新聞記事から

【報道】 新聞記事より

■ひとりじゃない:セルフヘルプの底力 いこいの場、ひょうご 「疲れたら休む」合言葉に

毎日新聞 2015年02月28日 大阪朝刊

http://mainichi.jp/area/news/20150228ddn013100055000c.html

 

うつ病を患う伴野嘉子(よしこ)さん(58)が、精神障害の当事者でつくる兵庫県宝塚市のセルフヘルプ(自助)グループ「スカイ宝塚」と出会ったのは約 3年前になる。「何事にも『さぼっている』と誤解を受けやすく、生きづらさを感じていたので、仲間との出会いは『私だけじゃないんだ』と、心のやすらぎを感じた」と振り返る。

夫を1994年に食道がんで亡くし、生計を支えるため、仕事を掛け持ち昼夜を問わず働いた。5年後、総菜販売の職場で倒れ、救急搬送された。

過労と対人関係のストレスがうつの背景になったと感じている。息子2人の理解に加え、つらい体験を分かり合える仲間との語らいが今、伴野さんの心を支えている。

うつ病や統合失調症、不安障害など精神疾患は、がん▽脳卒中▽急性心筋梗塞(こうそく)▽糖尿病とともに、5大疾病に数えられている。国内の患者数は約320万人に上る。約270万人の糖尿病を大幅に上回り、がん(約152万人)の2倍以上だ。

誰にとっても身近な病気であるにもかかわらず、精神障害への偏見や差別は依然、社会に根強くある。そうした中で、兵庫県内の四つの精神障害のセルフヘル プグループが情報交換と交流を目指して連携したのが「いこいの場 ひょうご」(同県西宮市)だ。2000年のことである。

現在は「スカイ宝塚」など8団体、約150人が参加している。「疲れたら休む」を合言葉に、仲間の相談を聞く「ピアカウンセリング」▽行政交渉を通じた福祉制度づくりへの参加--などの活動に力を注いでいる。

「いこいの場 ひょうご」(090・3863・5919)事務局長の高瀬建三さん(64)は15歳から働き詰めだった。クリーニング店に勤めていた30 代にうつ病を発症した。セルフヘルプグループとの出会いについて「医療者や支援者とは違って、当事者同士で話していると、『同じ思いだ』と感じ、前向きになれた」という。その後、活動を通して知り合った10歳下の女性と結婚した。身体障害者の介護ヘルパーの仕事をしながら、この活動を続けるつもりだ。

病気や障害などがきっかけで社会から取り残される人の声は周りには届きにくい。だからこそ、高瀬さんは力を込めて言う。「ひとりぼっちをなくしたい」【遠藤哲也】

 

 

<兵庫>無年金障害者福祉給付金、基礎年金と同額に…県議会に予算案

民団新聞 2015-03-04

http://www.mindan.org/shinbun/news_bk_view.php?corner=2&page=1&subpage=5361

 

【兵庫】兵庫県が「無年金外国籍障害者福祉給付金」を15年度から増額する方針を固めた。予算案は県議会で審議されている。可決されれば、全額国 庫から支給されている障害基礎年金とほぼ同額となる。民団兵庫本部(車得龍団長)をはじめとする関係団体や県議会議員による粘り強い働きかけが実った。

韓日国交50周年、大震災から20年…民団と県議連が協力

兵庫県は在日外国籍無年金者への給付金を、県と県内各市町で共同で実施している。高齢者福祉給付金については県と各市町が2分の1ずつ負担し、10年度からは日本人の老齢福祉年金とほぼ同額になっている。

障害者基礎年金は1級の重度障害者が現在、月額8万1092円。同額にむけてほぼすべての市町は2分の1相当を措置しているが、県だけは「予算難」を理由に35800円にとどまっていた。

民団兵庫本部は同額に向けて市民団体、および日韓親善兵庫県議会議員連盟と共同で県に働きかけてきた。これを受けて県はこのほど、月額1人あたり5000円の増額を決めた。この予算案が18日の2月県議会最終日に採択されれば、1人あたり40800円となり、市町と合わせた月額支給額は障害基礎年金とほぼ同額となる。

民団兵庫本部では「今年、阪神・淡路大震災から20年、そして韓日国交正常化から50周年という節目の年であることが、県をして懸案解決に一歩踏み込ませる動力となった」とみている。

外国籍者への福祉給付金は神戸市が91年に障害者を対象に初めて制度化。高齢者についても尼崎市を皮切りに県内各地に広がった。98年には県が市町給付金に上乗せする制度が実現。06年には県と市町とが2分の1ずつ折半することを前提に、全市町での支給増額が決まった。

県内の外国籍無年金障害者は96人、外国籍無年金高齢者は358人。支給額は全国でも最先端。

 

 

■<国連防災会議>障害者の参画進めて/参加者の視点(1)

河北新報 2015年03月15日

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201503/20150315_13032.html

 

マリアン・ダイアモンド オーストラリア出身。全盲。豪障害者連合最高責任者(CEO)、豪盲人協会役員などを歴任。世界盲人連合元会長。14年から現職。

◎国際障害同盟マリアン・ダイアモンド会長

14日に開幕した国連防災世界会議に参加するため、国連機関、政府、NGOなどの代表や防災担当者が仙台市に集まっている。東日本大震災の被災地で何を共有し、何を発信するのか。世界の防災対策の現状と課題、被災地へのメッセージなどを聞いた。(聞き手は報道部・阿部萌)=5回続き=

-国際障害同盟の防災の取り組みは。

「同盟は国際的・地域的な障害者団体のネットワークだ。近年は国際的な開発目標で、国連が策定する『ポスト2015年開発アジェンダ』が活動の焦点だ。被災後の再建などに関する全てのプログラムや政策に、障害者の視点を反映させようと取り組んでいる」

-障害者のための防災の取り組みで重要なことは。

「障害者を代表機関のメンバーに入れることだ。障害者が防災計画の策定やその実行に直接関与できれば、災害時に障害者が取り残されるケースは減るはずだ。会議では、障害者やその代表機関が確実に、成果文書を策定する過程に参加できるようにしたい」

-障害者の防災対策を浸透させるために、克服すべき課題は。

「誰もが安全で使いやすいユニバーサルデザインの原則に基づいて、制度を作る仕組みを、世界的に確立することだろう。防災などに関するより多くの情報が、全ての人に利用可能になることも必要だ」

-被災地である仙台を訪れた印象と、被災地へのメッセージは。

「初めての訪問だが、人々は親切で、自らの被災体験や直面する課題などを積極的に伝えようとしていると感じた。震災発生後、世界中が被災地に関心を持ち続け、事態の改善を祈っている。われわれは震災から多くの教訓を学び、同じような被害を繰り返さないようにしなければならない」

 

 

■医療観察法 施行10年 長期の強制入院 現実に

中日新聞、東京新聞2015年3月20日朝刊

http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20150320160214740

 

「入院期間の全国平均は現在、国の想定の2倍近くまで伸びている」

19日に東京・衆院第2議員会館であった集会で、この問題に長く取り組んでいる池原毅和弁護士はそう訴えた。

同法は2003年7月に成立し、2年後の05年7月に施行された。端緒になったのは、児童8人が殺害された01年6月の大阪・池田小事件だった。

法案審議では日本弁護士連合会や日本精神神経学会が強く反発し、国会でも成立まで三会期を費やした。論議の根幹にあったのが隔離や差別の問題、そして長期の予防拘禁にもなりかねないという懸念だった。

政府側は「丁寧な治療と社会復帰が法の狙い」として成立させたが、10年たったいま、かけ離れた現実が横たわっている。

厚生労働省のガイドラインが想定する入院期間は1年半。しかし、国立精神・神経医療研究センター病院などによると、13年度の平均入院 期間の推計値は974日、つまり2年8カ月程度となっている。08年度の620日と比べても1.5倍以上になっており、期間が延びている傾向が明確になっている。

池原弁護士は「単に治療が長引いているわけではない。帰る場所や住む場所が確保できないほか、退院後の通院場所の調整がうまくいかないことが大きな要因になっている」と語る。

東京都内のある指定入院病院は、入院の長期化がより顕著に表れている。過去の例では、入院期間が93カ月、つまり8年近くのケースもあるという。

退院後は指定通院医療機関で治療を受けるのが一般的だが、そこにも問題が潜む。この問題に詳しいジャーナリストの浅野詠子氏は「山間へき地もあれば、離島もある。東北では片道3時間かけて通院するケースもある」と説明する。

「医療観察法に基づく医療は手厚いと国は宣伝しており、入院患者には医師や看護師、臨床心理士、作業療法士らの多職種チームが付く。し かし入院から通院に切り替わったとき、手厚い医療が身近で受けられなくなることが間々ある。それだけの環境激変が患者にとっていいことか。通院中に自殺する例もある。1人ひとりの人生を長く支える制度設計になってない」

神戸学院大の内田博文教授(刑事法)は「入院の長期化も、改善されない通院環境も、問題の根幹にあるものは同じ。『丁寧な治療』『社会復帰』を国が本気で考えてないということだ」と批判する。

「特定秘密保護法をはじめ、市民に対する治安強化が進む現状を鑑みると、医療観察法も強制的に市民を収容する手段として悪用されかねない。精神障害の問題は、当事者が口にしづらい。その分、人ごととして済ますわけにはいかない」

心神喪失などで、不起訴や執行猶予になった人たちに入院などを命じる「医療観察法」の施行から今年で10年を迎える。法律の成立過程か ら「事実上の保安処分」「精神障害者を社会から隔離させる狙い」と批判が多かったが、それが現実になりつつある。懸念された強制入院の長期化が進んでいるのだ。(榊原崇仁)

心神喪失者医療観察法…殺人や放火、強盗、強姦(ごうかん)などで逮捕された容疑者のうち、心神喪失や心神耗弱で不起訴や起訴猶予、無罪、執行猶予となった者が対象。検察官の申し立てに基づき、裁判官と精神保健審判員各1人の合議によって、入院または通院、治療なしの処遇を判断する。入 院や通院のための医療機関は厚生労働相が指定している。

 

 

■お兄ちゃん先生希望の春県初、知的障害者が幼稚園に就労/斑鳩

奈良新聞 2015年3月20日

http://www.nara-np.co.jp/20150320091121.html

 

今春、県立西和養護学校を卒業した宮田啓太郎さん(18)=河合町在住=が4月から、保育補助員として斑鳩町立斑鳩幼稚園(小野隆秀園長)で働く。県内の幼稚園で保育に関わる職種に知的障害者が就労するのは宮田さんが初めて。同町の小城利重町長は「障害のある人の可能性を広げると同時に、子どもたちがさまざまな障害への理解を深めることにつながる」と期待を寄せている。

宮田さんは高校2年から同園をはじめ河合町内など計4カ所の幼稚園、保育所で取り込んだ職場実習を通して「子どもと関わる仕事に就きたい」との思いを強くした。(以下略)

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