【報告】 明石市での取組/「手話言語・コミュニケーション条例」が制定
明石市では3月市議会において「手話言語・コミュニケーション条例」が可決されました。続いて「差別解消条例」の検討が、この5月から本格的に始まり、同条例制定に向け、4/1~4/30の期間で、「障害を理由とした差別と思われる事例」ならびに「障害のある人への配慮の好事例」の募集が行われました。また、明石市長として今条例制定に積極的に取り組んで来られた泉房穂さんは、4/26投開票の首長選挙で、見事再選を果たされました。
また、奈良県でも関西で2番目に差別解消条例が制定されました。詳細は次号で紹介します。以下、明石市で今回制定された条例の「前書き」部分を以下に紹介します。
【手話言語を確立するとともに要約筆記・点字・音訳等障害者のコミュニケーション手段の利用を促進する条例】
■手話は言語である
すべての人は、さまざまな人と出会い、言葉を交わし、自分の生活にかかわる人との多様な関係をつくる中で、その人らしい豊かな生活をおくる権利を有している。しかし、現実には、多くの障害者にあってはコミュニケーション手段の選択の機会が制限され、困難な状態におかれている。 中でも、ろう者にあっては、ろう教育において口話法が長年にわたって行われ、その結果、ろう者の言語である手話の使用が事実上禁止され、ろう者の尊厳が深く傷つけられた歴史をもつ。平成18年に国際連合で採択され、平成26年1月に日本が批准したことにより、同年2月に日本国内で発効された障害者の権利に関する条約は、定義において、言語には、音声言語だけではなく、「手話その他の形態の非音声言語」が含まれるとした。
同条約で手話が言語として明確に定められたことで、手話がろう者にとって欠かすことができない生活上のコミュニケーション手段であることが国内外で認められることになった。
■多様なコミュニケーション手段の促進のために
障害者の権利に関する条約は、コミュニケーション手段には手話を含む言語、文字の表示、点字、音声、触覚、平易な表現等による多様なコミュニケーション手段があるとし、同条約の趣旨を反映した障害者基本法の改正は、コミュニケーション手段の選択と利用の機会が確保されていない障害者に大きな変化をもたらし、自立と社会参加に大きな扉を開くものとなった。
その一方で、明石市において、実際には障害の特性や障害者のニーズに応じたコミュニケーション手段の選択と利用の機会が十分に確保されているとは言えず、地域社会で暮らす人と人との初歩的な関係づくりに日常的な困難をきたしている人たちが少なくない。こうした障害者のコミュニケーションの権利を実現するためには、障害者の権利に関する条約の理念を広く市民と共有する不断の努力が必要である。
多様な人と人との出会いと相互理解の第一歩がコミュニケーションであることをすべての市民が確認し合い、そのことをもって、お互いに一人ひとりの尊厳を大切にしあう共生のまち-明石市づくりを推進する新しいスタートラインとするため、この条例を制定する。
5月 1, 2015