新聞記事から

【報告:様々な動向】  相模原事件が来年3月に判決/急増している出生前診断/就労中の重度訪問の利用問題/報酬改定議論、再び介護保険との統合が??

障問連事務局

 

◆相模原殺傷事件 来年3月16日判決    (毎日新聞10/3報道)

相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害され、26人が重軽傷を負った事件で、横浜地裁は2日、殺人などの罪に問われた元職員の植松聖被告(29)に対する裁判員裁判の判決を来年3月16日に言い渡すと発表した。初公判は来年1月8日に開かれる。

公判は1月から3月にかけて26回実施される。1月中に11回、2月中に13回の審理を経て、3月4日に論告求刑公判を行って結審し、16日午後1時半から判決を言い渡す予定。審理の状況により公判期日が変更されることもある。(以下、事件内容の記述は省略)

 

◆出生前診断が美容外科でも実施されている!?

8月19日毎日新聞の報道によると、新型出生前診断(NIPT)が産科婦人科学会の認定も受けず、採血だけででき利益が大きいため、この1年間で多くの病院で実施されている事が判明したと報じられています。調査によると「無認定施設40施設、うち9割が産科以外の病院で、そのうち美容外科が21施設と最も多い」とのこと。学会の指針で求められている産科医もおらず、利用者へのカウンセリングも不十分なままで実施されている事が明らかになっています。

相模原事件の報道がめっきり無くなり、上記の記事も危うく見落とすところだった。被告の主張する優生思想がどう判断されるのかに注目したいが、しかし「命の選別」、優生思想に基づく検査が、このように無法図に行われています。

 

◆通勤・就労中の重度訪問介護利用について

7月の参議院選挙において、「れいわ新撰組」の2人の重度障害者が参議院議員に当選したことを発端として、「通勤・勤務問題」が大きく社会的にも注目されることになりました。

重度訪問介護や移動支援等の利用にあたり、「通年の経済活動の支援に該当する通勤の支援(通学も)はできない」とされており、総合支援法の見直し過程でも大きな課題とされながらも、改正は棚上げされてきました。しかし国会に重度障害者の議員が誕生した事により大きく注目され・・・

○厚労省内の「障害者雇用・福祉連携強化プロジェクトチーム」

○自民党内でのプロジェクトチームの立ち上げ

8月初旬に以上の取り組みが始まったと報道され、後者のPTでは「・・・年内に提言をまとめ、障害者総合支援法など関連法の改正が必要なら、通常国会以降の成立を目指すスケジュールが想定されており、支援対象とする障害者の範囲や予算規模などが検討課題となる。自民党関係者は『給付と負担のバランスを見ながらまとめたい』と報道されています。

障問連にも在宅ワーク中の重度訪問介護利用に関する相談が寄せられました。この国の動きでは通学問題がなんら触れられず、移動支援では認められない状況は継続します。大阪では自治体独自の施策の検討が行われようとし、政令都市を含む「21大都市心身障害者(児)福祉主管課長会議」としても国に対する要望項目として取り上げられています。

 

◆次期報酬改定に向けて議論がスタート・・・「被保険者・受給者範囲」が

論点にあがり、ふたたび介護保険統合の危険性も???

2021年度4月の報酬改定に向け、来年の国会への法案提出を前提とした具体的な議論がスタートしました。その中に「持続可能な制度の再構築・介護現場の革新」の項目があり、「給付と負担」の検討の中で「被保険者・受給者範囲」についても検討することが示され、要するに増大する介護保険の費用を賄うために、20歳以上の若年層からの保険料徴収、同時に「介護保険を全年齢対応にしていくかどうか」を意味しています。これまで障害者運動が反対してきた「介護保険との統合」が危惧されるところです。『JIL政策委員会ニュース』によると「・・・『被保険者・受給者範囲』については10月以降12月までの間にどこかの部会で議論される予定です。これまでもJILや他の当事者団体も介護保険統合には反対の声を上げてきました。今回の部会の議論にも注視が必要です」とされています。

その他、9月24日には自民党が「人生100年時代戦略本部」を開き、安倍晋三首相肝いりの「全世代型社会保障制度改革」の具体化に向けての議論が始められ、12月上旬までに提言を出し、政府が年内にまとめる中間報告に反映させたい考えという。

 

◆特別支援学級 外国籍の児童が急増している

8月の障問連の拡大事務局会議の終了後、教育関係者から「・・・特別支援学級に外国籍の生徒が増えている。保護者も日本語の分からず福祉や医療の情報や説明も十分にされていない。どうすれば良いのか・・・」とお聞きしました。

すると9月1日、毎日新聞の一面トップで「特別支援学級 外国籍の児童が2倍 ~ IQ検査 日本語力が影響か  集住25市町」との見出しで報道されていた。記事によると、「外国人集住都市会議」に参加する25市町を対象に同社が情報開示し、その結果、日本語の習得が必要なのに65%の児童が日本語教育を受けていない。また、IQ検査で判断されるが、外国籍児童が日本語も日本文化も分からず検査結果が低く評価され知的障害があると特別支援学級に入級しているという。例えばIQ検査では「鎌倉幕府を開いたのは誰か?」「七夕はいつか?」等に似た設問があるが、日本文化を知らなければ答えられず低く判定され、その結果特別支援学級に措置されている。

同紙「にほんでいきる ~外国からきた子どもたち」(9/3報道)によれば「…日本語が十分に理解できないため学校や医師との合意形成ができず、希望しないまま特別支援学級に在籍する外国人の子どもは後を絶たない」とされ、岐阜県のある学校では支援学級のことを「ブラジル人収容所」と呼ばれているという。同紙、有識者のコメントとして「南米からの日系人が急増した1990年代、日本語教室の設置や指導員の配置に手が回らず、一部の学校現場に『日本語が分からない子は通常の授業を受けても仕方がない』などの場当たり的な考えが見られた。その結果、日本語教育と称して特別支援学級に通わせるケースを何度か目にした。今は研究が進み、障害のない外国籍の子どもの日本語教育を特別支援学級で行うことは不適切という認識が定着している。現在もそのようなケースがあるとしたら問題だ」(※栃木県内の中学校で外国人の生徒を受け持った経験がある宇都宮大学の若林秀樹客員教授の話)

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