オールラウンド交渉

2016年度兵庫県オールラウンド交渉要望書

兵庫県とのオールラウンド交渉日程

・第一次交渉(差別解消の課題):9月15日(木) 15時半~16時半

兵庫県中央労働センター201

・第二次交渉(その他の課題):11月2日(水) 13時半~16時半

兵庫県民会館1202号

みなさんの力を結集しましょう!

 

※兵庫県が今年度から設置する「兵庫県障害者委員会」に、加盟団体である自立生活センター神戸Beすけっとの藤原久美子さんが選出されました。8/31、第1回委員会があります。

 

兵庫県知事 井戸 敏三様

障害者問題を考える兵庫県連絡会議  代表  福永年久

2016年 7月11日

 

2016年度  障害者問題に関する要望書

〈はじめに〉

貴職におかれましては、障害者の権利擁護、自立支援ならびに社会参加の促進など障害者福祉向上に向け日々尽力しておられることと存じます。

障害者差別解消法が今年4月から施行され、兵庫県としても積極的に施策を講じられています。今後とも官民が協力して同法の目的や理念を県民や事業者に周知し、障害当事者や家族が勇気を持って不当な差別を訴え、必要な合理的配慮を求められるよう環境を整備し、社会のあらゆる場面に参画できる共生社会の実現に向け、私たちも取り組んで行きたいと思います。同法は施行3年後には見直しが予定されています。兵庫県下の差別解消法をより実効性あるものにしていくため、今後とも貴職と協議を重ねていきたいと考えます。

一方、障害者総合支援法施行3年後の見直しは、多く課題が積み残されました。国会附帯決議に示される課題、そして障害者自立支援法違憲訴訟の原告団・弁護団と政府との「基本合意」は最低限遵守すべき事項として、政府に実現を求めて行かなければなりません。また2018年度に向けた報酬改定も社会保障全般の抑制が予想とされ、同時に総合支援法見直し施策も2018年度からスタートします。2年後に向け、兵庫の地から官民共に政府、厚生労働省に施策実現の声を上げて行かなければならないと思います。

そして「第4期障害福祉計画」の障害福祉サービス等の数値目標について点検していき、障害のある者が障害のない者と分け隔てられることなく、当たり前に権利が擁護される共生社会を実現し、その人らしい人生や地域での自立した生活が実現できるために、県内各地域で十分な施策が講じられるよう、兵庫県障害福祉部局として県内各市町に対して積極的に情報提供、指導されるよう要望するものです。

さらに2016年度は、兵庫県第3次行財政改革の最終年度であり、次年度以降の行財政改革プランが策定される年でありますが、「兵庫県障害者プラン」が示す「未来予想図」の実現のためには、地域生活支援の基盤の拡充が大変重要です。必要な施策の実施に向け相応の予算や人員、体制を確保するため貴職として努力していただくよう要望します。以下、具体的に項目ごとに要望いたします。

 

【1.障害者差別解消法に関わる課題】

(1)(条例制定について)

国における同法施行3年後の見直し状況、兵庫県下の差別解消の施行状況、また本年度から条例を施行した明石市、2017年から条例を制定施行する宝塚市の取り組み状況、これらを踏まえ、より実効性ある差別解消施策の推進に向け、兵庫県として条例も選択肢の一つとして検討を行って下さい。

 

(2)  (差別解消法の施行状況と課題)

①  2016年4月から話し合い時点までの、兵庫県下で障害者差別解消法の実施状況について、以下の項目に沿って、公表できる範囲で回答して下さい。

・同法が適用された事案の総数、該当する市町名。

・事案の内容として、例えば「雇用・就労」「教育」「移動・交通」「接客業」「地域・団体」「その他」それぞれの領域での事案の内容。

・兵庫県職員の対応において同法が適用された事案の件数、内容。

②  兵庫県障害者差別解消相談センターについて質問します。

・2016年4月から話し合い時点までの同センターの取り組み状況を報告して下さい。

・同センターの案内には「重大な案件については必要に応じて状況確認調査を行う」とされていますが、具体的に説明して下さい。

・同センターによる相談と各市町での相談窓口との関係・連携、棲み分けなど、説明して下さい。

・同センターの窓口において、当事者等が安心して勇気づけられるような対応をお願いします。

③  2016年4月から話し合い時点までの以下の実施状況について報告して下さい。

・「合理的配慮アドバイザー」支援の実施状況。

・兵庫県障害者委員会の活動状況と今後の予定

・2015年度から実施の「弁護士・福祉専門職による法律相談」の実施状況

・「障害者差別と人権問題を考える政策プレゼンテーション・コンテスト」の募集について

・兵庫県障害者差別解消支援地域協議会の取り組みと今後の予定

④  以上、多岐にわたって兵庫県として取り組まれています。話し合い時点で、兵庫県として差別解消法施行して、何が不十分なのかも含め課題は何かをご説明して下さい。また、今後どのようにすればより実効性ある取り組みができるのか、率直に意見交換したいと思います。

 

【2.街づくり・交通・移動について】

①  【当事者参画】 今後、阪急三宮駅が大幅改修されると聞きますが、このような立体交差化事業など大幅な街づくりの再編の際、障害当事者が参画できるようにお願いします。

②  【駅舎等のバリアフリー/進ちょく状況】 1日当たりの平均利用者数が3000人以上の鉄道駅における、エレベーター設置等に関する、兵庫県内の昨年度からの進ちょく状況について資料をもって回答して下さい(資料提供)。

③  【バス問題/導入率】 県内各市営バス、県内民間バス会社ごとのノンステップバスの導入率に関し、昨年度からの進捗状況について資料を提示して下さい(資料提供)。

④  【駅舎等のバリアフリー/ホームドア等】 JR六甲道駅で試験的に設置されており、また神戸市営地下鉄三宮駅にも設置予定と聞きます。ホームドア又は可動式ホーム柵の整備に関する兵庫県内の進捗状況ならびに今後の見通しについて報告下さい。(資料提供)

⑤  【高速走行バスの車椅子乗車】 明石海峡大橋を走る高速バス等、高速走行するバスには、車椅子のままでの乗車が困難な状況です。障害者差別解消法における事業者が求められる対応指針に照らし、どのように考える事が適切なのか、兵庫県として認識を説明して下さい。また、解決に向け、政府ならびに国土交通省に対して兵庫県として要望して下さい。

⑥  【公共交通事業所部会】 公共交通事業所部会において、上記②、③、④の課題に関して、兵庫県として各事業者にどのように要望され、部会でどのように議論、検討されているのか、また障害者差別解消に関わり、同部会で議論された内容、エレベーターが設置されていない駅舎、ノンステップや低床ではないバスへの車椅子障害者の乗車希望に対する代替策などについて、報告して下さい。

 

【 3.労働について 】

①  兵庫県の職員採用においては「身体障害のある人を対象とする兵庫県職員採用試験」が実施されていますが、この点について下記のように要望ならびに質問します。

・兵庫県の「差別解消/県民事業者ガイド」の事例説明では、障害者だけを対象として募集する際に

障害種別を特定して募集することは法上の差別には該当しないが、「障害種別を限定せず、できる限り公正に能力を発揮する機会があることが望ましい」とされています。それを踏まえ、身体障害者に限定した職員採用試験について見直して下さい。

・「身体障害のある人を対象とする兵庫県職員採用試験」案内の末後に、「介護者なしに職務遂行が可

能であることが必要です」とある点について、昨年度回答では、最初から門戸を閉ざすものではなく個々に判断すると回答されましたが、2016年度から神戸市では「介護者なしに職務遂行」条件を撤廃しました。改めて同案内末尾の文章を削除されるよう要望します。

②  障害者差別解消法が始まり、障害のある兵庫県職員に対する合理的配慮が提供された事例があれば報告して下さい。

③  障害者雇用促進法における差別解消に関わる事案について情報提供して下さい。

④  2016年度からの新施策として、しごと支援課による「障害者雇用就業・定着拡大推進事業」、障害者支援課による「障害者就労等支援事業」が実施されていますが、新施策の概要と効果等、ご説明ください。

⑤  一般就労が進められる一方、離職する障害者も多くいます。昨年度の回答でも、離職率や離職理由等について把握できていないとのことでしたが、就労現場での合理的配慮の促進にも関連します。今後とも実態把握に努めて下さい。

 

【 4.自立生活支援に関して 】

1.相談支援について

①  【基幹型相談支援事業者】 2015年度当初時点で兵庫県内の基幹型相談支援センターを設置しているのは8市町と低調です。2016年度4月時点での設置市町を回答して下さい。

②  【計画相談】  障害福祉サービス等利用計画の市町別の進捗状況では、神戸市では半数近くがセルフプラン、西宮市では7割程度が市職員による代替プラン、尼崎市ではほとんど進んでいない、ある都市ではとにかく数をこなしなさいと相談事業者を指導する等、都市部でも格差が大きく示されています。また相談支援専門員数も県においても努力されていますが全国平均を下回っています。私たちは、自らの生活を自己決定するという、当事者のエンパワメントの視点に立ったセルフプランの意義は大きいと考えます。以上を踏まえ、相談支援の兵庫県の現状と課題について、ご説明ください。

③  【意思決定支援】  「障害福祉サービス等利用計画」作成の前提として、特に障害の重い人への意思決定支援が重要であり、現行の兵庫県障害者プランでも重要な課題として上げられています。その重要性について理念としては繰り返し語られていますが、具体的にどうやってそれぞれの障害者に応じて意思決定支援していくのか多くの課題があると思われます。具体的な実践に関わる研修を是非開催して下さい

 

2.介助に関連して

① 居宅介護、重度訪問介護について

ア、    【ガイドライン/支給決定】 重度訪問介護には「見守り」も含め、「比較的長時間にわたり、総合的かつ断続的に提供されるような支援」とされています。しかし、特に深夜時間帯において障害者が希望する支給時間と行政の支給決定に乖離する事例、深夜巡回サービス利用や排泄に関してオシメ使用といった当事者の尊厳を傷つけるような自治体担当者の発言があります。兵庫県の考え方をご説明ください。不適切な市町に対して強く指導して下さい。

イ、    【重度訪問介護/対象拡大】 平成26年4月から「重度訪問介護の対象拡大」が実施されましたが、兵庫県下では利用者は増加せず、昨年度の話し合いでも各市町に周知したいと回答されました。2016年話し合い時点で、県内市町で知的障害者・精神障害者が重度訪問介護の利用に至ったケースについて、実施市町名ならびに利用人数に関する情報提供をお願いします。(資料提供)

ウ、    【家事援助について】 今回の障害者総合支援法の見直しの中で、障害支援区分1、2の障害者による比較的長時間の家事援助利用について、「実質的に相談目的で利用されている事例がある」との理由で支給量の適正化を図るとされています。この問題に関する兵庫県の考え方をご説明いただき、各市町の誤った制度運用により、軽度の障害者の地域生活が脅かされないようにして下さい。

 

②     その他の介護保障

ア、【入院時コミュニケーション支援事業】

・県内で地域生活支援事業において重度障害者の入院時コミュニケーション支援事業を実施している

市町名ならびに同制度の利用状況(平成27年度の利用人数/利用時間)について情報提供してください。(資料提供)

・障害者総合支援法の改正により、入院中にも重度訪問介護の利用が平成30年度から可能になる見込みです。国からの情報があれば提供して下さい。

・全国各地で、また兵庫県下の市町でも障害当事者が粘り強く自治体に要望した結果として、重度障害者の入院中にも介護保障が必要な実態にあると国施策において初めて認められ、平成30年から新施策が実施されることは喜ばしい事です。しかし平成30年から国施策が実施された場合、県下のいくつかの市町で実施されてきた「入院時コミュニケーション支援事業」は廃止されるのでしょうか。例えば神戸市では2015年度から重度の知的障害児者も同事業の対象になりましたが、必ずしも重度訪問介護を入院以外に利用しているわけではありません。そのような場合、国施策が始まり自治体の同事業が廃止されると、利用できた人が利用できなくなる事態にもなります。これらの点について兵庫県の考え方をご説明ください。

 

イ、【移動支援】

(通勤、通学利用について)

今回の障害者総合支援法の見直しの中で、通勤、通学時の移動支援については見送られました。国会附帯決議では、「教育施策や労働施策と連携」、「個別給付化を含め検討」また「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の施行状況等を勘案」し、「モデル事業を実施する」等、示されています。

兵庫県として、就労の場や学校という共生の大きな基盤になる場への社会参加をより一層促進させるためにも、障害者や家族の状況に応じ、例えば保護者の就労や生活状況に応じて移動支援を通学に使用する等、各市町に柔軟な運用を行うよう、県として働きかけて下さい。

 

ウ、【難病者/障害の範囲拡大】 2013年4月から難病者も障害福祉サービスの利用ができるようになり、今後も指定される難病が増加していきます。当事者が利用しやすい環境整備が必要です。2015年度の各市町での利用状況について報告して下さい。(資料提供)

 

エ、【介護保険との適用関係】

兵庫県として、「高齢障害者のケアマネジメントを充実・強化し、年齢による切れ目のない支援を実現するため、特に相談支援専門員と介護支援専門員の連携確保に着目した調査研究」を目的として、「高齢障害者ケアマネジメント充実強化事業」が、一般社団法人兵庫県相談支援ネットワークに委託して実施され、報告書がまとめられました。障害者が65歳を迎えてもその人らしい生活を実現するという本人中心のケアマネジメントの理念が強調され、介護保険制度になりサービスが減ぜられる等、誤った運用を行う自治体や事業者の認識を改革する意味では評価できます。以下、関連する課題について、以下に要望します。

・障害者自立支援法違憲訴訟における2010年1月7日の「基本合意」には、「介護保険優先原則(障害者自立支援法第7条)を廃止し、障害の特性を配慮した選択制等の導入をはかること」とされています。今回の障害者総合支援法見直しでも介護保険優先原則は見送られましたが、国会附帯決議では、今後とも検討するとされています。兵庫県として様々な機関を通じて国に働きかけて下さい。

・今回の障害者総合支援法の見直しの中でも、介護保険制度に移行して利用者負担が増加する点については一定の改善策を行うとされていますが、具体的な内容は示されていません。当事者は非常に不安です。国の今後の動向について情報提供して下さい。

・同報告書にも、類似サービスは介護保険制度を優先して利用することが書かれていますが、様々なケースがあります。障問連加盟団体からも多くの相談が寄せられています。それぞれの環境や個別の事情、何より本人の希望がどれだけ尊重されるのか、ご説明ください。

・同報告書末尾の資料、兵庫県のリーフレットの中に、「介護保険を申請しない場合、障害福祉サービスを利用できなくなることもあります」と記されていますが、上記のように「介護保険優先原則は廃止」されるべきものが国の不作為により履行されていないため、選択制が導入されていないという実情を踏まえ、この文言を廃止または改めて下さい。

 

③ グループホームについて

ア、      【国への要望】 通所施設等が休みの土曜・日曜・祭日、また入居者が病気等で通所施設を休み通院が必要な場合で移動支援の利用も難しい場合もある等、障問連の加盟団体からも厳しい状況が報告されています。基本的にグループホームの報酬は低額です。2018年度からの報酬改定の議論において、更に充実されるよう、兵庫県として国に強く働きかけて下さい。

イ、      【スプリンクラーの設置】 スプリンクラーの設置が2018年3月末までに義務付けされます。ますますグループホームの新設が困難になり、死活問題です。以下、要望します。

・大阪府は43市町と共に消防庁に設置基準緩和を求める要望書を2015年12月に提出しました。兵

庫県としても県内各市町と共同で消防庁ならびに国に設置基準の緩和を要望して下さい。

・スプリンクラーは賃貸住居の場合には、構造上の問題、家主の許可、多大な費用負担など大きなハ

ードルがあります。兵庫県ならびに各市町でスプリンクラー設置や自動火災報知機、消防署への通報設備なども含めた設置費用助成をいつでも臨機応変に受けれるような仕組みを要望します。兵庫県としてもグループホームは重要施策だとそれており、具体的にどうすれば良いのか、前向きな意見交換をお願いします。

ウ、      【公営住宅の活用】 県営住宅を活用したマッチング事業の2015年度の実績、ならびに県内各市町営の公営住宅を活用したグループホームの前年度からの状況、増加した市町、か所数も含め報告して下さい。(資料提供)

 

④  地域生活支援拠点について

「地域生活支援拠点」は2017年度には実施するとされ、「(小規模)施設併設型」、「(大規模特例)グループホーム併設型」、「面的整備型」の3つのパターンが示されています。多くの市町村では、「面的整備」の方向で検討されようとしていますが、国の動向に関する情報提供をお願いするとともに、兵庫県の方向性について、ご説明ください。

 

【6.地域移行に関する課題】

【基本認識と長期的な施策】

一昨年度の貴職と私たちとの話し合いの場で、「障問連は施設否定派」と貴職から発言がありましたが、現実的に障害児者の少なくない保護者が将来的に施設入所を希望され、ニーズがとても高い短期入所の多くを入所施設により担われ、そのような中で現実的に施設を否定などできません。

しかし一方では、障害者基本法に地域での共生が謳われ、入所施設からの地域移行は強く求められる課題です。また兵庫県障害者プランの「未来予想図」には、障害者が街中に溶け込むような風景が示されていますが、街中に存在することが少ない施設に入所し、移動支援施策の利用も困難、介護支援を要する入所者の外出保障を入所施設職員が担うことが困難状況においては、未来予想図は実現できません。展望を持つためには、かなり長期的な視点に立ったビジョンが必要です。以下の課題に沿って、率直に意見交換を行いたいと思います。

・現在入所されている方、今後入所を希望される方の自己決定ならびに意思決定支援の在り方

・障害福祉サービス等利用計画での将来生活に関する支援員の方々の意識改革

・障害児者の保護者が地域生活を志向できるようなエンパワーメント

・在宅にある主に若年障害当事者の方が、自ら地域で生活していくためのエンパワーメント

・障害の重い方の地域で重度訪問介護等を活用した自立生活やシェアハウス等の新たな暮らしの形態、兵庫県独自のグループホーム施策の強化事業など、幅広い地域生活の形態の開拓と共有化

・地域生活を支える人材の飛躍的な拡大のために必要な施策の検討

・入所施設の機能を、短期入所も含めた地域生活を支えるバックアップ機能を重点におく

・入所施設が地域移行を積極的に促すインセンティブ

・施設入所者が様々な社会体験するため、自由に外出できるために必要な施策

 

【施設入所者等の移動支援】 平成27年度、施設入所者の移動支援事業の県内各市町での実施状況について、資料を持って回答して下さい。(資料提供)

 

【7.生活介護、就労系等日中活動について】

障害者総合支援法3年後の見直しの中でも、日中活動については就労継続支援A型の適正化などは上げられましたが、「骨格提言」で示されたような内容は全く取り上げられていません。兵庫県として国の動向を踏まえ、障害のある人がそれぞれの希望に応じ、居場所、就労、地域との交流等の様々な活動ができるよう、下記に要望します。

①  居場所型としての地域活動支援センターの意義は兵庫県障害者プランでも示され、通過型など多様な利用形態を伴い、今後もニーズは高いと予測されますが、運営面では障害福祉サービスのような報酬が期待できず、通所に際して送迎を希望されても人員的に厳しくニーズに応えられません。兵庫県として地域活動支援センターの今後の施策のあり方についてご説明していただき、補助金の増額等について各市町と共に前向きにご検討下さい。

②  小規模作業所施策に関する平成27年度末の状況について報告されると共に、県補助を行っている市町名を報告して下さい。また、新たな行財政改革の中でどのように位置づけられる見込みについて、ご説明ください。

 

【8.その他】

①   (地域生活定着支援センター「ウィズ」) 平成27年度の実施状況ならびに平成28年度上半期の実施見込みならびに検討課題について回答して下さい。

 

 

2016年度  精神障害者問題に関する要望書

【1.交通】

①  精神障害者の交通運賃について、「全国精神保健福祉会連合会」が60万筆以上の国会請願署名を提出し、国に対して強く要望しています。同連合会の調査によると、兵庫県下の状況は、バス事業者では一定交通割引が実施されていますが、鉄道事業者はゼロの状況です。兵庫県公共交通事業者部会として積極的に各事業者に働きかけて下さい。

②  精神保健福祉手帳2級や3級の者も移動支援等を利用して介護者がいなければ外出が困難な障害者がいます。全国的には1級の者しか介護者付割引を認めていない事業者もありますが、2級や3級の者も認めている事業者もあります。単独で外出が困難で移動支援を利用する精神障害者には他障害と同様に介護者付割引が実現できるよう、県としての考え方をお示しいただき、各事業者にも働きかけて下さい。

③  ホームにいると強迫観念や幻聴や妄想などのためにパニックになり、ホームから落ちそうになることがあります。ホームドアなどの設置が望ましいですが、それまでの対策として、JRで実施されているように、ベンチを線路と垂直にすることで、ホームから落ちるという恐怖感やパニックを和らげることがあります。ベンチを線路と垂直に設置すること、またパニック時に休憩できるようなスペースを設置するよう事業者に周知して下さい。精神障害者だけでなく高齢者や様々な利用者にとってのユニバーサルなあり方を要望します。

④  精神障害者でも心理的負担なしにシルバーシートが利用できるように、「体調が悪い人はすべて利用できること」を表すようなマークや、説明の文言を付けるなど、配慮を行うよう、事業者に周知して下さい。

 

【2.地域移行~退院促進】

①  入院中の精神障害者の地域生活への移行に関する都道府県別の資料を見ると、長期在院者の減少率は全国平均16,6%に対し兵庫県は9,7%とかなり低位にある課題について昨年度も協議しました。兵庫県として2016年度からの新規事業として、4圏域での精神科病院職員等に対する研修やピアサポーターの面談による退院支援プログラムを行う「長期入院精神障害者地域移行推進事業」が実施されていますが、事業の具体的内容と進捗状況について回答して下さい。

②  精神障害者のグループホームは地域移行にとっても重要です。それだけでなく、家族と同居している精神障害者が自立生活を実現するステップとしても必要性が高いと考えます。様々な理由でグループホームが増えない中では、1年~2年の短期利用からホームヘルプ等を活用した1人暮らしにチャレンジできるような体制も必要だと考えます。兵庫県の考えをお示しください。

③  平成27年度末の時点で、兵庫県下各市町毎にグループホームが何ヶ所あり、何人利用しているのか、資料を持って回答して下さい。(資料提供)

④  精神障害者にとって住宅は重要です。民間の賃貸住宅に精神障害をオープンにして申し込む事は勇気が入り入居差別も覚悟しなければいけません。その意味でも、公営住宅は社会的入院解消のための地域の受け皿として重要なだけでなく、精神疾患の病状・症状そして経済的困窮度の高い当事者には重要である。空き室があるのになかなか入居が促進されません。精神障害者の公営住宅入居について積極的な施策を講じて下さい。

⑤  公営住宅に入居した精神障害者が自治会の役員や掃除を担う事は困難で症状悪化になる場合もあるが、断れば近隣住民との関係が悪化しかねません。しかし公営住宅の管理は民間事業者に丸投げされています。以下の質問に回答して下さい。

・管理を委託する民間事業者に精神障害者の入居者への配慮、サポートを県として行って下さい。

・「地域生活支援事業」国の要綱には、「居住支援のための関係機関によるサポート体制の調整」として「利用者の生活上の課題に応じ、関係機関から必要な支援を受けることができるよう調整を行う」と居住サポート事業を位置付けていますが、県内各市町で居住サポート事業が具体的にどのように実施されているのか報告して下さい。

 

【3.精神障害者の介護保障等、地域生活】

①    平成27年度の精神障害者に特化した居宅介護等の各市町毎の利用者数・利用時間について資料で持って回答して下さい。(資料提供)

②    精神障害者の移動支援(ガイドヘルプ)についても、精神障害者に特化した平成27年度の各市町の利用者数と利用時間について資料で持って回答して下さい(資料提供)。また、昨年度資料でも居宅介護は地域格差はあるものの全市町で実施されていますが、移動支援は12市町で利用ゼロ、利用者1人が8市町と極めて低調です。県としての評価と改善策をお示しください。

 

【4.就労・障害年金】

①    中度、重度の精神障害者でも症状が安定している人の就労促進には、企業内でのワークシェア、サポート体制、合理的配慮の提供などが必要です。それに向け、県として各企業に対して啓発、研修を促進して下さい。具体的な取り組みを回答して下さい。

②    精神障害者の年金や精神保健福祉手帳の申請の際、医師が意見書を記入します。しかし、症状だけで判断し、多くの人が「生活障害」を抱えている事を理解しない医師がおり、医師の認識の格差も大きく感じます。是非、当事者の意見を聞いていただき、兵庫県医師会や兵庫県精神神経科診療所協会などに情報提供して下さい。

 

【5.保健・医療・衛生について】

①    重度障害者医療費助成の精神障害2級拡大については、財政負担により制度存続が第一と毎年回答されていますが、他障害の「重度」の捉え方との整合性が図られているのか、また精神障害2級の障害者の中にも就労が困難な者も多くおり、一定の所得制限を課すという条件での2級への拡大について、前向きに検討して下さい。

②    「医療観察法」については、「法律の成立過程から、事実上の保安処分、精神障害者を社会から隔離させる狙いがあると批判が多かったが、それが現実になりつつある。懸念された強制入院の長期化が進んでいる」と報道されています。兵庫県内には当該施設はないと昨年度回答されましたが、兵庫県に居住していた精神障害者が何人、医療観察法の対象になっているのか、どこに問い合わせれば良いのか、教えて下さい。

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