新聞記事から

【報道】 新聞記事より

■ドアノブはずして個室に閉じ込め 京都の障害者施設、市が虐待と判断し改善指導 産経新聞West 2016.7.5 11:00更新

http://www.sankei.com/west/news/160705/wst1607050029-n1.html

 

京都市左京区の知的障害者支援施設「わかば」で、個室4室のドアノブを取り外し、内側から開閉できない閉じ込め状態にしていたことが5日、京都市への取材で分かった。市は6月下旬に特別監査を実施し、障害者虐待防止法に基づき、「虐待」と判断。閉じ込めをやめさせ、改善を指導した。

◆約1年半の場合も…同意を得た記録なし

市によると、ドアノブがはずされていたのは、20~50代の男女4人の個室で、2部屋は食事や入浴時などは施設側の判断でドアを開閉し、常態的に部屋から出られない状態にしていたという。残る2部屋は夜間などははずし、昼間はドアノブをつけていたという。施設側は20代男性に対しては、約1年半前から行っていたと説明している。

障害者虐待防止法では、切迫している、他に手段がない-など3要件を満たす場合以外の身体拘束を禁じている。要件を満たせば一時的な行動制限は認められるが、本人・家族への説明や拘束理由や時間などの記録が必要。わかばでは、拘束の理由や時間は記録されておらず、同意を得た記録もなかったが、施設側は「口頭で承諾を得た」などと説明しているという。

同施設の入所者は40人。昨年11月の定期監査で20代男性の部屋のノブが外れていたことから市が指導を行っていた。今年6月、市に通報があり特別監査を行ったところ、30代女性の部屋のノブがないことなどを確認した。

市は「障害者に対する人権意識が甘く虐待に当たる」としている。


■安永さん事件、上告棄却 最高裁 遺族の敗訴確定へ

佐賀新聞 2016年07月06日 10時41分

http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/330589

 

佐賀市で2007年、警察官に取り押さえられた直後に死亡した知的障害者の安永健太さん=当時(25)=の遺族が佐賀県に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は5日までに、遺族の上告を棄却する決定をした。1日付。遺族側の請求を退けた二審福岡高裁判決が確定する。

昨年12月の二審判決では、警察官の取り押さえ行為について、抵抗する安永さんの制圧が優先だったとして「保護行為として相当で、障害の特性を踏まえて対応する注意義務違反には当たらない」と判断。訴えを退けた14年2月の一審佐賀地裁判決を支持していた。

安永さんの父親の孝行さん(55)は「最悪の結果。どうして亡くなったのか真実を知るための裁判だったのに、何も分からないまま取り押さえを正当化するだけだ。司法は障害者の人権に目を向けなかった」と批判した。その上で「再び同じような事件が起きないように、支援してくれた人たちと一緒に、障害のある人が地域で暮らせる運動に力を入れたい」と話した。

判決によると、安永さんは07年9月、佐賀市の国道を自転車で走行中、停止を求めた警察官の手が肩に触れたことに驚いて抵抗したが、手錠を掛けられるなどして取り押さえられ、搬送先の病院で死亡が確認された。事件を巡っては、警察官1人が付審判請求で特別公務員暴行陵虐致傷罪に問われたが、12年9月に最高裁で無罪が確定している。

 

 

■知的障害 通所女性が中絶 「望まない妊娠、再発防止を」 20代男女、施設内で性行為 施設側、認識の甘さ認める /神奈川

毎日新聞2016年7月23日 地方版

http://mainichi.jp/articles/20160723/ddl/k14/040/147000c

 

横浜市内の知的障害者の通所施設で働く知的障害者の20代男女の間に子供ができ、女性が中絶する出来事があった。「望まない妊娠の再発防止につなげたい」と女性の母が明かした。取材を進めると、男性側の苦悩も浮かんできた。知的障害者の性とどのように向き合うか−−。一度は宿った命を前に、思いは交錯している。【宇多川はるか】

施設や家族によると、施設職員が昨年12月上旬、数回にわたって施設内で男女の性行為があったことを確認。場所は毎回、施設の無施錠の会議室だった。産婦人科で診察を受けると、妊娠7週と判明。「出産、育児は難しい」と判断した男女の母たちが知的障害者の中絶を扱う病院を探したが見つからず、施設が紹介した個人院で今年1月上旬、中絶手術を受けた。その後、男性は別施設に移った。

女性の知的障害は、4段階で2番目に重たい「重度」。中学生の時から母子家庭の母が支えてきた。妊娠発覚後、母は「出産、育児を通して母性本能が育ち、娘の成長になるかも」とも考えたが、「生理の意味も分からず、妊娠、出産、子育ては無理。今まで懸命に築き上げてきた暮らしも崩れる」との思いに至った。「中絶できる病院が見つからずおろせなかったら、親子で心中するしかない」とまで思い詰めた。

中絶手術に向けた診察では毎回、女性は「お母さん、お母さん」と不安そうに母を呼び、母はずっと手を握って落ち着かせた。術後、順調に回復したが、心身の負担を思い、「施設の管理が行き届いていなかった」と責任を訴える。女性に男性への思いを聞くと「分からない」と繰り返した。

一方、男性の知的障害は3番目に重たい「中度」。女性に「好きという気持ちがあった」と話し、「楽しい家庭を持つことは小さな頃からの夢」と語った。ただ、男性の母によると、結婚や育児のイメージは持てていないという。

男性の母は「中絶は女性にとって心も身体も負担が大きく、男の親として本当に申し訳ない」と話す。「息子には、女性につらい思いをさせてしまったことを忘れてほしくない」と男性と共に取材に応じた。中絶で一つの命が失われる重みを考え、「赤ちゃんは生まれながらにして両親が知的障害者という事実を背負う。経済的な問題も含め、育児は難しい」と心情を語る。

女性の母とは逆に、男性の母は「施設が早く気付いてくれたので、限りある時間の中で悩むことができた」と話し、施設を責める気持ちはないという。

施設長は男女の関係に「お互い好意を持っていた。(性行為は)双方の同意があった」とした一方で、妊娠、中絶に至ったことについて「誰もが出入りできる場所で性行為が行われるとは予測できなかった」と認識の甘さも認める。

ただ、性との向き合い方への対応は定まらず、「利用者の障害は最重度から軽度までで、一律に性について教育することは考えづらい。個別支援の必要があるか、必要があれば誰がどうやるか、考えなければならない」と話す。

◆施設が監督すべき立場 杉浦ひとみ弁護士

知的障害者の人権に詳しい杉浦ひとみ弁護士は「働くための施設では仕事、技術、日常生活を身につけるのが目的で、施設が監督すべき立場にある」と説明。「性的な関心はあっても、性行為がどのような結果を生むかという判断能力はない場合がある。施設は障害者本人の意思を尊重しつつ、理解の程度を考慮すべきだ」と指摘する。

その上で「特に知的障害が軽度の人に対しては、性から遠ざければよいわけではなく、『好きな人を大事にする』という教育をしなければならないのではないか」と提案した。

◆人を愛しく思う気持ちは尊重を

また、約20年にわたり障害児教育に携わってきた「障害児を普通学校へ・全国連絡会」の北村小夜世話人は「施設内での障害者同士の妊娠は施設が隠蔽(いんぺい)するだろう。明らかになる例は珍しい」とし、「人を愛(いと)しく思う気持ちは、障害者でも尊重されるべきこと。人として尊重されていなかったから、このような事態になったのではないか」と分析する。

「障害者が『できない』『知らない』ということは、『させてもらっていない』場合がほとんど。性もその一つだが、身につけたいという気持ちの表れを、施設は保証する必要がある」と話し、知的障害者の性と向き合う重要性を訴えた。

 

 

■仮設住宅、車いす使えず 障害者男性が入居断念

くまにちコム 2016年07月09日

http://kumanichi.com/news/local/main/20160709002.xhtml

 

熊本地震発生からやがて3カ月。応急仮設住宅の整備が進んでいるが、室内の段差や入り口の狭さが原因で、車いす利用者が入居を断念したケースがあったことが分かった。高齢者の家族からも「転倒が心配」との声も上がっており、専門家は「完全なバリアフリーの仮設住宅を建てるべきだ」と指摘する。

益城町の作本誠一さん(49)は頸椎[けいつい]損傷のため下半身が不自由で、車いすを利用している。自宅は地震で全壊。現在はNPOが提供する熊本市の避難施設に身を寄せる。

「早く益城に戻りたい」と仮設住宅への入居を希望して当選。6月下旬に部屋を見学すると、入り口まではスロープがあったが、室内はバリアフリーではなかった。

トイレの入り口が狭く、幅57センチの車いすが入らない。風呂場までには11センチと18センチの段差が2段。脱衣所や洗い場も狭く、介助者が入れないなどの問題があった。別の団地の部屋も見学したが、結果は同じだった。

作本さんは入居を断念。「障害者や高齢者を優先すると言われていたのに、使えなくては何もならない」と落胆する。

被災した障害者の支援に取り組む「被災地障害者センターくまもと」事務局長の東俊裕・熊本学園大教授は「障害者が公的支援からこぼれ落ちている。室内も完全にバリアフリーの仮設住宅を用意するべきだ」と話す。

高い段差のある部屋は、高齢者にも住みにくい。医師や理学療法士でつくるリハビリテーションの全国支援チーム「JRAT」は、仮設住宅の高齢者や障害者を訪問し、手すりの設置や付け替えなどの相談に応じている。

89歳の義母と一緒に同町の仮設住宅で暮らす女性(51)は「トイレの前に高さ15センチの段差があって、義母がつまずかないか心配。手すりもないので足を踏み込みにくいようだ」と訴えた。

避難所生活では運動量が減って筋力が落ち、高齢者は転倒のリスクが高まるという。JRATは「特に夜間は慣れない間取りで転びやすくなる。段差に蛍光テープを張るなどして十分注意してほしい」と呼び掛ける。

応急仮設住宅は災害救助法に基づき整備。県によると6日時点では、16市町村で84団地の3551戸を着工。33団地1264戸が工事を完了している。

団地内の1割程度は入り口までスロープを設置する計画。しかし配管などの関係上、鉄骨プレハブ住宅の室内で段差を解消するのは難しく、一部で建設されている木造住宅も完全なバリアフリーではないという。県健康福祉政策課は「車いすの人が使えるように仮設住宅を改修するか、新しく建設するかを検討している」と話している。(清島理紗)

 

 

■聴覚障害理由に入店拒否 尼崎の飲食店

神戸新聞NEXT  2016/7/30 20:41

https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201607/0009337546.shtml

 

「滋賀県ろうあ協会」の会員7人が、兵庫県尼崎市内の飲食店で聴覚障害を理由に来店を拒否されていたことが30日、同協会への取材で分かった。同店は会員らに謝罪したという。

同協会によると、会員は5月9日、尼崎市の飲食店にファクスで予約を申し込んだ。ところが翌日、同店から「手話ができるスタッフがおらず、筆談での対応もできない」「通訳のできる方がおられない場合、予約をお取りすることができない」と返信があり、予約を断られたという。

同協会は兵庫県聴覚障害者協会(神戸市中央区)などを通して同店に直接抗議。店側は「筆談で対応すると制限時間の90分間では食事の提供は難しい。接し方が分からず、失礼にあたると思って断った。申し訳ない」と謝罪したという。

 

 

■精神と知的の障害年金 不支給割合の地域差を是正へ

福祉新聞編集部 2016年07月28日

http://www.fukushishimbun.co.jp/topics/13602

 

厚生労働省は15日、障害年金のうち精神障害、知的障害の等級認定に関するガイドライン(指針)を策定した。認定で不支給になる割合に地域差がある現状を是正することが狙い。

日本年金機構の都道府県事務センターは、今年9月1日から指針に基づいて運用する。厚労省は当初、今年1月から運用を始める意向だったが、指針案に異論が出たためずれ込んだ。

指針は①年金申請の際の診断書の記入事項を指標化して障害等級(1~3級)の目安を導く仕組み②目安をもとに都道府県の認定医が総合評価する際の「考慮すべき要素(例示)」——の二つからなる。法的拘束力はないが、厚労省はバラツキを減らせるとみる。

これに加え、認定の基礎資料となる診断書を書く医師向けの「記載要領」も作った。

「指針に基づいて認定すると、かえって不支給が増える」といった懸念の声が上がったことを踏まえ、既に受給している人への経過措置も設けた。3年後に検証し、指針を見直すことも表明した。

指針の策定は、2015年2月から「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」(座長=安西信雄・帝京平成大大学院教授)で検討した。

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