【報告】 国の制度動向
【報告】 国の制度動向
障問連事務局
様々に私たちを取り巻く状況は変化しようとしています。少数の事務局が担うには抱える課題が多くあり目の前の課題に追われる現実はありますが、以下、この間の重要と思われる制度の動向をお伝えします。
■障害者雇用の差別禁止化に改正/雇用促進法施行への指針まとまる
労働政策審議会障害者雇用分科会は3月2日、改正障害者雇用促進法の2016年度施行に向け、企業等に示す「差別禁止」と「合理的配慮」の指針について、厚労省案を妥当と認めた。厚労大臣は指針を告示し、法施行までに周知する。
《差別禁止》・・・求人募集・採用/賃金/昇進などについて、障害のない人と異なる不利な取り扱いを行うことを禁止するもの。
《合理的配慮》・・・指針の正式名称は「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」
基本的な考え方として→「合理的配慮は、個々の事情を有する障害者と事業主との相互理解の中で提供されるべき性質のものであること。」
→ この内容は、4/4開催の「障害者春闘」で金政玉さんから分かりやすく説明していただく予定
■厚労省/障害保健福祉部局の2015年度の施策
2月23~24日、厚労省は全国厚労関係部局長会議を開催し事業の執行方針等を自治体に説明した。
(1) 総合支援法の3年後の見直し
同法の施行後3年(2016年4月)の見直しに向け、ワーキンググループを設置し、約40の障害関係団体のヒアリングを済ませ、4月をメドに論点整理し社保審障害者部会で議論すると説明した。
●常時介護を要する障害者の支援
●移動や就労の支援
●意志決定支援の在り方
(2) 難病患者の範囲拡大
今年1月、総合支援法の対象となる難病の範囲が130から151疾病に広がった事に伴い、厚労省は3月6日障害保健福祉関係主管課長会議で、障害支援区分の認定マニュアルを示し配布した。さらに夏には第2次分の疾病追加が予定されている。配慮すべき事として、難病患者が治療方法がない中で長期の療養による生活面の制約や経済的な負担が大きいこと、「痛い」「力が入らない」「すぐ疲れる」といった外見での分かりにくさ、調査当日の様子だけでなく日頃接している家族や支援者からの聞き取りの日と要請、単に「できる、できない」でなく症状の悪い時にどうなのか、変動する症状ではより重度な方を支援が最も必要な状態と捉えること等について配慮すべきと説明された。
(3) 精神障害者の地域移行
長期入院する精神障害者に退院を促し、住まいや福祉サービスを充実させ、将来的には精神病床を削減する方針を説明。2015年度から「精神科病院内のクーループホーム(GH)の敷地内への設置」が認められるが、障害者らが反対している事も示した上で、「あくまで試行的な実施、指定にはホームと病院の職員の兼務を禁止する、生活の独立性を確保する等の条件があるが、本人の意向を第一に利用の要否を検討して欲しい」と説明。また、地域移行を進める上でGHは重要とし、ただ都市部ではGHを整備するにも土地の確保が困難なケースもあり2014年度から県知事等が認めた場合には、一つの新築の建物の中に合計定員20人までなら複数住居の設置を認めることにしており活用して欲しいと説明。また家族同居の人も含めた体験利用の促進。
(4) 地域生活支援拠点
障害者の高齢化・重度化や「親亡き後」の対応として「地域生活支援拠点等整備」を2015年度予算案に盛り込んだ。予算案では拠点整備促進を促すため集めたノウハウを全国に返すモデル事業を10か所を程度の自治体で行う(2500万円を計上)。支援拠点は市町村または障害福祉圏域に1か所以上整備することなっている。GHや施設に「相談」「緊急時の受け入れ」「体験利用・宿泊」などの機能を集約する「多機能拠点整備型」と、それらの機能を持つ事業者が連携する「面的整備型」がある。
■2025年~介護人材最大30万人不足~厚労省が需給を推計
厚労省は介護保険サービスの需要と供給の見込みから算出、5月には確定値が判明する事を踏まえ、介護人材の確保方策(社会福祉従事者確保のガイドライン)を発表する。2013年度の介護人材は171万人。2025年の需要見込みは248万人、供給見込みが215万人で、約30万人のギャップがある。
■介護福祉士に在留資格
法務省は3月6日、外国人の日本在留資格として新たに「介護福祉士」を追加する出入国管理・難民認定法改正案を国会に提出した。介護福祉士の資格を持つ外国人が介護や介護の指導に従事できるようにする。現在は経済連携協定(EPA)の枠組み以外では介護福祉士の入国・在留を認めていない。同時に実習生に低賃金で長時間労働を強いる等、悪質な企業を監視するため新たに制定する「外国人技能実習生保護法案」を厚労省と共に提出した。
■マイナンバー制度、厚労省は自治体に準備求める
マイナンバー(社会保障制度における番号制度)の利用が2016年1月から始まるのに向け、厚労省は自治体に周知と準備を求めている。今年10月には国民への個人番号の通知が始まる。マイナンバーは国民1人1人に割り当てられる一生変わらない12桁の番号。行政機関がそれぞれ管理する納税や社会保障給付の情報を一元的に把握するために使われる。3/6障害保健福祉主管課長会議では、例えば介護給付費等の申請に際してもマイナンバーの記入が必要となり、「初めて住民がマイナンバーを使う場になるのが福祉の窓口になる可能性が高いのでしっかり準備を」と説明した。
■地方創生で厚労省が指針~福祉職の統合を検討
3月13日、厚労省は地方創生に関連した医療・介護・雇用・子育て分野の指針となる「まち・ひと・しごと創生サポートプラン」をまとめた。人材確保が難しい中山間地を想定し、福祉サービスの担い手となる専門職種の統合・連携方策を検討する。職員の労働生産性を上げる事が狙いで、現行の規制を緩和することもあり得る。3月内にも検討チームを立ち上げる。
4月 1, 2015