新聞記事から

【報道】 新聞記事より

■障害者殺傷事件からあすで一年半 被害者家族はNHK NEWS Web 2018年1月25日 19時07分

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180125/k10011302621000.html

 

おととし7月26日、相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害され、27人が重軽傷を負った事件。殺人などの罪で起訴された元職員の植松聖被告は「障害者は不幸を生むことしかできない」などと供述し、社会に衝撃と波紋を広げました。26日で事件から1年半。被害者家族を取材しました。

植松被告が接見で自身を正当化する主張を続けたことについて、息子が大けがをさせられた父親は「正当性を主張しようと誇張して話している」と被告の言葉を強く否定しました。

息子の一矢さん(44)が植松被告に首や腹などを刺され、一時、意識不明となった父親の尾野剛志さん(74)は、週に一度、一矢さんが暮らす横浜市の移転先の施設に通って体調などを確認しています。

尾野さんは「あっという間の1年半でした。事件前ほどではないですが、息子もだいぶ落ち着いてきてほっとしています」と話しています。

植松被告が記者との接見の中で事件を起こした理由として差別的な主張を繰り返していることについて、「言葉が話せなくても、体を動かしたり目を見たりして思いを送れるし、私が一矢に『また来るよ』と言えば喜んでくれ、心が通じていることを感じます。毎週会うのが楽しみで、私は幸せです。被告の考えは間違っているし、不幸などと言われる筋合いはない」と被告の言葉を強く否定しました。

植松被告が施設で入所者を助けた際に家族にお礼を言われず、障害者は不必要な存在なのだと感じるようになったと説明したことについて、「あたかも自分の正当性を主張するために一つの例えを出して誇張して言っていると感じます。自分の思想や考え方を押しつけようとしているようで私には理解できない」と語りました。

そして、「もし自分の子どもに重度障害があったら殺すのか」という問いに被告が口ごもって答えなかったことについて、「それがいちばん考えるべきことで、私が息子に思うのと同じように被告もかわいいと思うはずです。障害を理由に自分の子どもを殺せるのか。守ろうとするはずで彼は矛盾しています」と話しました。

 

 

■相模原障害者施設襲撃事件

時事通信社 2018/01/25 15:56

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018012500938&g=tha

 

相模原障害者施設襲撃事件 2016年7月26日未明、相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」に、元職員の植松聖被告(28)が侵入。職員を結束バンドで拘束した上で、19~70歳の入所男女19人を刺殺、24人に重軽傷を負わせるなどした。同被告は直後に出頭し逮捕され、殺人罪などで起訴された。公判前整理手続きが行われているが、初公判のめどは立っていない。

 

 

■【社説】障害者の雇用 活躍の機会を広げたい

東京新聞 2018年1月23日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018012302000172.html

 

国を挙げて進められる働き方改革。働き手を大事にする企業かどうかを見極める指標の一つは、障害のある人が働きやすいかどうかだ。障害者の雇用を評価する機運を高め、チャンスを広げよう。

仕事を通して自立と社会参加を果たし、夢や希望の実現をめざす。障害の有無にかかわらず、多くの人が描く人生の道筋だろう。

労働市場から締め出されがちな障害者の働く機会を確保するのが、障害者雇用促進法の目的だ。官民を超えて、事業主に働き手の一定割合以上の障害者を雇うよう義務づけている。

法定雇用率と呼ばれ、民間企業では従業員の2・0%とされている。それが二〇一八年度から2・2%へ、さらに二〇年度末までに2・3%へ引き上げられる。

障害者を雇わねばならない企業規模は、いまの従業員五十人以上から四五・五人以上へ、さらに四三・五人以上へと広がる。

法定雇用の枠組みは、これまで身体と知能の障害者のみを対象にしてきた。これからは発達障害を含めた精神障害者も加えることとされ、雇用率が上昇した。

障害者を福祉に任せきりにするのではなく、経済を支える一員としての立場を保障する。そんなメッセージと受け止めたい。

少子高齢化が進み、労働力は不足し、社会保障制度は揺らいでいる。国が女性や高齢者、外国人と併せて、障害者の就労を後押しする背景には財政的な要請がある。

だが、忘れてならないのは、障害のある人もない人も、分け隔てをしない共生という理念だ。

法律はそれを担保するため、募集や採用、賃金、配置、昇進や降格、福利厚生といったすべての場面で差別を禁止している。同時に障害特性に応じて、勤務条件や職場環境への配慮を求めている。

厚生労働省の昨年六月時点の集計では、従業員五十人以上の企業で働く障害者は約四十九万五千八百人に上り、過去最多を更新した。十四年連続で伸びている。

だが、残念ながら、法定雇用率を満たす企業は五割にとどまる。障害者を一人も雇っていない企業は三割を占め、その多くが従業員三百人未満の中小企業だ。

事業主は社会的責任と法令順守を自覚せねばならない。教育や福祉、医療と連携した労働行政による支援ももっと手厚くしたい。

世界的に広がるESG(環境・社会・企業統治)投資の視点を取り入れ、取引先や消費者の理解と協力を促すのも一案ではないか。

 

 

■障害者雇用 チームで支援 厚労省、「ゼロ企業」に個別対応

毎日新聞2018年1月18日 東京夕刊

https://mainichi.jp/articles/20180118/dde/041/100/033000c

 

厚生労働省は来年度、障害者を一人も雇っていない「雇用ゼロ企業」に対して、ハローワークや自治体などの専門機関で構成する特別支援チームを結成し、個別にサポートする取り組みを始める。雇用ゼロ企業の数は、ここ数年は横ばいでなかなか減らず、チームに参加するメンバーがそれぞれの得意分野を生かして雇用拡大につなげる。【古関俊樹】

障害者雇用促進法は、従業員の2%にあたる障害者の雇用を企業に義務づけている。厚労省によると、昨年6月時点で、従業員50人以上の企業9万1024社のうち、2万6692社(29・3%)が一人も雇っていない。その多くが従業員300人未満の中小企業となっている。

厚労省によると、こうした企業の経営者からは「どこに相談していいか分からない」「障害者と一緒に働くイメージがわかない」などといった声が出ていた。このため、企業ごとに「障害者雇用推進チーム」を作って相談窓口を一本化し、個別にサポートしていくことにした。

具体的には、労働局に配置した「就職支援コーディネーター」が企業を訪問し、それぞれの事情に応じた支援計画を作成。それに基づいてハローワークや地元自治体、障害者の就業と生活を手助けしている「障害者就業・生活支援センター」、企業からの障害者雇用の相談に乗っている「地域障害者職業センター」などがチームとして連携し、課題の解決を図る。また、厚労省は雇用ゼロ企業の経営者らを招いて障害者が働く現場を見てもらうバスツアーも新たに企画し、理解を深めてもらうことにしている。

厚労省障害者雇用対策課は「企業が相談をしやすい環境を作りたい」としている。

 

■ことば 企業の障害者雇用義務

国は障害者雇用促進法に基づき、企業に法定雇用率(従業員の2%)に相当する人数の身体、知的障害者の雇用を義務付けている。2018年度から精神障害者の雇用も義務付けられ、国は法定雇用率を20年度末までに2・3%に引き上げる方針。従業員数が100人を超える企業が雇用率を未達成の場合、不足分1人あたり月5万円の納付金を納めなければならない。

 

 

■虐待多発障害者施設に県が改善勧告 加古川

神戸新聞NEXT 2018/1/19 07:00

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201801/0010910004.shtml

 

兵庫県加古川市志方町大沢の障害者支援施設「ハピネスさつま」入所者に対する職員の傷害事件を受け、県が、施設を運営する社会福祉法人「博由社」(明石市)などに、運営体制の刷新などを要求する勧告を行っていたことが18日、明らかになった。職員による入所者虐待が繰り返される状況を改善するため、理事ら役員の大幅な入れ替えを求めたとみられる。

東播磨県民局によると、昨年12月15日、県社会福祉課が同法人に、同県民局が同施設に対し、それぞれ勧告した。法人への勧告では「虐待案件が多発する異常事態を踏まえ、理事の責任を明らかにし、体制の刷新を検討する」よう指示しているという。1月末までに改善報告書の提出を求めている。

同法人の役員は昨年6月から新たな体制になっているが、前理事長らが理事として残っていたという。

18日にあった同市議会常任委員会でも市側が経過などを説明し、「6人いる理事は総入れ替えになる可能性がある」と答弁。また「県からは、県職員OBを理事長に充てる意向を聞いている」とした。

同施設では昨年3月、入所者への暴行容疑で職員が逮捕。昨年11月にも、同じ入所者への傷害容疑で別の職員が逮捕された。(切貫滋巨)

 

 

■精神障害者の4月から雇用義務 企業の48%が知らず 人材会社が調査

東京新聞 2018年1月10日 朝刊

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018011002000112.html

 

民間企業に義務付けられている障害者雇用の対象に、四月から精神障害者が加わることについて、企業の半数近くが「知らない」と回答したことが、人材サービス会社「エン・ジャパン」の調査で分かった。

民間で働く障害者の数は増え続け、精神障害者についても積極的に採用する企業が目立つが、理解不足の企業も多く温度差が浮き彫りになった。調査は昨年九~十月にインターネットで実施。五百九社が回答した。

企業に一定数の障害者雇用を義務付ける障害者雇用促進法が改正され、四月から法定雇用率が2・0%から2・2%に上がる。身体と知的のほか、新たに精神が対象に加わる。

雇用率引き上げについて「知らない」とした企業は40%、対象に精神障害者が追加されることは、「知らない」が48%を占めた。対象拡大を知らない企業のうち、障害者を雇用していない企業は71%だった。

障害者を雇用していない企業に理由(複数回答)を尋ねると「障害者に適した業種・職種ではない」が52%を占めた。

 

 

■兵庫県内の福祉避難所 5市町、場所など「周知せず」

神戸新聞NEXT  2018/1/15 12:00

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201801/0010898560.shtml

 

災害時に支援が必要な高齢者や障害者らを受け入れる「福祉避難所」。神戸新聞社が兵庫県内の全41市町に現状を聞いたところ、高齢化の進展や南海トラフ巨大地震の発生が予測される中、確保数は計933カ所に上った。しかし、災害弱者の命をつなぐ重要な場所にもかかわらず5市町が「周知していない」とするなど、課題も残った。(新開真理、貝原加奈)

調査は昨年12月に実施。確保している福祉避難所の数と受け入れ可能な人数▽取り組みは順調か▽周知方法-などを書面で尋ね、全41市町から回答を得た。

確保数については、国からの働き掛けもあり、大半の市町が公立施設のほか特別養護老人ホームなどの民間施設と協定を締結し、一定、進んだとみられる。

ただ、受け入れ可能な人数が対象者(基準は自治体により異なる)に占める割合を聞くと、「未集計」「不明」や無回答が多く、神戸市など15市町に上った。3割以下=16市町▽6割以下=3市町▽それ以上=7市町-だった。

確保の目標についても、神戸市、尼崎市、洲本市、相生市、丹波市など全体の8割に当たる32市町が「なし」と回答。西宮市が「要介護認定1~4、身体障害者手帳1・2級、療育手帳Aを所持する人ら」の受け入れを目指すとしたのをはじめ、具体的な数や基準を示したのは9市町にとどまった。

自力での避難が難しい人ごとに支援者や行き先を決める「個別計画」の策定が多くの市町で進んでおらず、ニーズを把握できていないのが要因とみられる。

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場所などの周知方法=表=については、多くがホームページや防災・ハザードマップを活用。他に、出前講座(宝塚市、高砂市など)▽障害者団体などを通じた情報提供(太子町、香美町)▽民生委員や自治会などを通じた情報提供(西脇市、朝来市)▽コミュニティーFMによる広報(三田市)-といった例があった。加東市は、当事者に一覧表を郵送するという手厚い対応だった。

一方、西宮市、加西市など5市町は「周知していない」と回答。福祉避難所が原則、近隣の小学校などの1次避難所を経由して向かう2次避難所であることを踏まえ、「直接、向かわれても対応に苦慮する」ことなどを理由に挙げた。

また、備蓄については、3割が福祉避難所に特化した物資はないと回答した。一方で、視覚障害者や高齢者に必要な杖(つえ)や介護食を用意している自治体もあり、対応が分かれた。

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福祉避難所の確保については、芦屋市、豊岡市など19市町が「順調・おおむね順調」と答えた。赤穂市など11市町は「順調でない」と回答。「行政職員の配置は人員が限られており難しい」(神河町)▽「医療機関などの人材不足」(市川町)▽「主要な施設は既に福祉避難所にしているため、他に適切な施設がない」(上郡町)-などを理由に挙げた。

【福祉避難所】一般の避難所では生活に支障がある高齢者や障害者、妊婦らを受け入れるために設けられる2次避難所。介護や生活支援に当たる職員を配置する。阪神・淡路大震災で必要性が指摘され、2007年の能登半島地震で初めて設置された。

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