国/県の制度

【報告】 国の制度動向

■  ~施行3年後に見直しされる「総合支援法」 論点整理のため厚労省内にワーキンググループが検討開始~

現在施行されている「障害者総合支援法」の付則にある「施行3年後(2016年4月)の見直し」に向け、厚労省は論点整理のためにワーキンググループが12月15日に立ち上げられた。年明けに議論を始め来年4月をめどに論点が整理され、それを基に社会保障審議会/障害者部会で議論される予定。

見直しされる項目は以下。

①    常時介護を要する障害者等に対する支援、移動支援、就労支援などのサービスの在り方

②    障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方

③    意思決定支援、成年後見制度の利用促進の在り方

④    手話通訳者派遣などの意思疎通支援の在り方

⑤    精神障害者、高齢障害者支援の在り方

佐藤進(埼玉県立大学名誉教授)を座長とし7人のWG。テーマは多くの課題を含んだ広範囲なため、5つのうち、「常時介護」「意思疎通支援」「高齢障害者支援」の3つは各作業チームを設けて議論される。

まずは障害当事者や関係者らのヒアリングが行われるが、WGはあくまで論点整理で障害者部会に示す前に論点を絞ったり方向付けなどまでには踏み込まない。

 

■障害者雇用/「差別禁止」「合理的配慮」指針案がまとまる(労政審分科会)

労働政策審議会/障害者雇用分科会は12月15日、改正雇用促進法が2016年度から施行されるのに向け、企業などに示す「差別禁止」と「合理的配慮」の2つの指針案をまとめた。パブリックコメントを募った後で来年3月に固め厚生労働大臣が告示する。2015年度は考え方を企業に広める期間とする。

改正法は、障害者権利条約を批准するための法整備で雇用分野における差別を禁止し、障害者に合理的配慮を提供する義務を事業主に課した。事業主は過重な負担でない限り、職場環境なとせの変更・調整をしなければならない。

指針は「どのようなことが障害を理由とした差別になるのか」「合理的配慮にはどのような例があり、どのような手順で提供するのか」などを示すもの。

差別禁止指針では、▽募集・採用 ▽賃金 ▽配置 ▽昇進 など差別を禁止する項目を挙げ、項目ごとに差別に該当することを説明。例えば、「障害者だけ教育訓練を受けさせない」「雇用形態の変更に不利な条件を付ける」、などは差別となる。

また合理的配慮指針では、障害の種別毎に整理した上で、▽拡大文字・音声ソフトを活用する ▽業務連絡に筆談やメールを利用する ▽スロープや手すりを設置する などの具体例を挙げた。

多くの企業が「こういうことなら出来る」と思えるよう分かりやすく表にしたが、「あくまで例示であり、他にも様々に工夫できる」と伝える。

手続きとしては、募集・採用時は障害者側から配慮を申し出る形になるが、職場では事業主が障害者に支障はないか確認しなければならず、障害者から求めて良い。どう改善措置を取るか話し合って内容を決めていくため、事業主は相談体制を整備する。     (以上 『福祉新聞』12/22号より転載)

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