【報道】 新聞記事より
■明石市の移動支援事業 利用呼び掛け 投票に付き添います
神戸新聞 2014.12.08朝刊
明石市は、障害のある人の外出を支援する市の事業が、衆院選の期日前投票(13日まで)や14日の投票に利用できることをPRしている。本年度から1カ月の利用枠が増えたこともあり、「この事業を使い、ぜひ投票を」と呼び掛けている。視覚や両手足に障害がある人などが対象の「移動支援事業」。利用を希望する市民が申し込み、市が認めると、社会生活を送る上で必要な外出にガイドヘルパーが付き添い、費用の9割を市が負担する。所得に応じて無料の場合もある。現在は690人が登録している。市は障害者の外出を促すため、本年度から1カ月当たりの利用枠を最大50時間に拡大。選挙にも活用できることを、障害者団体などを通じ当事者に伝えている。
詳しくは市障害福祉課TEL078・918・1344このほか、点字で候補者名を記入できる機器や、車いすの利用などに応じ、高さが調節できる投票用紙の記載台を市内の全75投票所に配置。状況に応じ、市職員による代理記載も行う。
■殴られ蹴られ、暴言…虐待被害の障害者21人 和歌山県内で厚労省調査
産経オンラインWest 2014.12.10 08:36
http://www.sankei.com/west/news/141210/wst1412100014-n1.html
家族や福祉施設の職員から暴力や暴言などの虐待を受けた障害者が、昨年度に和歌山県内で21人いたことが、厚生労働省の調査で分かった。県障害福祉課は「施設職員への研修や周知活動を通じて虐待防止に努めたい」としている。
平成24年に障害者虐待防止法が施行されたことを受け、全国で調査。自治体への通報や相談などを基に、虐待と判断された事例を集計した。
まとめによると、親やきょうだいなどから虐待を受けたとの通報・相談は33件で、うち虐待が確認されたのは12人。一方、福祉施設の職員から虐待を受けたとの通報などは9件寄せられ、9人で虐待が認められたという。
虐待の種別では、殴る蹴るなどの「身体的虐待」が10件と最も多く、暴言を浴びせるなどの「心理的虐待」、不当に財産上の利益を得る「経済的虐待」などもあった。
認定された虐待の中には、施設の職員が数年間にわたり障害者に対して暴言を浴びせたり、パニック状態になった障害者を叩くなどのケースが確認された。同課 によると、福祉施設での虐待では第三者委員会の設置など再発防止策を指導、家族による虐待では虐待された障害者の一時保護などの措置を取ったという。
調査初年度の24年10月1日~25年3月末で、虐待が認められたのは計7件、7人だった。
■受精卵診断の対象拡大、学会が新手法承認
日本経済新聞 2014/12/14 0:34
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO80892000T11C14A2CR8000/
日本産科婦人科学会は13日、体外受精した女性の習慣流産を防ぐ新しい受精卵診断の臨床研究を承認した。受精卵の染色体の数に異常がないか検査する「着床前スクリーニング」をしたうえで子宮に戻し、妊娠成功率や流産率などが改善するかどうかを3年かけて調べる。重い遺伝病ではない人にも対象を広げ、2015年にも始める。
2月初めのシンポジウムで専門家らに説明し、広く意見を募る。早ければ2月末にも開く学会理事会で具体的な手順が承認される見通し。
体外受精後に細胞分裂を始めた受精卵から細胞を取り出し、「アレイCGH」という方法で染色体の本数の異常を調べる。体外受精や受精卵の診断は学会が指定する施設に限る。検査には高度な技術が必要で、慶応義塾大や東京女子医大、名古屋市立大などが候補になっている。
臨床研究は不妊治療を受けて繰り返し着床に失敗したり流産したりした夫婦などを対象に、3年間で計600例の実施を予定している。卵子に注射針で精子を注入する顕微授精で受精卵を作り、染色体の本数に異常のない受精卵を選んで子宮に戻したとき、妊娠する確率が上がるかどうか、流産するリスクを下げられるか どうかを調べる。
日本は出産の高齢化などの理由で流産を繰り返すケースが増えており、社会問題になっている。精子や卵子の染色体の本数の異常が流産を繰り返す原因として疑われているという。
新たな検査方法はすべての染色体を一度に調べるため、染色体異常を見分けやすい。
一方で新手法はダウン症などを受精卵の段階で排除することにもつながりかねず、倫理的な問題をはらむ。理事会後の会見で、学会倫理委員会の苛原稔委員長は「流産を防ぐ有用性がわかってから、実際に医療として導入するかどうかについては倫理的な検討を加える」と説明した。
▼受精卵診断 体外受精した受精卵の細胞を取り出して、染色体や遺伝子の異常などを調べる検査。異常のない受精卵を子宮に戻し、出産をめざす。
日本産科婦人科学会はこれまで、デュシェンヌ型筋ジストロフィーなど重い遺伝病や、染色体の構造異常で流産を繰り返す人などに限り、染色体の一部の検査を認めていた。
新たな臨床研究は流産の回避のため、重い遺伝病ではない人も対象とし、すべての染色体の本数の異常を調べる。当面は研究として実施するが、有用性が確認できれば、医療に応用する前に倫理的な問題の検討が必要になる。
■衆院選:兵庫県芦屋選管 視覚障害者に投票所入場券届けず
毎日新聞 2014年12月15日 21時56分
http://mainichi.jp/select/news/20141216k0000m040088000c.html
14日に投開票された衆院選で兵庫県芦屋市選管は15日、市内の視覚障害者8人に投票所入場券などを届け忘れたと発表した。入場券に点字シールを 貼るなどした後、対象者の自宅に選管職員が出向いて届けるはずだったが、職員間の引き継ぎミスで市役所内に置き忘れたままになっていたという。
市選管によると、入場券などを届け忘れたのは市内の40~70代の男女8人で、うち1人は投票した。市内の視覚障害者のうち希望した人に、点字 シールを貼った入場券と一緒に、期日前投票の案内▽点字で印刷した候補者紹介などの冊子▽冊子の内容の音読を録音したカセットテープ--を届けるはずだった。
事務局長は8人の入場券を取り分け、市役所内の倉庫に保管。だが職員への引き継ぎが不十分だったため放置され、冊子なども別の部屋に置かれたままだったという。
市選管には14日、「点字の投票入場券が届いていない」という問い合わせが2件あり、職員は「入場券がなくても投票できる」と説明したという。15日に記者会見した事務局長は「大変申し訳ない」と陳謝した。職員が8人と面会して謝罪する方針。【釣田祐喜】
■障害者雇用:人数は増、正社員の割合と賃金は減 厚労省
毎日新聞 2014年12月18日 19時17分(最終更新 12月18日 22時02分)
http://mainichi.jp/select/news/20141219k0000m040044000c.html
厚生労働省は18日、5年に1度実施している障害者雇用 実態調査の2013年度結果を公表した。雇用されている障害者(推計)は63万1000人で、前回調査から18万3000人増えた。週20~30時間の短時間で働く人が増えたのが要因。一方、正社員の割合や賃金は低下した。
調査は、従業員5人以上の8673事業所(回収率66%)と働く障害者9679人から回答を得た。障害別の雇用数(推計)は、身体障害者43万3000人(前回比8万7000人増)、知的障害者15万人(同7万7000人増)、精神障害者4万8000人(同1万9000人増)だった。
働く人は増えたが、正社員の占める割合は障害別で5.9~18.5ポイント減、賃金も月額3万1000~1万円減となった。労働者への調査では、将来への不安について「仕事が続けられるか」(身体障害者の60.7%)「親がいなくなったら生活を助けてくれる人がいなくなる」(知的障害者の37.3%)などが挙がった。【東海林智】
■(社説)介護報酬 「引き下げ」でいいのか
朝日新聞デジタル 2014年12月18日05時00分
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11512594.html
介護保険サービスの対価として事業者に支払われる介護報酬が来年4月に見直される。3年に1度の改定で、政府は来年度予算編成作業の中で引き下げる方向で調整している。しかし、高齢化が進む一方で、介護職員の人手不足は深刻だ。職員を増やすためには賃金の引き上げが急務になっている。賃上げしながら総額を減らせば、サービスが低下しかねない。このまま引き下げていいだろうか。
介護報酬は、税と保険料で9割、利用者負担1割でまかなわれている。今年度の総額は10兆円。制度を導入した2000年度に比べると3倍近い水準に達している。引き下げは、急増する介護報酬の抑制が狙いだ。
しかし、介護報酬は、介護職員の賃金の原資でもある。現在、介護職員の平均賃金は月額22万円弱と全産業平均より10万円安く、賃金水準の低さが職員が離職する要因となっている。
団塊世代が75歳以上になる2025年には介護職員を今より100万人増やす必要がある、との推計もあり、その意味でも賃上げを迫られている。
介護サービスでは、人手の多寡がサービスの質に直結するため、総人件費を抑制しようと人を減らせば済むわけでもない。
社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームには、1施設平均3億円の内部留保がある(財務省資料)。この内部留保をはき出して人件費に充てれば、賃上げとサービスの質の維持との両立ができる、というのが介護報酬引き下げの論拠となっている。厚労省はすでに、建て替え資金などを除いた内部留保は、すべて処遇改善と地域の公益活動にあてることを義務づける法改正も準備している。
しかし、3億円はあくまで平均値だ。小規模だったり、内部留保が薄かったりする事業者には両立は困難だ。
実際、事業者からは「人減らしにつながり、丁寧なケアが出来なくなるのではないか」「新たに人を雇う元手が減ったら、人手不足が解消されない」といった声が上がっている。
政府は、一定の条件を満たした事業者には、報酬上乗せを厚くして、職員の処遇改善を図ろうとしている。改善策は必要でも、引き下げに伴うマイナスを打ち消すのに十分なのか。
日本の家庭全体に目を向ければ、介護を理由に仕事を離れる人が年間10万人に達している。介護保険の外で生じているコストである。事業者の経営努力は当然としても、政府には日本の介護全体を見渡した政策判断が求められる。
1月 1, 2015