優生思想

抗議及び質問書

抗議及び質問書

厚生労働大臣 塩崎恭久殿

日本脳性マヒ者協会青い芝の会

会長 福永年久

山口県周南市周陽2丁目2番55号

0834(51)4798

090(2806)5285

 

私たち全国青い芝の会は、半世紀以上に渡り、障害者の自立と差別からの解放を目指し、解放運動を続けてきました。それは健全者社会に根強くはびこる優生思想との闘いでもあり、脳性マヒ者を始めとしたすべての障害当事者の生存権と、生活権の確立を目指し活動を行ってきました。

近年の先端医療技術進歩によって、今までは地域社会で当たり前に生活してきた人々が新たな障害名をつけられ地域社会から排除されている今日この頃です。

 

マスコミ報道によると、今年の八月、厚生労働省が脳性マヒ者の早期治療のための大阪大学医学部を始めとしいくつかの研究機関が、臍帯血幹細胞を使っての早期の治療を認可したことが大きく報道されました。このことは、我々脳性マヒ者にとっては自己否定に直結する行為であり、断言することを、断固として容認することはできない。強く抗議するとともに速やかに、認可を取り消し、研究自体の中止を各研究機関へ通達されることを要求するものである。

なぜ、我々がこうした要求をするのかと言えば、過去同じような研究がいくつも実施され、その都度我々の仲間脳性マヒ者たちがモルモットのような実験材料とされてきた。忌まわしい歴史があることが明らかであることは貴省も承知しているものだと、我々は認識している。

 

1950年代から始まる脊髄へのパンピング注射を皮切りに、60年代初めには、当時アメリカで開発されたロボトミー手術が、脚光を浴び、日本でも順天堂大学を始め、幾つかの機関で実施されたが、何らかの効果はもたらされておらず、逆に障害が重度化したことは現実である。我々の仲間の多くは莫大な手術費用を使ってまでも行われてきた経緯があるにも関わらず、今回の研究はやはり旧優生保護法がうたっていた不良な子孫の出生防止を目指していることは、明らかであり我々脳性マヒ者の立場として到底容認することはできない。

地域での自立生活の促進などが行政などからも言われているが、こうした研究が進むことによって、我々障害者をこの社会から抹殺しようとしていることは紛れもない現実である。

 

我々は、あくまで脳性マヒ者として生きていくことがこの社会にとって大事なことであるか身を持って証明してきた。

 

以下、貴省に対して質問を行うので、真摯な対応を要求するものである。

 

1. 脳性マヒ及び障害者の生存権をどう捉えているのか?

2. 脳性マヒ及び障害者の権利をどう捉えているのか?

3. 国連の障害者の権利条約を認めるのか?

 

2014年11月20日

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