差別問題一般

【巻頭】 あらためて障害者の立場から「戦後70年」を問う

栗山和久(障問連事務局)

国会では現在、安全保障に関わり議論されている。ある地域では「障害者の憲法9条の会」が組織されていると聞く。国の役に立たない者に権利など不要だ、そんな風潮を危惧する。また「存立危機事態」が議論されている。しかし一方で、国の経済的な存立を危機に陥れる要因に社会保障がやり玉に上げられ、その抑制を有無も言わさず推進され、生活保護、介護保険が「存立の危機」にさらされている。特別養護老人施設への待機者が約50万人。在宅サービスも縮小、自己負担の増、経済的にゆとりのある高齢者しか暮らしていけない。戦後70年を巡り議論されているが、戦前から戦後を生き抜いた高齢者の「存立」を危うくさせているのが今の政府ではないのか。また「日本創成会議」では都市部では特養の新設はこれ以上難しく、高齢者の移住を促進させると言う。障害者権利条約では、「誰とどこで暮らす」権利と謳われているが、障害のある高齢者には無関係でいいのだろうか。

差別解消に関わり、明石市ではタウンミーティングや検討会が進められ、宝塚市、神戸市でも今後始まろとし、さらに兵庫県としても条例制定に向け検討が具体化している。今なお条例制定するかどうかは未定。背景には知事の方針転換が理由と聞くが県障害福祉部局担当者の努力もあるのだろう。国が進む方向が厳しくとも、各自治体の首長や担当者によれば、積極的な施策も実現できるだろう。障問連としても尽力していきたい。

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