新聞記事から

【報道】 新聞記事より

■兵庫)政令市初、神戸市議会が手話条例案

朝日新聞デジタル 2015年1月7日03時00分

http://digital.asahi.com/articles/ASH164TYWH16PIHB01F.html

 

神戸市議会4会派は、「みんなの手話言語条例」(仮称)を2月議会に提案する。手話を言語として位置づけ、日常的に使用できる環境を整える。成立すれば政令指定市では初になる見込みという。3月中の成立、4月1日施行を目指す。

民主、公明、自民系2会派の代表が発表した。条例案では、学校教育の場で手話に接する機会を設けることや、手話通訳者の確保・養成などについて、市が推 進方針を定めて必要な財政措置を講ずる、としている。理念が形骸化しないように、市長に対し、ろう者や手話通訳者らと協議の場を設けることや、施策の実施 状況を議会に毎年度報告することを求める。

昨年8月に4会派で検討会を立ち上げ、大学教授や聴覚障害者の代表らと議論。公明党の向井道尋議員は「障害のある全ての人への理解を促進し、施策の充実を図ることが目的」と話している。

手話言語条例は2013年10月に鳥取県が全国で初めて制定。県内では篠山市が14年12月議会で可決している。(下司佳代子)

 

 

■障害福祉報酬、据え置き=事業者向け、15年度改定-政府

時事通信社 2015/01/10 17:02

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201501/2015011000182

 

政府は10日、障害者に福祉サービスを提供する事業者に支払う報酬を、2015年度改定では据え置く方向で最終調整に入った。11日の麻生太郎財務相と塩崎恭久厚生労働相による閣僚折衝で正式に決定する。現在の報酬制度となった06年度以降、プラス改定が続いていた。/障害福祉事業者への報酬は、国が定める「障害福祉サービス等報酬」に基づき、主に国と地方自治体から支払われ、ほぼ3年ごとに改定される。所得に応じ、利用者が一部を負担する場合もある。過去2回の改定では、09年度に5.1%、12年度に2.0%それぞれ引き上げた。/しかし15年度改定では、サービス利用者の増加などに伴う国の負担増加などを理由に、社会保障費の抑制を目指す財務省が引き下げを要請。厚労省は「マイナス改定には応じられない」(幹部)と強い決意を示し、両省の間で改定率をめぐり激しい攻防が展開された。/14年度の国の負担は約9000億円。利用者は09年の約50万人から14年には約70万人に増えている。15年度改定では、事業者向けの報酬を据え置く一方、障害福祉サービス従事者の処遇を改善する方針だ。

 

 

■社会福祉法人課税は見送り 2015年度税制改正の大綱を閣議決定

福祉新聞 2015年01月19日

http://www.fukushishimbun.co.jp/topics/7482

 

政府は14日、2015年度税制改正の大綱を閣議決定した。社会福祉法人を含む公益法人への課税は見送った。16年度以降の税制改革で引き続き議論される見通し。

政府税制調査会は14年6月、社会福祉法人による介護事業など民間企業と競合するものは、現在の非課税扱いを見直すよう求めていた。

政府の大綱に課税見送りとする明確な記述はないが、財務省は「社会福祉法人への課税の扱いは12月30日決定の与党の税制改正大綱と同じ」(主税局)としている。

与党の大綱は公益法人について「非収益事業について民間競合が生じていないか、収益事業への課税について軽減税率とみなし寄付金制度がともに適用されることが過剰な支援になっていないかについて、実態を丁寧に検証しつつ、そのあり方について引き続き検討を行う」とした。

社会福祉法人への法人税課税問題は、企業への法人税引き下げの穴埋め策として浮上。全国社会福祉協議会など福祉団体が14年夏以降、反対運動を展開していた。

 

 

■性的虐待:障害女性に…前施設長、発覚後に自殺か 京都

毎日新聞 2015年01月17日 21時34分(最終更新 01月17日 23時01分)

http://mainichi.jp/select/news/20150118k0000m040058000c.html

 

京都府南丹市園部町横田の知的障害者授産施設「あしたーる工房」の施設長だった50代男性が、女性利用者2人に性的虐待をしていたことが17日、 施設側などへの取材で分かった。男性は発覚後の今月6日、自宅で死亡しているのが見つかり、府警南丹署によると自殺の可能性が高いという。被害者からの相 談を受け、府と市は昨年末に合同で立ち入り調査し、再発防止を図るよう指導した。

施設を運営する社会福祉法人「京丹波福祉会」によると、昨年12月6日に女性利用者が当時の副施設長に相談して発覚。法人の聞き取り調査に前施設長は行為を認めたため、同8日に停職処分になった。前施設長の死亡に関し、遺書は把握していないという。

市によると、前施設長は利用者2人の体を触るなどの虐待を数年間継続していたという。被害者側から相談を受けた南丹署が事実関係を調べている。

記者会見した石田知子施設長は「チェック機能が働かなかった責任を感じている。被害者の心のケアの専門家を要請するなどしたい」と話した。

「あしたーる工房」は2005年に国と府の補助金を受けて開所。障害者の就労支援をしている。

 

 

■佐賀コロニー職員、知的障害の入所者膝蹴り

佐賀新聞 2015年01月21日 10時26分

http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/147777

 

佐賀県は20日、知的障害者らが入所する県立障害者支援施設「佐賀コロニー」(河原祐一郎所長)で、20代男性職員が、知的障害の40代男性入所者を膝で蹴る虐待が起きたと発表した。男性は右あばら骨にひびが入る全治6週間のけがを負った。県はこの職員による同様の事例が他にもなかったか調査し、処分する。

県によると、職員は9日午前8時40分ごろ、男性がラジオ体操に参加しなかったことに腹を立て、男性の部屋で後ろから右膝で背中を蹴った。同日午後1時半ごろ、男性が痛みを訴えたが、別の職員が外傷がないため一時的な腹痛と判断。4時間後に再び痛みを訴え、看護士に蹴った職員名を上げ、「蹴られた」「痛い」と伝えたという。

施設の調査で、本人は当初、暴力を否定した。その後、別の職員から「本人が蹴ったと言っていた」との証言を得た。19日に上司が事実関係の説明を書面で求めたところ、「感情的になり、蹴ったことを深く反省しています」と認めた。

施設側は男性の家族に謝罪した。家族は被害届は出さない意向という。職員は現在、清掃などの管理業務にあたっている。県庁で会見を開いた河原所長は「全職員に再教育を実施し、利用者との対話を進めていく」と陳謝した。施設は113人が入所しており、近く利用者の家族向けに説明会を開く。

 

■社説:生活保護減額 最低限の水準下げるな

東京新聞 2015年1月21日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015012102000166.html

 

生活保護のうち家賃にあたる「住宅扶助」と冬場の暖房費などを賄う「冬季加算」が新年度から減額される。国が保障する健康で文化的な最低限度の生活水準がどんどん引き下げられていく。

政府は二〇一五年度から住宅扶助を段階的に国費で百九十億円、冬季加算を三十億円減らすことを決めた。本年度比で、住宅費は3・8%、冬季加算は8・4%の減額で、ともに過去最大。住宅扶助は地域や世帯人数ごとに上限月額が異なるが、東京二十三区の二人世帯で六千円減の六万四千円、埼玉県熊谷市で同一万円減の五万二千円となる。名古屋市は同三千円減の四万四千円。多くの受給者が転居を強いられる。

不可思議なのはあり方を検討してきた厚生労働省の審議会が取りまとめた最終報告に、引き下げを容認する言葉は見当たらないことだ。それどころか「生活保護制度での居住水準はあくまで、健康で文化的な最低限度の住生活の保障にある」など引き下げを懸念する記述が多い。委員からも「住居の転居で高齢者は認知症の悪化につながりかねない。自分はこの場所に住んでいてよいという安心感がすべての人に必要だ」と否定的な意見が相次いでいた。

にもかかわらず、政府は総務省発表の家賃物価の全国平均が〇八~一三年までに2・1%下がっているなどを根拠に決めた。審議会は何のために議論していたのだ。

高家賃住宅が増加する一方、低家賃住宅が減っているため、家賃平均額は上昇しているという研究者の報告もある。また、受給している単身世帯で、国が定める最低居住面積(単身で二十五平方メートル)を達成していない住居が現状でも五割を超える。審議会報告も「より適切な住環境を確保することが必要」と指摘しているのに、さらに悪化させることになる。

生活保護の受給者数は二百十七万人近くだが、約一割が十五歳以下の子どもだ。今回の決定で転校を余儀なくされる子どももいるだろう。また、長年住み続けた住居を追い出される高齢者は、新居を探すのも難しい。支援団体やケースワーカーは現在の上限額でも住宅を探すのは困難という。

住まいは生活の基本であり、劣悪な環境で健康を害したら自立への妨げにもなる。生活保護では、食費などの生活費に充てる生活扶助費がすでに下げられている。一方、新年度予算で法人税は軽減される。安倍政権は弱い人への配慮が欠如している。

 

 

■(声)阪神大震災から20年:下 届きにくかった障害者の声

朝日新聞デジタル 2015年1月18日05時00分

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11557005.html

 

主婦 小山肇美(三重県 55)

兵庫県宝塚市で阪神大震災を経験した。自閉症の息子を抱えている私は、障害者の親の会に属していたため、被災した障害者に関する情報を多く聞いた。

自閉症などの発達障害者は、環境の変化に弱く人混みが苦手だ。自閉症の特徴とされる「こだわり行動」も理解されにくい。避難所に入れず、壊れかけた自宅や車中で寝起きしていた被災者もいたという。

また、臓器などに障害がある内部障害者の支援は遅れ、病状の悪化を招いた。自宅に残った聴覚障害者には、広報車の音声のみでは、炊き出しや給水の情報が伝わりにくかったという。寒い避難所では健常者もいらいらして、障害者に気が回らない状況でもあっただろう。障害者がどんな手助けをしてほしいのかは、当事者でないとわかりにくいと痛感した。

ただ、障害者も遠慮なく声を上げる必要がある。健常者も、さまざまな障害を持つ人たちが暮らしていることを心に留めてほしい。想定される大地震にも備えて。

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