【報告】 11月24日 ~ 兵庫県オールラウンド交渉 報告 ~
【報告】 11月24日 ~ 兵庫県オールラウンド交渉 報告 ~
障問連事務局
11/24、兵庫県民会館において兵庫県関係全部局とのオールラウンド交渉を行った。関係課との調整もあり、午後から開催されたため、例年より時間が無く十分議論できなかったのは残念であった。主な項目について、以下報告します。
また、詳細は次号で報告しますが、11月13日県障害福祉課から障問連に対して個別に説明があったが、「兵庫県としては今回、条例を制定しないことになりました」と報告があった。県内の明石市では来年4月からの差別解消法の施行と同時に明石市条例も実施に向けて検討が行われ、宝塚市でも平成29年度からの条例施行に向けた検討が行われている。非常に残念な結果であるが、県としても差別解消法の施行状況を見ながら必要があるなら条例制定は検討したいとの意向であり、私たちも他団体とも協力して、引き続き求めて行きたい。
【労働について】
主な要望内容として、来年4月から始まる障害者差別解消法の観点から、県職員採用における「介護者なしでの職務遂行」条件の撤廃、また明石市での先進的な取り組みもあり身体障害以外の知的・精神障害者の雇用について要望し話し合った。
○「介護者なしの職務遂行」条件について
・元々、受験資格としてあったが、数年前からは外し、受験案内の末尾に記しており受験資格ではない。このように運用しているのは全国でも4~5府県。どの程度介護が必要かどうか明確な基準は設けていない。実際に受験し面接の際に個々の事情をお聞きして判断する事になる。
・実際に公務員以外の職場介助者を伴っての労働については、地方公務員法上、守秘義務を課せられている者とそうでない者とが一緒に働く事は困難である。
○知的障害者、精神障害者の雇用について
・県職員の業務は法解釈などの知見が広く求められる一般事務職であり、障害特性から困難であるが、法改正の趣旨を踏まえ、受験機会の拡大について他自治体の動向を踏まえ検討していきたい。
・明石市の取組は知っているが、実際に雇用してどうなのかを見て今後検討していきたい。
○雇用された後に障害を持った労働者への合理的配慮等のサポートについて
・ならし出勤制度・段階的な職場復帰、所属課での配慮、配置上の転換、定期的な健康確認、通勤経路等、障害の程度・部位に応じて配慮しており、合理的配慮は対応できているため問題は無い。
〈当日の要望内容・意見〉
→「介護者なしの職務遂行」について受験資格から外したと言うが、受験案内には記されているため、それだけで断念する場合も十分あり得るため、引き続きこの文面の削除を求めたい。
→十分に議論できなかったが、障害を持った職員に「合理的配慮を行っている」との回答の意味は、ならし勤務等の配慮はあくまで経過措置であり、最終的には「通常勤務」が必要とされ、その障害や症状により継続的な、例えば短時間勤務が必要のある人の場合には業務不可と判断されると受け取られた。各企業ではフレックスタイム制や時短制度の導入が推進されているが、今回の回答では「通常業務」を求めており、さらに実情を聞き、引き続き、個別に要望していきたい。
【バリアフリーについて】
○駅舎の段差解消状況
5000人以上
総駅数 |
5000人以上
段差解消駅数 |
割合 | 3000人以上総駅数 | 3000人以上段差解消駅数 | 割合 | |
H25年度末 | 175 | 170 | 97,1% | 43 | 24 | 55,8% |
H26年度末 | 175 | 171 | 97,7% | 44 | 25 | 56,8% |
H26年度に中に解消駅 | 阪神電鉄 甲子園駅 | 山陽電鉄 浜の宮駅 |
・5000人以上の駅について、残り4駅のうち整備中は2駅、残り2駅は検討中。
・兵庫県としては平成22年度から3000人以上の駅にも対象拡大している。今年度内にも、山陽電鉄の月見山駅・網干駅、JRの生瀬駅・溝渕駅・香呂駅が解消される予定。
〈当日の要望内容・意見〉
→当事者の意見を踏まえた検討を改めて要望した。JR六甲道駅での試験的なホーム柵についても視覚障害者にとって接触すると警報が鳴り使い勝手が悪いこと、また長年特に淡路島と明石市を結ぶ高速バスについても従来回答に終始しており、当事者と事業者、県が一緒に考える場を作って欲しいと要望した。
→バスの運転手がスロープ板の使用方法等も知らないなど対応が悪い例が指摘された。それについては県からの情報として、「国土交通省近畿運輸局消費者行政情報課」(06-6949-6431)に直接連絡して欲しいとのこと。
【自立生活支援について】
○入院時コミュニケーション支援(平成26年度実績)
利用者数 | 延利用回数 | 利用時間 | |
神戸市 | 13人 | 17回 | 1091時間 |
尼崎市 | 1人 | 1回 | 33時間 |
明石市 | 2人 | 83回 | 283時間 |
西宮市 | 27人 | 243回 | 820時間 |
宝塚市 | 0 | 0 | 0 |
小野市 | 0 | 0 | 0 |
多可町 | 0 | 0 | 0 |
稲美町 | 0 | 0 | 0 |
○移動支援/車使用について
→「車両型」支援を実施している市町・・・尼崎市・川西市・丹波市
○移動支援/発着点の制限
→県回答では「いくつかの市町に聞いたが、発着点については制限していないとの回答がいくつかあったため、自宅以外での発着点も可能であると市町の主幹課長会議の場を通じて話ししたい」との回答があった。この回答を踏まえ、認めていない各市町に今後要望していきたい。
○移動支援/通勤通学の利用
→県回答では、国において行われている総合支援法の見直しに関する説明があり、その上で「必要に応じて各市町が実施すれば良い」と回答された。但し「利用する時間帯が集中しヘルパーの確保が難しい」と市町の意見も紹介された。
○地域生活支援拠点
→県回答では、「県内ではまだどこも実施していない。国のモデル事業を各市町に周知したが、手を上げた市町は無かった。まだ厚労省から具体的な内容が示されていないが、平成29年度までに圏域または各市で1か所以上整備しないといけないので、県としては側面的な支援を行いたい」
○介護保険との適用関係
→65歳になる「生活介護」利用の障害者に介護保険のデイサービスへの移行を強く求められている事例が加盟団体からも相談として寄せられている。この問題について県の回答は・・・「その人の住まいの近くに無い、適切な支援が受けられない等の理由があれば介護保険に移行しなくても良い、一律でなく各市町の判断である」と最初に回答されたが、「障害福祉サービスと介護保険制度で、例えば居宅支援の身体介護・家事援助は『同一サービス』として位置づけられるが、兵庫県として生活介護は『同一サービス』としては位置づけていない。『共通類似サービス』である。生活介護でも何らか生産活動を行い工賃が発生している場合には、介護保険に移行する必要はない」との回答であった。
→県回答では、「3月18日には市町の担当者会議、8~10月には県下12か所で高齢障害者ケアマネージメント研修を開催し上乗せ支給等の説明を行った」と、国の動向も踏まえ県として重点課題として取り組んでいるよう。また、国の通知に反する市町の運用があり、「2市町には個別に指導した」との報告も行われた。「障害支援区分6の人が介護保険の認定では1になったり、3の人が1になったり、また要介護度5出なければ障害サービスによる上乗せ支給や併用を認めないと言う不適切な市町もある」と現状の課題を説明し、「相談支援事業者・ケアマネ・地域包括・各市町の介護保険、障害福祉担当などによる連携会議を7月~行っており、介護保険への円滑な移行、サービス低下がないよう、上乗せや併用の基準など、来年3月までに様式を作り各市町に周知したい」とされた。今後、障害者の実状に合うような施策になるよう要望していきたい。
○重度訪問介護の対象拡大
→新たに利用開始した知的・精神障害者・・・尼崎3人、西宮5人、芦屋1人、伊丹4人の計13人。対象がもっと多くいると思われるため各市町に指導していきたい。
○障害の範囲拡大/難病者の福祉サービス利用
→平成26年度の利用状況は、16市町で31人(政令市・中核市以外)。少ない。内容は居宅支援が大半。
【その他の課題】
○視覚障害者に対しての選挙公報の情報保障
→公職選挙法上、音声等の情報保障はできない。国に対して制度改正を要望していきたい。
【精神障害者問題/教育】
○学校現場で精神障害者の問題について取り組まれていない事に関する要望。
→精神疾患については教職員には精神保健福祉センター作成の資料配布、養護教員への精神疾患の基礎知識の啓発等という従来回答に終わった。時間が無く、諸外国で精神疾患に関して小学生から学習している資料を県教委人権教育課担当者に提出し、後日改めて申し入れる事になった。
【精神障害者問題/地域移行】
○精神科病院の長期在院者の減少率が、兵庫県は全国平均を大きく下回っている状況についての要望。
→明確な回答は無かったが、地域移行に熱心な病院とそうでない病院、地域の偏見、啓発の遅れ等も要因、しかし最重要課題であるとも回答され、各地域の社会資源等の状況も含め、私たちも実態を知り、引き続き要望していきたい。
○兵庫県内の「病棟転換型居住施設」について
→兵庫県として「条例の見直しはしない」と明言した。
○公営住宅に入居する精神障害者へのサポートについて
→「国に確認したが地域生活支援事業において住宅入居等支援事業は可能であり民間事業所が入居までサポートできるが、入居している人への支援策は無い」と回答であったため、昨年度、神戸市須磨区でグループホームのマッチング事業で地域住民の反対の例を示し、必要性を改めて要望した。
【精神障害者問題/保健・医療】
○重度障害者医療費助成について
→精神障害2級への対象拡大を要望したが、財政を理由として「重度者に限定、現行制度の維持」との従来回答に終わり、県内市町では独自で対象拡大している事も含め改めて要望した。
12月 3, 2015