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新刊紹介

『ことばのバリアフリー――情報保障とコミュニケーションの障害学』

(あべ・やすし著、生活書院、2015年6月刊、2000円+税)

 

京都で障害者の介助をされているあべさんの著作です。「すべての人たちに情報が保障されるとはどういうことか」ということを考えた書籍です。なかでも「識字教育の落とし穴」を扱った論文には目からうろこを落とされるのではないでしょうか。従来の識字教育は、「自分が読み書きできるようになること」という呪縛から逃れられていないのではないか、これでは障害の医学モデルと同じだろう、そうあべさんは指摘します。識字教育で大切なのは、「独力で読んだり書いたりできる能力の向上」ではなく、「読書権の保障」ではないのか、とあべさんは言います。そこからあべさんは、図書館サービスの問題や、ディスレクシア(読字障害/書字障害)の問題へと考えを展開します。解放教育における識字問題にも一石を投じるあべさんの著作、なかなかにスリリングなものです。

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