事務局より

編集後記

毎日新聞9/23付朝刊で、ベーシックインカム(BI)について、主に好意的な立場から2ページの掲載がある。BIとは、すべての人に無条件で一定額の給付が政府からなされるという政策であり、コロナ禍に相まって欧州では実験的に取り入れる国もある。「生存の無条件の肯定」とも言われたりするが、実は私自身は懐疑的である。▼かりに、月額10万円が政府から振り込まれるとしよう。これで生活できる人は働かなくてよいし、もっと稼ぎたい、あるいは働くこと自体をしたい人は働けばよい。しかし、ひと月に10万円では足りない人の場合はどうか。BIには「人々のニーズの違いを無視する」という側面もあり、私はここを問題視している。▼無論、現在の医療保険や社会保険、生活保護制度などがすべて継続されるのであれば、話は違ってくる。しかし、「自助」を優先させるような菅政権に、それを期待できるであろうか。BI導入と引き換えに、現存する社会保障が大幅に削減されることを、私は個人的には大きく懸念している。(NZ)

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