国/県の制度

【報告】 兵庫県障害福祉審議会(第2回)が12/23に開催される

障問連事務局

障害者福祉施策の基本方針を定めた「ひょうご障害者福祉計画」は新型コロナウィルスの影響により審議会が開催できず、1年後に策定することになり、障問連として引き継続き来年度も特別委員(凪裕之)として参画します。その上で、「障害福祉サービス等の見込量とサービス確保のための方策」を定める実施計画である「障害福祉推進計画」については、9月の第1回審議会に続き、12月23日兵庫県民会館にて第2回審議会が開催され審議されました。

◆今後のタイムスケジュール

・本計画の期間・・・2021年度~2023年度の3年間

・1月下旬  パブリックコメントの実施

・2月    パブリックコメント結果を踏まえた修正

・3月    計画公表

 

◆計画案の内容 ~新たに2つの柱も加わった7つの成果指標~

① 福祉施設の入所者の地域移行

② 精神障害者を地域全体で支える体制の構築

③ 地域生活支援等が有する機能の充実

④ 福祉施設から一般就労への移行等

⑥  障害児支援の提供体制の整備等

⑦  相談支援体制の充実・強化等(※新)

⑧  障害福祉サービス等の質の向上(※新)

 

◆強い抗議もふくめ出された委員からの意見

県事務局からの主に変更点も含めた計画の概要が説明された後、谷口座長の司会により審議が始まった。最初に委員から強い抗議も含めて総論部分について以下、指摘された。

○権利擁護/差別禁止の欠落

・「今年だけでも重大な虐待・傷害事件が多数発生したが今の説明で、権利擁護・虐待防止・差別禁止について一切触れられていない。怒りしか感じない。成果指標の中に権利擁護等を入れるべきではないのか。神出病院事件では警察の別件捜査の中で初めて事件が発覚した。虐待防止について市長や県の機能が果たされていない」。

これに対して県事務局からは「今回の計画は障害福祉サービス等の見込量とサービス確保を主としているので」との説明はあったが、同委員からは「事業ベースであっても虐待防止れ研修がやって終わりになっている、研修の中身を変えてほしい」と意見された。続けて、以下の点が他委員も含め意見された。

 

○地域移行の在り方、移行してどんな暮らしなのか?

・「入所者等の重度化・高齢化とあるが、だから地域移行は難しいとも読める。重度化・高齢化してもどうすれば地域移行できるのかの視点が無い」そして「ピアサポーターの活用とあるが精神の地域移行の項目だけに書かれているがピアサポーターは他障害でも活用されるべき」。凪特別委員からは「地域移行の数値だけ示されているが、どこに移行したのか、移行してどんな暮らしが実現されているのか、それをどう検証するのか、それが重要ではないのか」と指摘された。これについては谷口座長からも「ある地域でグループホームに移行したが外出、社会参加など一切なく、また施設の方ができていた。これでは移行した意味がない」と実態が報告され課題として上げられた。

 

○児童施策/放課後デイサービス

・「放課後デイの目的は児童福祉法で『生活力向上の必要な訓練、社会との交流促進』とあるが預かっているだけの実態がある。事業の評価をきちっとして欲しい」。

・「なぜ特別支援学校が増えているのか。計画にインクルーシブ教育と書かれているが、やらないなら削除して欲しい。書くなら権利条約やサラマンカ宣言などそれに基づいて実施するべき」。この点について凪特別委員からも「地域社会の一員と書くなら同じ教室で共に学ぶ方向性を出すべき。交流では地域の一員とは言えない、インクルーシブとは言えない」。

 

○指導監査を強化しても質は向上されない

新たな成果指標に➇「サービスの質の向上」があり、その中に「県と市町合同による指導監査の強化」とされているが、この点について以下の意見が上げられた。

・「質の向上が新たに入ったことは大きいが、しかし中味として示される『指導監査』では、利用者の生活実態がどう向上したのか、それは分からない。例えばグループホームの居室の面積は監査されても利用者がどんな暮らしか、社会参加できているのか等は分からない。市町に技術的助言すべき」。

 

○計画を実効できる人材確保の欠落

・「サービス確保の方策において何より人材確保は必須だが、人材確保は県の役割でもある、県としての工夫、人材確保の戦略がなく、計画が机上の物に終わってしまう」。

 

○当事者目線と行政目線の相違

・「数値を出し整備するのが計画だと行政は言うが、計画を進めていくために何が問題となのか、だからどうするのか? 現場の具体的な問題からかい離していないのか。数値とインフラ整備も必要だが、それだけでは質の向上は見えてこない。現場の課題に沿った計画が必要」。

 

○地域移行として1人暮らしの選択肢を

・「自立生活援助が28件、制度が始まり間もないが、担う事業所が県下で9事業所と圧倒的に少ない。行政の責任としてどう増やしていくのか」。

・過去の地域移行の7~8割が在宅、1割がグループホーム。グループホームでなく1人暮らしわしたい精神障害者も多い。一人暮らし出来る環境が必要

 

○就労の課題 新型コロナウィルスの影響大

・「コロナが短期で収まらない中、就B授産活動の根本的な見直しが必要。工賃が上がる環境にはない。現状の分析を踏まえ、新たな社会構造の中での在り方を危機感を持って考える時期」。

・「事業所の努力も必要だが就労Bの利用者は幅広く工賃工場と切り離すべき。就労移行は制度そのものが成り立たず事業中止、定員減が続いている。就労定着の目安は6か月では定着と言えず1年にすべき。定着の前に就労移行の質が問われている」。

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