グループホーム

【報告/GH問題】 グループホームのスプリンクラー設置義務化問題について

障問連事務局

全国でも増加するGH。2016年4月厚労省調査では全国で7008か所、10万2748人が利用する。入所施設や精神科病院からの地域移行、地域生活の継続のためにも重要とされる。しかし現在、そのGHの存続に大きな影響を与えているのが、スプリンクラー設置問題。主に高齢者GHでの火災による死亡事故を受け、国は2015年消防法改正により「スプリンクラーの設置と内装難燃化」が義務化された。それまでの延べ275平方m以上の面積基準が撤廃され、小規模施設でも設置が義務化され、対象となるのは、障害支援区分4以上の利用者が8割以上のGH。期限は2018年3月末までの設置が義務化されている。1月25日毎日新聞に大きく特集記事が組まれていたので、抜粋引用し、兵庫での取り組みも含め報告します。

■大阪での取り組みと特例基準

自治体独自の動きとして、大阪市消防局は2016年3月に「スプリンクラーの設置を免除する特例基準」を定めた。市内のGH約40か所を視察し、国の基準通りでは対応できない物件が多いと判断し特例を設けた。免除される基準は・・・「①3階建て以下 ②入居者と支援者の夜間の比率が4:1よりも手厚い ③全居室の内装難燃化(2階以下で避難時間に3分以内であれば不要) ④煙感知器の設置」など。大阪市消防局規制課は「大阪市の実情に合った取組み。安全第一の考え方は同じであり、『緩和』ではない」と説明している。しかし同じ大阪府内でも高槻市や豊中市では「安全性の点では国の基準保守るべき」と、特例基準を設ける考えはないという。

■障害者GHの実態と乖離するスプリンクラー義務化

「障害者の自立と社会参加をめざす大阪連絡会議」(障大連)議長の古田朋也さんによると、「消防法令と実態が乖離している。厳格化の根拠となった過去10年間のGHの重大火災を分析すると、ほとんどが夜間支援者が不在、入居者と支援員の比率が10:1程度と手薄。国の法令は実情を踏まえておらず、既に退去を余儀なくされる事例も出ている。大阪市の特例基準は、設備と人を組み合わせた安全策であり、非常に有効」と、特例基準の活用を求めている。「実態に応じた安全性」が求められている。

■兵庫県では・・・今後に向けて

大阪市の特例基準の背景には、障大連など障害者団体の強い働きかけもあり、大阪府が府内43市町と共に消防庁に設置基準緩和を求める要望書を提出するなど行政の動きも影響を与えた。障問連としても昨年オールラウンド交渉で、兵庫県に対して大阪のような自治体としての取組みを要望したが、県は安全性の重視を繰り返すだけであった。障問連の加盟団体の多くがGHを運営し、相談の声が既に上げられている。この冬、ニュースでも火災事故が報道されているが、被害の多くが高齢者世帯、火災事故が「起こり得る」ものであるが、避難できるかどうかが、むしろ重要ではないでしょうか。電気器具による暖房、IH等を活用した調理器具、日常的な避難経路の確認、厚い支援者配置など既に取り組まれている。県交渉では「設置には多大な費用を要する、期限までに設置できない事業所はどうなるのか」と聞くと、県は「簡易式のスプリンクラーも開発され・・・」としか回答しなかった。建物の構造上困難、賃貸なら家主の許可がなければ設置できない。転居や過重な負担によりGHの存続が危ぶまれるような事態は絶対に回避しなければならない。また、国も違法状態のGHが大量発生する懸念を受け、全国のGHに設置の可否を聞く実態調査を行い今年度内に取りまとめるという。その結果も踏まえ、障問連としても引き続き取り組んで行きたい。

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