国/県の制度

【報告/事務局通信】 兵庫県内、その他の様々な状況

障問連事務局

◆全国的な様々な状況

昨年の自殺者が速報値で2万919人と11年ぶりに増加、中でも女性と小中高生の増加が目立つという。70人もの命が毎日どこかで自ら絶っているこの国、コロナ禍での経済的困窮や不安の増大や先を見通せぬ自己責任が強調される社会が人を追い込んでいる。

10年目を迎える東日本大震災。3/11を控え様々に報道されている。原発を巡り「見えぬ廃炉 費用青天井」「除染大半めどなし」との見出し。そして復興予算のうち被災地と関係の薄い使途にも流用された1兆円を超える予算、うち3割程度しか返金されず8000億円以上が帰らないと言う。報道によれば「東日本大震災復興構想会議」が掲げた7原則、その中に「日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はない」と盛り込まれたため「流用を合法化させ、被災地にわたる資金も少なくなってしまったのではないか」と識者は指摘している。また福島では県民健康調査で甲状腺がんないしは疑いのある人が252人に増大しているが、「本来見つけなくてもよい」「児童や生徒に拒否できることをもっと説明すべき」と集団検査見直しの動きも強まっているという。「オリンピックや再稼働、『復興』の掛け声等ずっと幻滅させられ続けの政治の中で私たちはどのように生きていけばよいのだろうか。私はそれでも前を向いてやっていけるだろうか」とある被災者は語っている。

 

〇精神患者 6割転院できず

2月13日毎日新聞報道によると、精神科病院に入院しながら新型コロナウィルスの感染が確認された1021人の患者のうち6割以上がコロナ治療のための転院ができなかったことが日本精神科病院協会の調査で判明した。精神障害者は「不安定で安静が保てない」「これ以上の転院は困難なので貴院でお看取りしていただきたい」等の理由で転院が拒否されている。精神科病院は精神科特例により医師・看護師数が他科病院より少なくコロナの専門医気いない。死亡例もあり「精神障害者の治療は後回しになるという『命の選択』が始まっている」という。さらに今後始まるワクチン接種も「基礎疾患を有する者」に該当しないため優先接種の対象外とされている。

 

〇生活保護制度をめぐって

2月22日国による生活保護費引き下げは違法であるとの訴えに対し大阪地裁は原告の主張を認め、国の引き下げを違法とする判決を下した。同種裁判は全国29地裁で起こされ、昨年の名古屋地裁判決は請求を棄却したが、大阪地裁は判断の過程や手続きに過誤があったと指弾し、この判決に基づき各自治体の減額決定を取り消した。控訴するなとの声にもかかわらず、被告である大阪府下12の全自治体が控訴した。国は「物価下落」を理由に2013年~2015年、最大で10%引き下げたが、判決では「原油や穀物の価格が高騰した2008年を起点にしたため下落幅が著しく大きく合理性に欠ける」、「総務省の消費者物価指数ではなく厚労省独自の指数を用いテレビやパソコンなど生活保護世帯の支出割合が低い品目の物価下落率が過度に反映され算定根拠らならない」等と判断し、国の引き下げを違法としたのだ。これを見る限り「生活保護費削減」の結論ありき、その辻褄合わせの算定根拠を行った、安倍政権以降の公文書改竄と通じるような操作ではないのか。さらに菅総理はコロナ禍での更なる救済策を問われ「セーフティーネットとして生活保護がある」と国会答弁したが、どれだけ生活保護制度を歪め削減し続けてきたのか。生活保護への偏見が強く厚労省の推計でも、生活保護対象になる世帯のうち受給しているのは4割に過ぎない。このような「自助」「自己責任」を強調する社会にコロナ禍が襲い、ますます貧困化、分断化が強まっているのではないのか。

 

〇医療的ケアが必要な児童の就学問題 ~相模原市の事例

川崎市の光菅和希くんが地域の小学校への入学を拒否され裁判で訴えるが認められず、これ以上和希くんの貴重な学校生活を奪うことはできず、東京都世田谷区に転居、するとすぐに地域校での受け入れが認められた。同じ神奈川県の相模原市で佐野涼将くんは和希くんと同じように地域校への就学が認められていない。12月30日の朝日新聞で報道では地域校の集団登校の中に自主的に入り一緒に登校する、しかし校舎には入れない。40年以上前の東京都の金井康司君の自主登校を思い出す。これ以上、学校生活を奪われてはならない。

 

◆兵庫県内の動向

〇2021年度の県予算案が決定

来年度の兵庫県予算が以下の内容で2月16日発表、翌日~開催の県議会で提案されました。

・「過去最大2兆304億円」 震災時を上回る ポストコロナ予算 229事業を廃止

・県民税や消費税が落ち込み。今後経済が回復しないと厳しい状況になる。

・行政経費が2倍・・・入院確保や雇用創出で440億円 中小企業融資で8000億円。

阪神大震災時よりも厳しいとされ既存事業も一部廃止、新規事業は困難、県に限らず県内市町財政も厳しい。しかし障害者施策の後退は許されません。

 

〇明石市で「コロナ差別禁止条例」が制定

泉明石市長は国の罰則を伴う「改正感染症予防法」を批判し、明石市では入院を拒否した場合にも罰則を与えないとし、4月から明石市コロナ差別禁止条例が施行される予定。

 

〇またも特別支援学校が新設されます

神戸市では小学校と一体となった「灘さくら特別支援学校」の開校に続き、阪神間(西宮市)にも特別支援学校がさ来年度の開校として設置されることが2月16日県予算発表時に公表された。少子化により公立学校が減少する中、次々と分離した教育としての特別支援学校が開校されています。全国的にも同様の状況下、文科省は「特別支援教育がより理解されたから」としていますが、地域の学校での人的支援、通学支援など合理的配慮施策が極めて不十分であり、共に学べる環境が整備されていません。私たちは強く抗議するものです。

 

◆その他の情報提供

〇訪問介護など在宅介護の従事者にもワクチン優先接種対象に

高齢者施設の職員等は優先接種の対象になっていたが、厚労省は3月3日、在宅を支援するヘルパー等従事者も優先接種の対象に加える方針を決定した。

 

〇報酬改定等の概要

3年に一度の報酬改定の内容について前号で概要を報告したがほぼその方向での改定内容が決まった。付記すべきこととして下記の二点があげられる。

・「虐待防止の強化」・・・虐待防止責任者。防止委員会の設置が義務になります。2021年度は努力義務、2022年度から義務になります。また「身体拘束」について、今年4月から「記録の義務化」され、訪問系サービスでは(身体拘束廃止未実施減算の)「減算要件」適用は、2023年度からとされています。

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