介護保障 市・町の制度

【介護保障問題:報告】神戸市ガイドライン問題/理由付記裁判/集会 報告

障問連事務局

◆「理由付記」裁判~第一回裁判が1/16に行われる!!

「理由付記」に絞っての裁判は全国初。年末ギリギリに兵庫県が裁決書を書き換えて原告代理人に送りつけ、裁判所には原告の訴えに対し「棄却を求める」との答弁書が出され、急きょの弁護団との対策会議を経て臨んだ裁判。裁判には県外からも京都、徳島、大阪、そして県内の姫路市等から車いす障害者が傍聴に来ていただき、大法廷が埋められました。原告のAさんの振り絞るような陳述、裁判後には福祉センターでの報告集会・・・・駆けつけていただいた皆さん、ご支援ありがとうございました。この日の様子については別途、通信により報告される予定です。障問連ニュースでも次号には報告します。

 

次回:第二回期日裁判・・・4月16日(木)午後~ 神戸地裁です!!

 

◆ガイドライン問題をめぐる神戸市との最終協議報告

1月29日に神戸市障害者支援課室内に於いて、ガイドライン問題の第4回協議が約2時間行われました。

神戸市障害者支援課として、奥谷課長、遠山係長らが出席、障問連は6人出席して開催されました。

○意見書をうけて

前回、私たちが提出した意見書~市の改定案に対する修正意見について、一部が下記のように認められ、修正すると神戸市は回答し説明されました。具体的な訂正箇所は、以下。

【介護環境区分】

・介護者がまだ就労していない場合や就労以外の予定も考慮するべきとの意見をうけて、

A介護者が日中不在(週30時間以上就労)➡介護者が日中不在(週30時間以上就労(予定を含む)等)

B介護者が日中不在(週10時間以上就労)➡介護者が日中不在(週10時間以上就労(予定を含む)等)

C ABに該当しない介護者がいる(就労は10時間未満)➡ABに該当しない介護者がいる

に記述をかえる。

【標準支給量超過基準】

・知的障害者で家事や社会生活を行う上で、助言が必要な場合に、精神障害者を追加する。

・時間を要するコミュニケーション支援が必要な場合について、「2.特定の者であればコミュニケーションできる」を追加して対象者を広げる。

その他、「・・・見直しの目的を加筆修正した。支給量審査基準の名称も「ガイドライン」に改め、支給決定の考え方も加筆修正し、上限ではないことや非定型については文章化及びフロー化してパブコメ後の最終版には盛り込む。宿泊の取り扱いなど指摘された古い記述もさしかえる。まずは、見直しの目的と変更する3本柱のみパブコメにあげたい」と神戸市は説明しました。

 

○来年度のイメージ

障問連:来年度行う見直し第二弾のイメージを知りたい。

神戸市:訪問系について他に問題がないか、訪問系以外の支給決定についての意見などを引き続き検討していく。第一弾では内部検討会が先行し、手順的に問題があったので、次はまず障害者団体にヒアリングなどを行い、意見をきくところから始めていきたい。

障問連:ヒアリングではまた同じことになってしまう。今回も内部検討会で議事内容は一切公表されず、案決定のプロセスが全く不明。意見を聞いた上で、どのような検討を経て決定するのかのプロセスが重要。今年度ずっと訴えてきたことが来年度に再び白紙になるようでは困る。当事者を入れた検討会をオープンに行うべきであり、深夜をはじめとした一人暮らし障害者の支給決定問題を積み残したとはっきり明記するべき。

神戸市:意見を集める手法はまだ決めていない。検討会方式も考える。時期もいつとはいえないが、来年度に行うつもりはある。今年度提起されたことはうけとめてのぞむつもりはある。

障問連:パブコメはいつ始めるのか。

神戸市:2月初旬には始めたい。3月初旬にしめきり、3月にとりまとめと手直しして確定。4月から運用したい。

障問連:3月に来年度の取り組みのイメージをより具体的につめていきたい。石橋事務局長から問い合わせする。

 

○意見書について再び

障問連:意見書の内容がどう扱われたのか、確認したい。

・標準支給量についての説明について、「客観的かつ合理的で他の類似事例と比較して~」「越える場合は区分の見直し前提~」は削除するべき。支援課の考え方が出ている。区役所は必ず抑制的に運用する根拠になる。

神戸市:説明文についてはパブコメにはのせない。抑制的にしたい意図はない。支援区分を変えると国庫補助が増える。申請してほしいという意図。

障問連:であるならば書き直すべき。この書き方では問題がある。

神戸市:検討する。

障問連:1.5倍の数値を標準支給量に併記する意見はなぜ却下されたのか?

神戸市:かえって混乱をすると考えた。1.5倍については別にオープンになるのでそれで情報提供していく。

障問連:居宅の表記を家事援助と身体介護あわせた数字にするべきとの意見は?

神戸市:表記は分けるが、運用は柔軟でよいという実態を継続したい。

障問連:運用は柔軟という実態はない。柔軟に運用できるような文言をガイドラインに明記するべき。

障問連:環境区分に本人希望を丁寧にあつかうことと明記することは?

神戸市:上限でないことをフロー化するので。

障問連:2区分にすることについては?

神戸市:数字や大きな表記変更については来期もちこしにしたい。

障問連:医療的ケア~特別基準について、一人で過ごせる時間や地域生活の可否を医師が判断するのは無理。

神戸市:医師には意見を求めるが決定は区役所が行う。

障問連:やはり無理がある。パブコメでも意見をのべる。検討するべき。

医療的ケア特別基準のウの時間がみじかく、6ー2の超過基準と逆転を起こしているのは気づいているのか?

神戸市:認識している。数字を変更するのは来年度にもちこしたい。

障問連:医療的ケア特別基準のイやウの人の一晩あたりの深夜の使用時間を4.5時間や3時間に限定するのはナンセンスであり変えるべきである。

神戸市:限定は削除した。

障問連:超過基準で深夜帯支援が必要なら精神障害者も対象にするべき。

神戸市:超過基準は1~7を3障害共通にする予定。

障問連:単身者の場合は必然的に介護がニーズが増えるため単身の場合を超過基準に追加するべき。

神戸市:環境区分で対応しているのでそれ以上は難しいと判断した。

(最後に)

神戸市:来週からパブコメとあわただしいことは申し訳ない。やりとりは継続していくつもりはあるのでよろしくお願いしたい。今回の見直しの中に問題あれば、来年度のやりとりの中で見直していきたい。

障問連:3月パブコメとりまとめ後にやりとりしたい。

神戸市:了解した。

 

 

◆神戸市がガイドラインの改定案でパブリックコメントを募集 期間・・・2/3~3/4

皆さん、ぜひ多くの意見を神戸市に送って下さい!!

みなさまへ

緊急の取り組みのお願いを送らせていただきます。上記のようにギリギリまで神戸市と協議を重ねましたが、神戸市が、2月3日から3月4日まで支給決定基準の見直しについてのパブリックコメントの募集を開始しました。一人でも多くの方の意見を届けていただきたくお知らせとお願いです。(事務局 田中義一)

 

【概要:神戸市HPより】

神戸市ホームページ「障害者自立支援給付制度 支給量審査基準の見直し案についての意見募集」https://www.city.kobe.lg.jp/a95295/shise/kocho/comment/gyoute/hokenfukushikyoku/syougai.html より)

【概要 神戸市HPより抜粋】

「・・・現在の基準が制定された自立支援法施行後、10年余りが経過し、障害者施策関連の法令が大きく改正・整備されました。改正された法の理念等にのっとり、障害者が住みなれた地域で生活していくうえで特に重要なサービスである訪問系サービスについて、「神戸市支給量審査基準」の見直しを行うこととします。つきましては、「神戸市障害者自立支援給付制度支給量審査基準の見直し(案)」に対する市民の皆様のご意見を募集します

※市HPには改定内容があります。

 

○この間の経緯

神戸市ではここ10年、年々ヘルパー時間数の支給決定が厳しくなり、更新時に削られたり、新しく一人暮らしを希望しても長時間の決定を渋られる状況が多数発生していました。私達は、非公開の支給決定審査基準の見直しの要望に取り組み、神戸市は2017年にようやく見直し作業を開始しました。

しかし行政関係者のみで1年半内部検討会を行い、昨年5月に案を障害者団体に提示、9月には運用開始予定と発表されました。あまりに当事者参画を軽視した手続きであり、内容も数字の見直しもなく、行政目線の見直し案に対し意見書を提出し、半年あまり協議を重ねた結果、「積み残した課題については来年度、当事者意見をふまえた検討を継続する。第一弾の見直し分はなんとか運用開始したい」と今回のパブリックコメントに至りました。

協議の結果、上記のようにいくつか細部の訂正はありましたが、大筋5月の行政のみの見直し案のままの強行案といわざるを得ません。以下見直し案のポイントをあげます。

 

○以下を参考にしてパブコメを送ってください

【介護環境区分】

従来からあった同居者あり、単身等の扱いを事務的に処理しやすくした区分です。本来家族に介護を頼むかどうかはきわめてデリケートな事項であり、環境区分自体に私達は反対の立場です。本人の意向を第一にききとり尊重することを明記すること、同居家族がいたとしても、本人の希望が標準支給量を越える場合は、非定型審査会に必ずあげることを明記することが必要だと思います。

 

【医療的ケア特別基準】

吸引など医療的ケアが必要な人に対しては、少し多めな特別基準を作って区役所だけである程度支給できるようにすれば市役所との協議や審査会の手続きが省けるという事務をスムーズにする案です。人工呼吸器をつけている人に対して、何時間一人ですごせるかを医師にきいて区分を設定することには無理があります。地域生活の可否まで医師にきくとあります。医師には注意事項を参考できくくらいが精一杯で、本人、家族に対するききとりで区分を判断するべきで、地域生活の可否について医師に意見をきくのは削除するべきだと考えます。

 

【支給決定プロセスの明確化】

今までオープンにしていなかった区の1.5倍権限をオープンにするにあたり、条件を設定したいという意図で標準支給量超過基準が提案されています。1.5倍でも不足している時間数が問題なのに、1.5倍にならない人を設定することは逆行であり、この要件で時間数が減る人がでることは防がなくてはなりません。標準支給量を越える場合は、支援区分の見直しが前提であるが、以下の人には1.5倍を認めるという考え方が間違っています。標準時間数も区分もあくまでも目安であり、区分の見直しは前提ではありません。

提示されている7条件で長時間必要な方が網羅されていることが、大切だと思います。言語障害が軽いが、一人暮らしをめざして昼間の介護がたくさん必要な方などは該当しない可能性があります。こんな場合は困るというような情報をたくさん寄せていただけるとよいと思います。もちろん条件にあわなくても必要なら非定型審査会にかけて支給決定の可能性があることもわかりやすく明記するべきです。

 

その他、今回の見直しをきっかけにガイドラインとして公開されることになりましたが、わかりやすい文章でかくこと、区役所はよく「他の類似事例と比較して妥当かどうか」などといって抑制してくるが、個別のニーズにもとづいて決めることを周知してほしい!深夜に全然時間数がたりない

!もっと障害者の意見をきいて検討してほしいなど、支給決定に関する思いならなんでも自由に伝えてほしいです。神戸市在住に関わらず、多くの人の意見を是非是非お寄せください。どうぞよろしくお願いいたします。

 

◆「自分らしく生きたい!人権としての介護保障実現を目指して」集会報告

 

報告が遅くなりましたが、昨年12月6日に神戸市勤労会館にて、表記の集会が「障害者の介護保障を考える会」と障問連主催により開催されました。考える会での県下の多くの介護保障に関する相談にどう対応すれば良いのか、神戸市のガイドライン問題、そしてAさん原告の「理由付記裁判」など介護保障をめぐるこの間の県下の課題について、藤岡弁護士をゲストにミニ講演と各種報告、質疑応答が活発に行われました。以下、講演を中心に報告します。     (※右写真は司会する野橋事務局次長)

○講演:「人権としての介護保障実現を目指して」

講師 藤岡毅弁護士 (介護保障を考える弁護士と障害者の会全国ネット共同代表)

 

藤岡弁護士を紹介する新聞記事(2008年10/31朝日新聞)には、「・・・次男駿人君には知的障害がある。『障害を自己責任と考え、利用料を強いる社会に子どもを残し、死ぬに死ねません』」と自ら原告に加わり「自立支援法違憲訴訟全国弁護団事務局長」として奔走され、その他「障害者制度改革推進会議総合福祉部会委員」や日弁連での役職など、この10年間、国に対する取り組みの障害者の人権を守る様々な「要」となる位置で活動され続けた弁護士。その立場での講演内容は、1990年代初頭のバブル経済崩壊までさかのぼり、それ以降の国の施策の方針、それに対する抵抗としての自立支援法違憲訴訟、政権交代も伴っての制度改革、しかし再び自公政権に戻り、現在の状況は「いま暴風雨が吹き荒れている」と評されながら、しかし私たちの介護保障要求の正当性について、障害者権利条約や基本法や総合支援法、学説や裁判判例など多方面から見ても正当である事を力強く話されました。以下、後半部分について報告します。

 

○「いま、暴風雨が吹き荒れている」

・「税と社会保障の一体改革」     「生活保護」バッシング

・「超保守政権」による社会保障切り下げ    「自立・自助」の過度な協調

・自己負担率の引き上げ

 

○私たちの法的根拠

・憲法上の人権として・・・「幸福追求権・個人の尊厳」「居住移転の自由~障害者の移動の自由」「平等権」「生存権」・・・これらを独立に考えるのではなく、立体的・重層的に人権は構成されている。

・障害者の権利条約目的

「全ての障害者のあらゆる基本的人権が完全にそして平等に享有されることが、今よりもっと促進され、確実に守られ、しっかりと実現されること及び障害者1人ひとりの人間としての尊厳が尊重される社会になること」

→ 例えば、いま神戸市で問題になっているガイドライン問題でも、このような理念がきちんと書かれているのか、それをチェックする必要があると藤岡弁護士は語られていました。そして判例や学説も引用されながら、「障害者の在宅での自立生活は憲法第22条等に規定された基本的人権であり、かつ個人の精神的自由の保障の問題であり、司法審査は厳格に行われなければならない」。

 

○障害者基本法、総合支援法では・・・

二つの法の条文も紹介されながら、藤岡弁護士は以下のようにまとめられました。

「行政は『基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付』を行わなければなりません。例えば、夜間の排尿介護の必要性を訴える障害者に対して、行政側が『オムツをすればいい』として介護給付を拒否することがよくあります。しかし、それは人権を享有する個人の尊重にふさわしい生活を営むことができるための給付とは到底言えませんから、そのような拒否は総合支援法第1条違反として許されません」

 

○これまでの介護保障をめぐる判例から

藤岡弁護士は、数多くの介護保障裁判の弁護団として、また全国ネットの共同代表として活動の経験そして裁判判例を紹介され、「障害者の事情は千差万別であり、介護保障は定型的・嘲笑的な枠で決めてはならず、個別事情、個別ニーズに即した必要な支給量が保障されなければならないという法規範が示されました」と判例(第一次鈴木訴訟判決2006年)を下に紹介され、さらに「障害者への個別の必要性に応じた算定、加算、支給決定を特段の事情がなく認める運用を必ず行うことを行政庁に義務付けている」「基準時間を超える場合は、個別の事情を勘案して必要性に応じた支給をしっかりと行い、支給を制限しない運用することを前提として基準は法的に存在がゆるされる」と明快に話されました。

また現在、神戸地裁で争われる「理由付記裁判」についても、2007年福島地裁判決について「障害者の申請通りでない支給決定を下すためには必ず『理由』が決定書に記載されていることが必要であることが確認なされた判例」として紹介され、私たちは強く励まされました。

 

最後に・・・「人間として当たり前に生きる権利=人権としての介護が保障されるよう、力を合わせていきましょう!!」と締めくくられました。

藤岡弁護士、貴重な講演、ありがとうございました。

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