間。資格を有する支援員もあわせ合理的配慮の提供に努める。

・2020年度より神戸市立高等学校も加える。

 

(3)【定時制高校のあり方検討会】

(市回答)2020年3月に報告書が提出。中間部拡充や三修制導入、教室共有の解消のための施設整備、教育活動の充実、外部との連携といった提言。どう対応していくのか現在検討中。

 

【 3.保育 】

(1)【放課後児童クラブ(学童保育)を希望する児童全員の受入とリレー方式の解消】

(市回答)・公設施設での受け入れ人数・・・低学年264人 高学年115人 計379人(2020年7月時点)

・全ての小学校区で高学年児童の受け入れが完了。1つの建物で全学年受け入れが困難な場合は学年によって利用する施設を分けている。

・公設施設の総数は192か所(155校区)、高学年になると児童館で受け入れる校区は23校区。

 

(2) 【医療的ケアへの対応】

(市回答)・看護師配置の補助は行っていない。民設学童保育で一か所医療的ケア児童を受け入れている。今後ニーズが出てきた場合、公設施設でどう対応していくのかは今後検討していく。

 

(3) 【障害児受入推進など】

(市回答)・今年度も障害児受け入れ加算の単価を引き上げた。

「1~2人は190万円/年」 「3人以上は1人当たり95万円/年」。今後も充実に努めたい。

【精神障害者問題に関する要望】

【1.    精神疾患に関する教育について】

(市回答)・2022年4月から高校の新しい学習指導要領が実施。保健体育で新たに「精神疾患の予防と回復」が入り、高校1年では「精神疾患の特徴」「精神疾患への対処」の授業が4時間程度実施される。

・心身の不調は早期発見と早期支援により回復しやすいこと、人々が精神疾患を正しく理解すること、早期治療を受けやすい環境整備が重要、差別偏見の対象でない事等が学習指導要領の内容。

・心の健康問題が低年齢化しておりまず教員が理解を深めるため研修会を開催している。

・前年度まで養護教諭対象であった「自殺予防教育「生活習慣」研修を全教職員対象とした。

・福祉体験学習として精神障害者の通所施設を訪問し交流(中央小)、精神障害当事者を招き話を聞きふれあい(布引中)。

 

【2.    交通割引】

(市回答)・国が各事業者に精神障害者の交通割引を行うよう強く働きかけ、大都市民生主管局長会議や21大都市心身障害者福祉主管課長会議を通じて要望している。

・2018年に続き2020年8月にも国土交通所は各交通事業者に対し割引制度の拡大に協力を求めた。

・(介護者付き割引)・・・現行制度が維持できるよう努めたい。

 

【3.    精神医療審査会について】

【神出病院事件について】

(市回答)・事件発生を受け立ち入り調査を複数回実施し8月17日に改善命令を発出。病院から改善計画書が提出、今後厳しく確認する。背景として研修を含む管理体制の不備が大きな問題。

・退院請求や処遇改善請求があれば適正に審査したが神出病院ではなかった。

・事件を踏まえ精神医療審査会として以下行う。①定期病状報告書で治療や多職種での退院支援委員会の開催などの対応で疑義がある場合は病院への確認、働きかけを一層強力に行う。②審査会が必要と認めた場合は市に対して実地指導を要請し指定医である審査会委員が同行することができる。

・虐待防止法で医療機関には通報義務が除外されている事を神戸市としても問題視し国に対し法改正を要望している。また法改正を待つのではなく市内のすべての病院に対して既に、①速やかに通報すること ②公益通報制度を活用し職員が速やかに通報できるよう通報先を周知し院内に掲示する。 ③上司や同僚に報告し管理者に速やかに伝わる制度を設ける。以上を求めた通知を7月30日付で発出し市内全14病院に説明会を開催した。

 

【第三者機関の設置】

(市回答)・精神保健福祉法に基づき弁護士・有識者・医療関係者により「神戸市市民福祉調査委員会 精神保健福祉専門部会」を設けている。

・神戸市が行使する指導監督権限は精神保健福祉法を根拠におく強制力を伴い民間の第三者と共有することはできない。

・精神科病院に対する訪問調査や結果のフィードバックを独自に行っている当事者団体もあり、その活動に敬意を表するとともに神戸市としてどのような支援が可能か今後の検討課題である。

 

【精神医療審査会の開催】

(市回答)・2019年度の神戸市の精神医療審査会の開催は以下の通り。 開催34回 審査件数3457件

内訳(入院届・定期病状報告3415件  退院請求31件  処遇改善請求11件)

審査結果・・・「入院適当3340件」「入院形態変更0件」「入院不適0件」

審査結果・「退院請求43件→入院適当29件 入院形態変更2件」(取下げ等9件 持越3件)

審査結果・「処遇改善請求15件→入院適当11件 入院形態変更2件」(取下げ等4件)

 

【4.    身体拘束】

(市回答)・身体拘束を実施した病院13病院  件数162件  (2019年度精神保健福祉調査より)

理由(①自傷行為 ②不穏・多動 ③暴力行為 ④検査、処置のため)

・精神科病院に対する実地指導(立ち入り調査)の際、指定医も含めた職員が診療録等の記録類を確認し患者への聞き取り調査や医療保護入院等に関する実地指導を行い、身体拘束を受けた患者もその対象として状況を確認する。各病院の行動制限最小化委員会の検討状況や取り組みを確認して指導している。可能な限り実施しないという意識をもって取り組んでいる病院も多く、神戸市として適正な制度の運用がなされるよう引き続き指導・監督に努めます。

 

【5.    公営住宅について】

(市回答)・市を二つのエリアに分け指定管理者に業務を委託し65歳以上のみの世帯に「見回り声掛け運動」を行い様々なニーズへの対応、訪問時に個別相談を行っている。

・自治会は地域に住む人たちの自由な意思により結成され地域の課題解決や住民同士の交流など一番身近な自治組織です。担い手不足関心の低さはあるが協力し合うことが解決につながると考える。

・引き続き精神障害者の方も含め安心して住んでいただけるよう可能な限りきめ細やかな対応に努めます。住宅管理センターでまずご相談ください。

 

【6.    介護保障・グループホーム】

(市回答)精神障害者への居宅介護・・・年間延べ14297人が利用  利用時間167416時間

(市回答)精神障害者の移動支援・・・年間延べ3654人が利用  利用時間61731時間

(市回答)グルーブーム

・東灘区と灘区ゼロ ・中央区 1戸5人  ・兵庫区 2戸8人  ・北区 6戸19人  ・長田区 2戸6人

・須磨区 1戸3人  ・垂水区 1戸3人  ・西区 6戸48人  ・市街 2戸7人  ※計21戸 99人

 

【7.    重度障害者医療費助成制度】

(市回答)・県市協調事業として1973年から実施。対象は①身体障害者1~2級 ②知的障害手帳A ③精神障害1級。神戸市独自の上乗せとして・・・「身体障碍3級と知的障害B1の重複障害者」「内部障害3級の身体障碍者」。

・可能な限り市独自の上乗せ施策を行っているが制度の拡充には限りある予算の中では厳しい状況。

・精神障害者への医療助成については、急性憎悪時に早期に治療し地域に移行するため本人負担額を軽減するため自立支援医療受給の神戸市民が90日以内の入院の場合、入院費の一部を助成する「精神入院医療費助成制度」を2020年2月から開始しました。

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