新聞記事から

【報道】 新聞記事より

【報道】 新聞記事より

■相模原事件1年、神戸でデモ 「障害があっても」

神戸新聞NEXT  2017/7/24 06:33

https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201707/0010398980.shtml

 

相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害された事件から1年になるのを前に、兵庫県内外の障害者や支援者ら約160人が23日、神戸市内で追悼のデモ行進を行った。「地域で暮らしたい」「障害者は不幸じゃない」と声を上げ、障害者が地域で自由に生きられるような社会を求めた。

やまゆり園のような入所施設は現在、全国に約2600カ所あり、約13万人が暮らす。兵庫県内には昨年度時点で知的、身体障害者の入所施設が109施設あり、定員は約5600人となっている。

障害者を隔離せずに社会参加を目指す国際的な流れを受け、厚生労働省は昨年11月、本年度からの4年間で約1万1千人が地域生活に移るという数値目標を立てた。だが高齢化や障害の重度化が進み、実現は容易ではない。

デモ行進は「リメンバー7・26 神戸アクション」が主催。呼び掛け人の一人で双極性障害の吉田明彦さん(55)=神戸市兵庫区=が「事件の前も後も、障害者は差別され、排除され、殺され続けている。当たり前の権利を勝ち取るまで戦う」と主張。元町から三宮までの商店街を約1時間かけて歩いた。

車いすやつえを使う人や呼吸器を付けた人、健常者らが腕に喪章を着け「障害があっても生まれたい」「(事件で犠牲になった)19人の名前を出せ」などのプラカードを掲げた。

デモの最後、知的障害のある芝田鈴さん(49)=同市中央区=は「私と同じハンディのある人たちが理由もなく殺されてしまった悲しい事件。私たちは一人の人間。私たちの声を聞いてほしい」と訴えた。次回は神戸・三宮で8月20日午後4時から。(金 慶順)

 

 

■それでも「私たちはいる」 車いすで神戸の街角に

神戸新聞NEXT 2017/7/23 20:50

https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201707/0010398594.shtml

 

相模原殺傷事件から26日で丸1年。事件翌月から月に1回、神戸・三宮の街頭に立って問い掛け続ける障害者らがいる。「障害者の命は健常者より軽いですか?」。車いすからの問いに立ち止まる人は減っていくが「事件の根源は加害者の異常性ではなく、社会の中に存在する」と訴えてきた。

昨年7月26日の早朝、脊髄性筋萎縮症のため車いすで自立生活を送る石地かおるさん(49)=神戸市兵庫区=は事件の発生を知り、怒りと悲しみ、さらに「自分も攻撃されるのでは」という恐怖を覚えた。

その後、19人の名前や人生が伝えられることは全くなかった。介護労働の過酷さが取りざたされ、ネット上には加害者に同情、賛同する声すらあると聞くうち、新たな怒りが生まれた。このままでは障害者が「不幸で、殺されても仕方がない存在になってしまう」。

障害者自身が街頭に立ち、姿を見せて行動しないといけないと感じ、友人と共に「リメンバー7・26 神戸アクション」を立ち上げた。8月のデモには39人が参加し、全員がマイクを取った。「以前から『障害者なんていなくなればいい』との声は社会にあふれている」と声を振り絞った。立ち止まって訴えを聞き、涙ぐむ人もいた。石地さんが所属する「神経筋疾患ネットワーク」の声明文を千部用意したが、あっという間になくなった。

だが、9月の行動では風景が一変した。事件からたった2カ月。「何の人たち?」「事件って何?」。遠巻きにされ、声明文を受け取る人は激減した。

メンバーは「19人は3回殺された」と話す。最初は地域から排除されたとき。2回目は事件。そして3回目は名前を隠されたことで-。「見て見ぬふりをされ、自分が透明人間だと感じる」と石地さん。

事件後も、障害者の人権や自立が尊重されるようになったとは思わない。だが声が届かなくても、車いすや障害のある姿を地域で見せることに意味があると思う。「私たちはここにいる」と伝えるため、今後も街頭に立つ。(金 慶順)

 

 

■旧優生保護法 知的障害者に不妊手術 開示記録で裏付け

毎日新聞2017年7月26日 21時49分(最終更新 7月27日 10時05分)

https://mainichi.jp/articles/20170727/k00/00m/040/115000c

不妊手術の記録を前に会見する当事者の女性(奥)と義理の姉。「妹は日常的に腹痛を訴えていた」と証言する=宮城県庁で2017年7月26日、中川聡子撮影

 

障害者や遺伝性疾患を持つ人の不妊手術や中絶を認めていた旧優生保護法を巡り、宮城県在住の知的障害を持つ60代女性が強制的不妊手術を受けたことを示す記録が、情報開示請求で見つかった。障害者の不妊手術の証言が公的文書で裏付けられるのは初めて。26日に同県内で記者会見した女性の義理の姉は「手術で多くの人の心身が傷ついた。これ以上、障害者がおろそかにされることがあってはならない」と訴えた。

1948年に制定された旧優生保護法は「不良な子孫の出生を防止する」として、一部の遺伝性の病気や精神障害の人に強制的な不妊手術を認めており、約1万6500人が対象になった。同意を得た上での不妊手術・中絶を含めると、約8万4000件が実施されたとされる。96年に優生思想に関連する規定が削除され、母体保護法に改定された。

女性は6月、義理の姉とともに、県に対し自身の優生手術の記録を情報開示請求した。今回明らかになった記録は県で保管されている優生手術台帳の一部で、72年12月に「遺伝性精神薄弱」として、県内の病院で不妊手術を受けたことが記載されている。宮城県内では72年は強制的不妊手術の実施記録しかないため、女性は強制手術だったと見られる。

義理の姉は「妹の体には今も大きな傷が残る。手術に何の意味があったのか」と問いかける。

これまでに県内の70代女性が63年に手術を受けたと訴え出ているが、県は当時の記録を保管していないとしている。優生手術を巡っては、国連女性差別撤廃委員会が2016年3月、国に被害の実態調査と補償を行うよう勧告した。女性を支援する障害者支援団体「CILたすけっと」の杉山裕信事務局長は「障害者の被害の訴えが初めて公的記録で裏付けられた。国に対して謝罪や被害補償を求めていきたい」と話す。【中川聡子】

 

■障害者施設で男性刺され死亡 別の入所者から聴取 兵庫

朝日新聞デジタル 2017年7月21日11時48分

http://www.asahi.com/articles/ASK7P30ZHK7PPIHB00G.html

写真・図版

青いシートで覆われた障害者福祉施設=21日午前7時41分、兵庫県洲本市、吉田博行撮影

 

21日午前1時50分ごろ、兵庫県洲本市上加茂の障害者福祉施設「オカピ」で、入居者の男性が刺されて死亡しているのを別の入居男性が見つけ、110番通報した。県警が殺人事件として捜査。入居者の60代の男の行方が分からなくなっており、約50分後、北に約1・5キロ離れた市内の路上でこの男を見つけた。県警は男が事件に関与した疑いが強いとみて、任意で事情を聴いている。

洲本署によると、死亡していたのは男性(53)。2階の自室のベッドの上で背中に包丁が刺さった状態でうつぶせに倒れていた。遺体には複数の刺し傷があったという。

オカピは隣接する新淡路病院が運営する定員18人のグループホーム。病院によると、精神障害や知的障害がある人たちが共同生活を送りながら自立のための訓練を受けているという。

現場は洲本市役所から北西に約2・5キロの田園地帯。

 

 

■土記 「身体拘束」を考える=青野由利

毎日新聞2017年7月22日 東京朝刊

https://mainichi.jp/articles/20170722/ddm/003/070/162000c

息子の遺影を置いて、精神科病院での不必要な身体拘束をなくすよう訴えるマーサ・サベジさん(左)=東京都千代田区で2017年7月19日午後4時3分、山田泰蔵撮影

 

なんともやりきれない記者会見だったが、小さな光も見えた。

ニュージーランド人のケリー・サベジさんが5月、神奈川県内の精神科病院で身体拘束された後に死亡した。27歳。母国で日本語と心理学の学位を取った後、九州の小中学校で英語を教えていた。

子どもたちにも慕われていたのに、なぜ--。

会見では、母親で地震学者のマーサさんとケリーさんの兄、精神科医療に詳しい杏林大教授の長谷川利夫さんらが話した。遺族によると、経緯はこうだ。

ケリーさんには双極性障害(そううつ病)があった。関東に住む兄の家に滞在中に症状が悪化。4月末に措置入院となり、すぐに両手両足、腰をベッドに拘束された。身体拘束は続き、10日後に心肺停止。転院先で亡くなった。

病理解剖で死因は特定できなかったが、体を長時間動かせなかったことで血栓ができ肺塞栓(そくせん)症を起こしたエコノミークラス症候群の可能性が高い、と遺族はみる。

「弟はすでに落ち着いて、協力的だったのに」。付き添った兄の無念さが伝わる。

一方で注目したいのは、会見が今回のケースを告発するだけの場ではなかったことだ。「残念ながら弟は例外ではないだろう」と兄は語った。

実際、厚生労働省の調査では2014年6月末に精神科で身体拘束を受けていた人は1万682人。10年前に比べ倍増している。長谷川さんが11精神科病院にたずねた調査では、身体拘束の平均日数は96日にも及んだ。「数時間から数十時間程度」という海外の実態とかけはなれている。

そもそも、日本は精神科病院の入院患者が多く、14年の調査では28万9000人。うち18万5000人が1年以上入院していた。驚くような数だが、その現実が知られているとは思えない。

身体拘束が肺塞栓症に結びつきやすいことは論文にもなっている。会見では同様の事例が遺族らから複数紹介された。なぜ、こんなことが起きているのか。マーサさん、長谷川さんらは、「精神科医療の身体拘束を考える会」を発足させ、こうした事例をなくすために活動する、という。

マーサさんは東大地震研究所にも客員教授として何度か長期滞在した経験がある。「日本で研究を始めたのは息子たちの影響。日本の地震観測は世界トップで、実り多い共同研究ができた」

そうした最先端とは対照的な身体拘束。数も時間も国際水準まで減らしていければと思う。(専門編集委員)

 

 

■文科省、全事業で障害者配慮=来年度予算要求へ見直し

時事通信 2017/07/18-15:00

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017071800656&g=soc

 

文部科学省は、今年度に実施する全事業について、障害者への配慮の観点から見直しに着手した。8月の2018年度予算概算要求に向け、補助事業で障害者支援に関するメニューを設けるなど、見直し結果の反映を各部署に促している。

文科省は今年度の全426事業を対象に、障害者に対する理解の促進につながるか、障害者が参加しやすいよう配慮されているかを点検。その結果、3割超の145事業で「イベント会場がバリアフリーの施設でなかった」など、障害者支援の視点が不足していた。

一方で281事業では何らかの形で積極的に支援。例えば、国立大運営費交付金の支給では、障害のある学生を受け入れるための入学前相談の経費もメニューに入れており、英語教育の強化事業では、小学校の外国語活動用の教材で、文字を拡大したものや点字版を作り、希望する全学校に配布している。

文科省は、配慮が不足している事業を中心に、▽補助事業の対象決定に当たり、障害者の参加しやすさを審査のポイントに加える▽イベント実施時にバリアフリー施設を確保する▽調査事業の報告書の印刷やデータ入力業務を障害者就労施設に発注する-といった対応を要請。18年度予算でも、こうした点を踏まえて要求することにしている。

 

 

■障害者雇用、8年連続増 就職件数9万3229件 視覚障害者は6.7%減少

点字毎日 2017年7月2日 09時50分(最終更新 7月2日 09時50分)

https://mainichi.jp/articles/20170629/ddw/090/100/004000c

 

厚生労働省は2日、ハローワークを通じて昨年度就職した障害者の就職件数は9万3229件で、8年連続で増えたと発表した。前年度より約3000件(3・4%)増えた。来年度から雇用義務の対象となる精神障害者の就職件数が大幅に増え、件数を引き上げた。一方、視覚障害者は2129件で、前年度に比べ6・7%減った。就職者全体に占める割合は2・3%だった。

障害者全体(身体、知的、精神、その他)で新たに仕事を求めたのは19万1853件で、前年度に比べ2・5%増えた。就職につながったのは9万3229件で、就職率は48・6%。新規求職者のおよそ半分は仕事を得たことになる。身体障害者の就職者は減ったが、それ以外が増えた。

職業別では、知的障害者や精神障害者が多く就職した「運搬・清掃・包装等」が最多の3万2499件で、全体に占める割合は34・9%。続いて「事務的職業」(20・1%)▽「生産工程」(13・3%)▽「サービス」(12・1%)など。

視覚障害者は、就職者の5割強が「専門的・技術的職業」(1147件)に就職した。重度障害者では7割が就いていた。いずれも、あはきの国家資格を生かした仕事が大半だった。他には「運搬・清掃・包装等」が391件、「事務的職業」の就職は269件だった。

一方、厚労省は5月30日、民間企業に義務づけている障害者を雇用する割合(法定雇用率)を20年度末までに、現在の2・0%から2・3%に引き上げることを決めた。「労働政策審議会」が同日、了承した。引き上げは13年4月以来。これは来年度から精神障害者も雇用義務の対象に加わり、対象者数が増えることを踏まえた措置。来年4月から当面は2・2%とし、20年度末までにさらに0・1ポイント引き上げる。民間企業では現在、従業員50人以上が対象だが、2・2%となった場合は従業員が45・5人以上、2・3%では43・5人以上になり、対象企業も増える。【山縣章子】

 

 

■新型出生前診断 増加続く 異常の94%が中絶

毎日新聞2017年7月16日 23時21分(最終更新 7月16日 23時21分)

https://mainichi.jp/articles/20170717/k00/00m/040/106000c

 

妊婦の血液から胎児のダウン症などを調べる新型出生前診断を受診した人は、検査を始めた4年間で計4万4645人だったとする集計結果を、各地の病院でつくる研究チームが16日、発表した。4年目は約1万4000人で前年より1200人増えた。高齢出産の増加などを背景に、受診者は毎年増え続けている。

染色体異常の疑いがある「陽性」と判定され、さらに別の検査に進んで異常が確定した妊婦の94%が人工妊娠中絶を選んでいた。

検査は、日本医学会が認定した施設で臨床研究として実施。安易に広がると「命の選別」につながる恐れがあるとして、夫婦らの意思決定を支える遺伝カウンセリング体制の整備が施設の要件となっている。

日本産科婦人科学会は昨年12月、東京や大阪で指針に反して受診条件を設けない検査を宣伝していた医師をけん責や厳重注意処分にした。(共同)

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