新聞記事から

【報道】 新聞記事より

■強制不妊救済法成立も 配偶者対象外で原告憤り

神戸新聞NEXT 2019/4/24 22:46

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201904/0012272938.shtml

 

旧優生保護法下で障害者らに不妊手術が繰り返された問題で、24日成立した救済法。神戸地裁で国家賠償請求訴訟を起こした兵庫の夫婦2組は、夫婦としての被害回復を望むが、一時金の支給は手術を受けさせられた本人のみで、配偶者は対象外とされた。原告らは「夫婦2人で長い間つらい思いをしてきたのに」と憤る。

「家族をつくる夢が壊された」。救済法成立を前にした13日、兵庫県在住で聴覚障害がある80代男性が手話で訴えた。

幼少期に病気で難聴となり、妻と婚約後、20代で不妊手術を受けさせられた。「夫婦で子どもを産み育てたかった。絶対、妻にも一時金を支払うべき」。手の動きが激しさを増した。

同じく聴覚障害がある70代の妻は手術を免れたが「子どもをつくれなくなったのは『私たち』。何の相談もなく夫は手術に連れて行かれ、とても悲しかった。腹立たしい」と語った。

いずれも聴覚障害がある明石市の小林宝二さん(87)と妻喜美子さん(86)は、妻だけが手術を余儀なくされた。2人は「年老いた私たちを支えてくれる子どもがいないことでつらい気持ちを抱え続けています」とコメントを出し、配偶者の救済を求めた。

12歳のとき、説明なく不妊手術を受けさせられた脳性まひの鈴木由美さん(63)=神戸市=は「国がきちんと謝罪し、対応するまでは戦いたい」とコメントを出した。

原告弁護団は24日、会見を開き、声明を発表した。「旧優生保護法の違憲性について国の責任を明記しておらず、一時金320万円はあまりに低額」と批判。支給を受けるには被害者本人からの申し出が前提となるため、個別周知の徹底を求め、「法改正も視野に入れて、真の被害回復に向けての努力を検討すべき」とした。

兵庫の原告5人は1人当たり1100万円の損害賠償を求めており、訴訟を続ける意向という。(小林伸哉)

 

 

■介助者集めに奔走 重度障害者の自立生活 神戸の男性ルポ

神戸新聞NEXT 2019/4/12 05:30

https://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/201904/0012233515.shtml

 

重い障害で24時間介助が必要な神戸市兵庫区の堀之内和弘さん(38)が、身の回りの支援をする介助者を募りながら一人暮らしにこだわって生活している。昨年12月に公開された俳優・大泉洋さん主演の映画「こんな夜更けにバナナかよ」は、障害者の自立生活の在り方に一石を投じ、大きな反響を呼んだ。「自分らしい生活を求める姿に自分を重ねた」と話す堀之内さんの生活をのぞかせてもらった。(石川 翠)

堀之内さんは先天性の血友病で、出産時、頭蓋内出血の手術をした際に脳性まひが残った。手先は動くので電動車いすで移動し、食事やトイレなどは介助者に手伝ってもらい日常生活を送っている。

午前6時半、アラーム音で目覚め、男性介助者に支えられながら布団から出る。外出着に着替え、朝食などを済ませて作業所へ。夕方までクリーニングされた衣類をたたむ作業などに従事する。

「1人暮らしをしたい」。そう思い立ち、市内の自立支援施設を訪れたのは2012年。探してきた部屋を提示したが、「まずは介助者探しから」と諭され、人集めから始めた。

通常、複数の事業所と契約して必要な介助者を集めるが、堀之内さんは交流イベントに参加する学生ボランティアに「家での介助もやってみーひん?」と積極的に声を掛け回った。現在は大学生10人ほどもローテーションで介助に当たる。「自分で介助者を連れて来た人は彼くらい」と同施設の職員も驚く。

堀之内さんは、仕事を終えると、介助者とスーパーに立ち寄り、食材や日用品を購入して帰宅。食事をしていると、「こんばんは~」ともう一人の介助者がやって来た。慣れた様子で洗濯物を片付けたり、布団を敷いたりする。入浴は2人体制で介助。手すりを握って自力でも体を支えながら、腰掛けた状態で体を洗ってから浴槽に。以前のワンルーム生活だった頃は、入浴も一苦労だった。

介助者と一緒にテレビを見てゆっくりした後、寝る体勢に。日中はずっと座っている姿勢のため、布団の上で体を動かすことは大切。介助者の負担を軽減するためベッドに変えようか検討しているが、柵に挟まったり転げ落ちたりする不安もあるという。

映画タイトルは主人公が真夜中にバナナを食べたいと言い出し、ボランティアが思わずこぼした言葉だ。堀之内さんは「バナナはないけど、真夜中に突然ラーメン食べに行きたいと言ったことはある」と笑う。

たくさんの人を巻き込み、「わがまま」と言われながらもやりたいことをする主人公を見ていると胸が熱くなったという。

介助や活動を共にしてきたNPO法人生活支援研究会事務局長の田中義一さん(49)は「いつも人探しに追われる綱渡りの状態。自分を他人にさらけ出して関わってもらうことになるので気持ちの負担も大きいと思うが、自分らしい生活を求める姿はすごい」と話す。

月に一度、親元を離れた生活を体験する「お泊まり会」を行う「いるかグループ」の代表も務めており、参加者を募っている。

 

 

■障害年金データ公表 本年度から、不支給や停止人数

東京新聞 2019年4月30日 朝刊

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201904/CK2019043002000099.html

 

国の障害年金を申請して不支給と判定されたり、更新の際に支給を打ち切られたりする人がどれだけいるか、厚生労働省は本年度から毎年データを集計し、公表する方針を決めた。障害年金の支給・不支給の判定にはばらつきが指摘されているほか、判断理由も明示されないため「不透明だ」と批判があった。

データが公表されれば、不支給とされた人数や割合の推移などが分かり、判定の妥当性を検証する材料の一つとなる。厚労省は障害の種類別や都道府県別など、どの程度詳細に集計するか今後詰める。ただ、本年度より前の過去分は集計しない考えだ。

障害年金は病気やけがで一定の障害のある人が条件を満たした場合に受け取れる。申請を受け日本年金機構の判定医が支給の可否や等級を審査する。審査は書類のみで、ほとんどは判定医が単独で判断するため、実際の障害の程度よりも軽くされたり、判定医が交代すると審査結果が変わったりする問題がある。

厚労省は年金機構の判定が都道府県ごとに分かれていた二〇一五年、不支給と判定される人の割合に最大約六倍の地域差があったとの調査結果を発表したが、その後は毎年の不支給の割合を明らかにしていない。一七年にはばらつきの是正策として判定を東京に一元化したが、どれだけ改善されたかも分かっていない。

<障害年金> 病気やけがで一定の障害のある人が受け取れる公的年金。受給者は2017年3月現在、約211万人。その傷病で初めて医療機関にかかった初診日の時点で加入していた制度によって障害基礎年金、障害厚生年金などと種類が分かれる。障害の重さで1~3級があり基礎年金の場合、1級で月約8万1000円、2級で月約6万5000円。基礎年金は3級では支給されない。数年置きに更新手続きが必要な場合があり、「障害が軽くなった」と判定されると、支給が打ち切られたり減額されたりする。

 

 

■民間の障害者雇用、53万人 大幅増でも法定率届かず

東京新聞 2019年4月10日 朝刊

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201904/CK2019041002000136.html

 

厚生労働省は九日、民間企業で働く障害者は昨年六月一日時点で五十三万四千七百六十九人となり、十五年連続で過去最多を更新したと発表した。前年比7・9%(約三万九千人)増と大幅に伸び、対象企業の従業員に占める割合である雇用率も2・05%と過去最高を更新した。ただ、障害者雇用促進法に基づく企業の法定率2・2%には届かなかった。

大幅に増えたのは、法定率が昨年四月に0・2ポイント引き上げられたことや、企業の意識の高まりが要因とみられる。

障害者雇用が義務付けられる対象は、従業員四五・五人(短時間労働者は〇・五人で計算)以上の企業。障害種別では、身体が三十四万六千二百八人(前年比3・8%増)、知的が十二万一千百六十六人(同7・9%増)、精神が六万七千三百九十五人(同34・7%増)だった。精神の大幅な増加は、昨年四月に雇用義務化の対象に加えられ、企業が積極的に採用しているためという。

法定率を未達成の企業は全体の54・1%に当たる五万四千三百六十九社で、うち障害者を一人も雇用していない企業が三万一千四百三十九社あった。

昨年八月に発覚した中央省庁の障害者雇用水増し問題を受け、国や自治体が採用を急ピッチで進めており、企業への影響を懸念する声もある。今回の調査は昨年六月時点のため、影響は見て取れないが、厚労省は今年一月以降に国の採用試験に合格して民間企業を辞めた人数などを調べている。

国の機関の雇用率については厚労省が昨年十二月、六月時点で1・22%(法定率2・5%)だったと発表。例年、企業分も同時に発表していたが、データ入力作業で不具合が生じ、遅れていた。

 

 

■植松被告、来年1月初公判=障害者施設19人殺害-横浜地裁

時事通信社 2019年04月24日11時17分

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019042400414&g=soc

 

相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年、入所者の男女19人が殺害された事件で、横浜地裁(青沼潔裁判長)は24日までに、殺人罪などに問われた元職員植松聖被告(29)の裁判員裁判の初公判を来年1月8日午前11時に開くことを決めた。

地裁はまた、公判で被害者の氏名などを秘匿することも決定。同年3月末までに判決を出す方向で検察、弁護側と公判日程を調整する。

植松被告は取り調べに対し、「障害者は生きていても仕方がない」などと供述。横浜地検が実施した精神鑑定で、人格障害の一つである「自己愛性パーソナリティー障害」と診断された。地検は刑事責任能力を問えると判断し、17年2月に起訴した。

 

 

■視覚障害者10人死亡=駅ホームで転落・接触-10~17年度、負傷も5人・国交省

時事通信社 2019年04月28日07時15分

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019042700415&g=soc

 

全国の駅で列車に接触して死亡した視覚障害者が2010~17年度に計10人に上ることが27日、国土交通省への取材で分かった。18年度も視覚障害者の死亡事故は発生しており、ホームドア整備など防止策の加速が求められそうだ。

国交省によると、10~17年度に視覚障害者がホームから転落したトラブルは計605件、ホームで列車などと接触した事故は計15件。同期間中の負傷者も5人いた。

注目されるきっかけになったのは11年1月に起きた事故。JR山手線目白駅(東京都豊島区)でマッサージ師の男性=当時(42)=が線路に転落し、列車にはねられ死亡した。

国交省はこの事故を受け、1日の平均乗降客数が1万人以上の駅を対象に、視覚障害者が転落の危険性を把握できるよう警告用点字ブロックの整備を鉄道各社に要請。また、同10万人以上の駅では点字ブロックに加え、ホームドアの整備も優先する考えを示した。

ホームドア、警告用点字ブロックのいずれかは18年3月末時点で、同10万人以上の全275駅で整備された。また、同1万人以上の2161駅中93.3%の2017駅でも整備され、100%達成も視野に入る状況だ。

ただ、ホームドアの導入はまだ全体の一部にとどまり、視覚障害者が犠牲になる事故は近年も続いている。16年8月には東京メトロ青山一丁目駅(港区)で盲導犬を連れていた会社員男性=当時(55)=が線路に転落し、列車にひかれて死亡。17年1月にもJR京浜東北線蕨駅(埼玉県蕨市)で盲導犬を連れたマッサージ師の男性=同(63)=が転落し、列車にはねられて亡くなった。

JR富木駅(大阪府高石市)で17年10月、白杖(はくじょう)をついていた無職男性=同(59)=が、18年9月には東急大井町線下神明駅(品川区)で鍼灸(しんきゅう)師の男性=同(71)=がそれぞれ転落し、列車にはねられて死亡する事故が起きている。

 

 

■聴覚障害者「演説分からない」 統一地方選、費用などが壁に

毎日新聞2019年4月20日 15時58分(最終更新 4月20日 17時26分)

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190420/k00/00m/010/119000c

 

統一地方選は21日に各地で市長選など後半戦の投開票がある。候補者たちは選挙戦最終日の20日、最後の訴えを続けるが、聴覚障害者からは「演説内容が分からない」との声が上がる。費用などの問題から個人演説会などで手話通訳者の導入などに踏み切る候補者が少なく、関係者は改善を求める。

「最寄り駅で候補者の演説を見たが、当然のように手話通訳などはなかった」。こう訴えるのは、自動車部品メーカーの工場で働く三重県鈴鹿市の会社員、太田学さん(42)。20歳の時に交通事故で両耳の聴覚を失った。

同市では21日に市議選が投開票されるが、候補者の街頭演説や個人演説会で、太田さんが手話や要約筆記を目にしたことはない。太田さんは「参政権があるのに候補者の声が聞けないのは不公平」と、公費負担による通訳者の配置を義務化する必要性を訴える。

総務省によると、選挙活動に手話通訳者や演説の要約筆記者を付ける場合の費用は、公職選挙法で規定されており、候補者負担により報酬は1日につき1万5000円が上限となっている。三重県聴覚障害者協会によると、7日に投開票された同県議選(定数51)では、個人演説会などで手話通訳を導入した候補者は65人のうち2人だった。

全日本ろうあ連盟の倉野直紀理事は「聴覚障害者が候補者の主張を理解し、快適に過ごすには法律から見直すべきだ」と指摘する。同連盟は昨年7月、市町村選挙を含む全ての選挙の個人演説会などに手話通訳や要約筆記を義務づけるよう求める要望書を総務省に提出し、聴覚障害者の参政権の保障を訴えた。

ただ、全ての選挙に通訳者を配置するとなると、別の問題も生じる。倉野理事は「通訳者は他の仕事と掛け持ちしていることが多く、指定した日時に確実に配置するのは難しい」と話す。また現状では選挙における手話通訳者や要約筆記者の報酬水準も十分とは言えないといい、課題は多い。【森田采花】

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