新聞記事から

【報道】 新聞記事より

■被災障害者支えて20年 大阪の「ゆめ風基金」

神戸新聞NEXT 2015/7/26 14:00

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201507/0008244586.shtml

 

阪神・淡路大震災での被災障害者支援を機に設立されたNPO法人「ゆめ風基金」(大阪市、牧口一二代表理事)が6月、発足20年を迎えた。この間、寄付金を基に国内外34の災害被災地に届けた救援金は3億4387万円に上る。生活の復興と自立を目指す障害者に寄り添ってきた。20年の活動で「災害弱者」を取り巻く環境は改善が進んだ一方、課題もなお多い。(岸本達也)

1995年1月17日の震災では、多くの障害者事業所が被災。大阪を拠点に全国の仲間が次々と被災地入りし、安否確認に回り、物資を届けた。

「本格復興には時間がかかる」。救援活動を経て、障害者の生活再建を息長く支援しようと、同年6月にゆめ風基金が発足。被災地では支援されるだけでなく、自ら地域住民に救援物資を配ったり、炊き出しを振る舞ったりした障害者もおり、助け合いの思いが活動の原点にもなった。10億円の基金づくりを目標に、ミュージシャンの小室等さんや永六輔さんら著名人が呼びかけ人に名を連ねた。

当初は10年計画だったが、その後も国内外で災害が続発。スタッフはそのたび、厳しい環境に追いやられる障害者を見てきた。過酷な生活で体調を崩して亡くなる「関連死」も繰り返された。

活動は続き、新潟・中越、能登半島、中国四川省、トルコ、ハイチ、兵庫県佐用町など計34の被災地に救援金を届け、障害者への物資提供や事業所再建などを支援。障害者団体の設備・運転資金向け低利融資制度も創設し、59団体に総額2億3千万円を貸した。

「全国約50の障害者団体とネットワークをつくり、いざというときに備えている」と事務局長の橘高(きったか)千秋さん(63)。4年前の東日本大震災ではこのつながりが生き、直後にスタッフを派遣。岩手、宮城、福島各県で障害者の生活相談や自立支援をする拠点づくりにつなげた。

一方、福島の原発事故では多くの住民が避難する中、障害者は取り残され、支援が届かなかったケースも。東北の被災地ではヘルパーら障害者の生活を支える人材が不足しているという。

ゆめ風基金は、日ごろの防災支援にも力を入れる。橘高さんは「障害者施設での災害対応や避難の在り方などをさらに研究し、提言していきたい」と話す。

【災害弱者】 災害時に弱い立場に立たされる障害者や高齢者ら。避難できずに支援から取り残されたり、バリアフリーでない避難所での共同生活が難しかったりする。阪神・淡路大震災を踏まえ、国は生活しやすい「福祉避難所」の設置を促す。従来の避難所に「福祉スペース」を設ける動きもある。災害時の避難で支援が必要な人の名簿をあらかじめ作る取り組みも広がる。

 

 

■山形県は、障がい者の差別を解消するための条例を制定へ

山形放送 2015/7/29 20:00

http://www.news24.jp/nnn/news8876614.html

 

山形県は、障がい者の差別を解消するための条例を制定することになり、差別の禁止に加え、障がい者への理解を深める施策の推進を柱とする骨格案を示しました。これは、障がい者福祉団体の代表などが出席した会議で県側が明らかにしたものです。障がい者の差別を解消するための条例は、県が、来年4月に施行される国の障害者差別解消法を見据え、制定を進めているものです。県は、障がい福祉関係の23団体から、差別に対する具体的な事例を調査し、条例に盛り込む禁止事項として「企業の採用や賃金」「公共施設の利用や制限」、「福祉サービス提供」など、具体的な生活の場面ごとに考え方を示しています。また、障がいや障がい者に対する理解不足による誤解や偏見が差別につながっているとして、条例に、障がい者などへの理解を深める施策の推進の項目を設けたのが特徴です。

 

 

■篠山市役所で手話研修会 職員があいさつなど学ぶ

神戸新聞NEXT 2015/7/29 20:30

http://www.kobe-np.co.jp/news/tanba/201507/0008255518.shtml

 

耳の不自由な市民への対応向上を目指し、兵庫県篠山市は29日、丹波ろうあ協会の大内和彦会長を講師に招いて市役所で手話の研修会を開いた。職員65人が、あいさつなどの基本を学んだ。

市は今年4月、「みんなの手話言語条例」を施行した。職員が本格的に学ぶのは初めて。

研修会では、聴覚障害者が感じる不便さや手話の必要性のほか、物の形や動きについての表現、歴史的由来などを学んだ。実技では「私は篠山市役所の○○と申します」「おはようございます」「ありがとうございました」など自己紹介と簡単なあいさつができるよう訓練した。

地域福祉課の宇杉武係長は「身ぶり手ぶりだけでなく表情も併せて伝える大切さを感じた。込み入った相談は難しくても最低限の対応ができるようにしたい」と話した。

市は「手話施策推進委員会」を設置しており、市民に手話を普及させる方法を検討している。(安福直剛)


■【障害年金不服申し立て増加】受け付け封じる動きも 少人数で審理は滞留

共同通信社 2015/07/20 17:50

http://www.47news.jp/47topics/e/267270.php

 

障害年金の不支給や打ち切りに納得できない人が増えている。不服申し立てを受けた審理件数は10年間で3・5倍増の年約6500件。だが、申し立てを審理する態勢は半世紀の間、変わっていない。担当者の人数が限られて審理は滞留。内部から改善を求める声が上がっても放置され、受付窓口では不服申し立てを封じるような動きすら出ている。

▽8カ月

「受付件数の増加により、裁決まで平均で8カ月程度を要しています」

香川県に住む身体障害者の50代男性は今年3月、国の社会保険審査会から通知を受け取った。以前は片脚だけだった障害が病気の悪化で両脚になり、年金の増額を申請したが認められず、再審査請求に至った。

二審制となっている不服申し立ての審査に当たる担当者は、驚くほど少ない。一審に当たる地方厚生局の社会保険審査官は定数が全国で102人。二審段階の社会保険審査会の委員は6人。件数は昔と比較にならないほど増えているのに、約50年前から同じ人数だ。

審査会の審理期間は2009年度には平均約5カ月だったが、今や「迅速な救済」という本来の役割を果たせていない。男性は「8カ月もかかっていたら、障害が重い人の中には亡くなってしまう人もいるんじゃないか」と憤る。

▽権利制限

「上司から『審査請求(不服申し立て)を受けるな』と言われたことがありました」。関西地方の年金事務所を今春退職した日本年金機構の元職員は、こう打ち明ける。

「『丁寧に説明し、納得してもらうように』というのが建前だったが、申し立て件数を増やしたくない意図が明らかだった。国民の権利の制限になるので、問題だと思った」と元職員。

一方で、障害者団体などには「年金事務所で『不満があるなら、審査請求してください』と突き放すように言われた」という相談も寄せられる。

各地方厚生局の社会保険審査官はホームページに「審査請求を行うときは、あらかじめ年金機構などから決定の内容について詳細な説明を受けてください。単なる要請、陳情など不適切な審査請求になる場合があるからです」といった案内文を載せている。しかし、機構から不支給判定などについて詳しい説明を得られることは少ない。

障害基礎年金の判定事務を担うのは、機構の都道府県事務センター。現役職員によると、あるセンターでは判定する医師と担当職員の間で判断理由などについてメモが交わされるが、申請者への説明のため年金事務所に書類を送る際は、メモを一切添付しないという。

そのため申請者には不支給になった理由は伝わらない。この職員は「メモを出すと余計に突っ込まれるから、そうしているのだと思う」と話す。

▽ぬかにくぎ

障害年金支給の申請自体は、増加傾向にあるが小幅な伸びだ。一方で不服申し立てが急増しているのは、機構の判定に不満を抱く人が増えていることを物語る。

社会保険審査会の委員からは、厚生労働省に改善を求める声が何度も上がっていたという。

ある元委員は「機構の判定の地域差は何年も前から指摘していた。厳しすぎる不支給判定を審査会で覆しても、同様の事例が繰り返される。委員の増員要求も聞き入れられず、ぬかにくぎだった」と証言。「今のままでは国民のためになっていない」と嘆いた。

 

 

■「ほぼ24時間介護」認定
朝日新聞デジタル 2015/7/10 09時11分
http://www.asahi.com/articles/CMTW1507102300001.html

 

筋ジストロフィーを患い、人工呼吸器を装着している男性が「生活には24時間介護が欠かせない」として、住んでいる自治体と交渉した結果、介護サービスを1日23時間半まで受けられることになった。患者を支援する「介護保障を考える弁護士と障害者の会全国ネット静岡弁護団」が8日、明らかにした。

長時間介護を必要とする人のための「重度訪問介護サービス」は、障害者総合支援法による制度で利用者の自己負担(所得に応じて減免)以外の費用は国や自治体が負担する。支給時間は自治体で決める。弁護団によると、全国で裁判で争われているが、交渉で24時間に近いサービスが認められたのは珍しいという。

サービスの支給量が増えたのは、県内で一人暮らしをしている林宏隆さん(40)。弁護団によると、林さんは子どものころに筋ジストロフィーと診断され、 徐々に全身の筋力が低下。今は眼球や唇、指先などのほかは自力で動かすことが難しい。1999年からは人工呼吸器を使っている。

交渉までは1日15時間半の「重度訪問介護」のサービスと生活保護の他人介護料によるサービス計19時間半の介護を受け、残りの時間は介助派遣事業所が ボランティアの形で負担していた。林さんは昨年2月、弁護団に依頼。弁護団は1日に必要なサービスを4カ月間拾い出し、医師に意見書を書いてもらった。

今年3月に自治体と交渉を始め、5月に「重度訪問介護」を1日4時間分増やし他人介護料を含め、23時間半までカバーできることが決まった。交渉にあたった木村絵美弁護士は「同居の家族に介護の負担がかかっている家庭もある。24時間介護を希望する人は相談して欲しい」と話す。

相談は全国ネットが電話(0120・979・197、月~金曜日午前9時~午後6時)やメール(kaigohoshou@gmail.com)で受け付けている。

■筋ジストロフィーの林さん、「自分で決める」それが生きること

ベッドのそばの人工呼吸器は生きるために欠かせない。林さんは「何かの拍子に呼吸器が外れたら死んでしまう。その重みを分かってほしい」と話す。

「施設に入ったらいいじゃないか」。交渉のたびにそんな声が返ってきた。林さんは「寝る時、起きる時、食事……。自分の生活は自分で決める。それこそ僕が生きているということなんです」と訴える。

サービスは24時間には届かず今後も話し合う。「必要なサービスが必要な分受けられる。そんな前例となりたい」

 

 

■精神科病棟のグループホームへの転換 32自治体が特例見送り

福祉新聞 2015/07/06

精神科病棟のグループホームへの転換 32自治体が特例見送り

 

精神科病棟をグループホームに転換することを特例で認め「地域移行支援型ホーム」とする厚生労働省の省令改正に関連し、この特例を条例改正に位置づけることを見送った地方自治体が32に上ることが、6月26日までに障害者団体の調査で分かった。2015年度中に同ホームの設置計画ありとした自治体はゼロだった。

調査は病棟転換型居住系施設について考える会(連絡先=長谷川利夫・杏林大教授)と全国精神障害者地域生活支援協議会(伊澤雄一代表理事)が6月5~19日に都道府県、政令市、中核市計112自治体に実施。83自治体から回答があった。特例を条例に位置づけたのは39自治体にとどまった。

特例に反対してきた長谷川教授は26日に都内で開いた集会で「32もの自治体が見送ったことは誇って良い」と評価。これまでの運動の成果だとみている。

同日の発表は中間集計で、両団体は7月末にも最終集計を発表する予定だ。

病棟を施設として使う特例は長期入院精神障害者の地域移行策に関する厚労省検討会のまとめを受けたもの。厚労省は今年1月に省令改正し、自治体に「あくまで選択肢の一つ。プライバシー確保など厳しい条件付き」と説明している。

これに対し、長谷川教授らは「特例は障害者権利条約に真っ向から反している」と反対している。

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