優生思想

【報告:優生思想】 強制不妊手術/出生前診断

障問連事務局

◆  旧優生保護法 兵庫県が被害者の所在等を確認、判明したのは1人

毎日新聞10月30日報道によると・・・

○旧優生保護法下での強制不妊手術の問題で、国が制定した「救済法に基づく一時金(320万円)制度」、兵庫県は確認できた330件の手術に対し、一時金の申請は8件にとどまっている。

○県や国は医療・福祉機関に問い合わせるなどして被害者の実態把握に努めてきた。一方、兵庫県は「プライバシー保護」を理由に手術を確認できた人に一時金の対象者だと通知しない考えだった。しかし、被害団体の要望を受け、「調査して居場所が分かれば知らせる」と8月に方針を転換した。改めて当時の被害者の情報を8月から関係機関に求めてきた。

○また、昨年10月に県政資料館で見つかった63人の記録について、今年の夏から当時住んでいた自治体への照会等の追跡調査が行われた。県健康増進課によると、現住所を把握できたのは1人、12人は死亡、50人については何も分からなかった。把握できた1人に対しては、今月中に職員が直接訪ねて制度を通知する。

○兵庫県は1966年から8年以上、強制不妊手術を公費負担するなど「不幸な子どもの生まれない運動」を進め優生思想を積極的に広めた。国家賠償請求訴訟を起こした県内の原告5人は県に対し、制度の周知徹底のほか、過去の運動への謝罪を求めている。

 

旧優生保護法・国家賠償請求/兵庫訴訟の予定

【次回 第5回口頭弁論】 11月28日(木)15時~ 神戸地裁大法廷

【第6回口頭弁論】2020年2月13日(木)15時~ 神戸地裁大法廷

 

◆  厚労省が新型出生前診断の検討部会を10月に開始

10月下旬の毎日新聞で、新型出生前診断(NIPT)に関する報道が連日行われている。私たちの知らないところで非常に問題のある事態が進行しています。

○「無認定診断~膨らむ市場~企業〈新たな収益源〉」(10/22見出し)

世界ではNIPT市場が急成長、市場規模は26か国で約6000億円。担い手はゲノム解析技術を持つ検査機関。海外の検査企業が日本を新たな収益拡大として狙い、国内の業者が仲介して拡大している。検査費用は1回20万円、半分が収益になり、仲介業者と採血施設が収益を分け合っている。欧州では検査費用が5万~10万円と日本より安価。「・・・私たちが参入すれば価格は下がる」と海外の企業関係者か語っている。また認定施設の拡大を目指す日本産科婦人科学会の倫理委員長は「NIPTの希望者は推定で年10~30万人。国全体で30万人の受け入れ態勢を整備する必要がある」とコメントしている。

○厚労省が10月21日からNIPTの検討部会を始める

このような状況の中、20年ぶり(優生保護法→母体保護法への改定)に「命の選別」に「国が介入することを意味する」とし、「胎児条項議論再燃も?」と毎日新聞では警鐘を鳴らしている。また10月30日報道では、国立成育医療研究センターが国内のダウン症児の出生数を推定した結果、2017年までの7年間に毎年2200人と横ばい。その評価として高齢出産が増加しダウン症の出生数が多くなるはずだが、出生前診断により、要するにダウン症児と分かれば中絶するケースもあるため「均衡が取れている」とし、出生前診断を評価する内容を同研究センターは米国遺伝医学雑誌に報告している。それに対し日本ダウン症協会の幹部は「ダウン症児の増加=悪という差別意識が前提にあるのでは」との憤りのコメントが紹介されている。

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