新聞記事から

【報道】 新聞記事より

■大阪)ダウン症児の就学、受け入れに改善策 大阪市教委

朝日新聞デジタル 2015年2月8日03時00分
http://www.asahi.com/articles/ASH225DKTH22PTIL011.html

 

ダウン症の子どもがいる大阪市の夫婦が、地元の市立小学校と入学手続きについて打ち合わせをしたところ、受け入れに積極的ではないとも受け取れる対応をされたとして市教育委員会に改善を求めた。市教委は「就学先については児童・保護者の意向を最大限尊重する」という理念が徹底されていなかったとして、学校管理職への研修を強化し、保護者への情報提供も進めるなどの改善案をまとめた。

対応の改善を求めていたのは、淀川区で英会話学校を営むニュージーランド出身の佐々木サミュエルズ・スティーブさん(37)と妻の純子さん(45)。今春に小学生になるダウン症の長男(6)を地元の市立小に入学させたいと考え、昨年5月以降、同校の教頭らに相談してきた。

だが、教頭は話し合いの場で、障害のある児童の支援をする教員について「現状より増やすのは難しい」「手間がかかる」などの説明を繰り返したという。不信感を抱いた両親は、区役所や市教委にも相談したが「お宅だけを特別扱いできない」などと冷淡な対応をされた――と訴えている。

両親はその後、特別支援学校への就学も検討することにしたが、昨年11月から学校と市教委に学校側の対応について改善を求める署名活動を開始。同12月には大阪弁護士会に人権救済の申し立てをし、これまでに全国から約3500人分の署名が集まった。純子さんは「子どもが安心して過ごせる環境にあるかどうかを確認したかっただけなのに、まるで無理な要求を突きつけているかのように扱われ、傷つくとともに学校のあり方に危機感を覚えた」という。

これを受け、市教委事務局が教育委員を交えて対応を協議し、「両親の気持ちに寄り添う姿勢が徹底されず、説明内容も十分ではなかった」と判断。1月28日にあった両親との話し合いの場で、市教委の担当者と地元小学校の校長、教頭が直接両親に謝罪し、長男の受け入れに向けた環境整備を進めると伝えた。

また、保護者らの意向を最大限尊重するとした理念を再度徹底し、①就学手続きについてわかりやすく解説した資料を作成し、私立を含めた全幼稚園・保育所・認定こども園などを通じて保護者に配布する②市教委事務局に就学相談窓口を設置し、障害のある子どもの就学については学校・市教委どちらにも相談できるようにする――など7点の対応改善案を示した。

純子さんは「どの親にも私たちのような悲しい思いをしてほしくない。障害のある子も、ない子も、共に安心して学べる環境づくりに努めてほしい」と述べ、長男を地元小学校と特別支援学校のどちらに通わせるかについては、今後、小学校との話し合いを重ねたうえで決めたいとした。

地元市立小の教頭は取材に「(長男の)受け入れを拒むような気持ちは毛頭なかったが、人員確保の難しさなどを説明する中で言葉が足りず、両親にショックを与えてしまったことをおわびしたい。学校としては、入学受け入れに向けて最大限努力していくつもりだ」と話している。(阪本輝昭)

 

 


■障害者の製品 プロの指導で販路拡大 県が自立支援

神戸新聞 2015/2/18 11:32
https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201502/0007749621.shtml

 

兵庫県は2015年度から、量販店などの一般市場に障害者が作る授産製品を流通させる仕組みづくりに力を入れる。これまでもバザーやインターネットでの通信販売などを通じて工賃アップを図ってきたが、大きな改善は難しいのが現状。そのため、さまざまな分野のプロの力を借りて販売する商品の質を上げ、障害者が製造から流通まで自立できる道筋を付ける。(岡西篤志)

雇用契約に基づく就労が難しい障害者が通う「就労継続支援B型事業所」(約430カ所)が対象。県は06年度以降、商品の質を高めるため、技術向上指導員の配置や機械導入への助成、一定レベルを満たす商品のネット販売を進め、さらに全国の事業所を対象にした「スウィーツ甲子園」の開催などで工賃の底上げを図ってきた。

しかし13年度末の1人当たりの平均工賃月額は1万3020円。06年度からは3千円ほど改善したが、自立した生活の確立にはまだ遠い。

それでも授産製品自体の質やデザイン性は年々向上し、県がネットのサイトで紹介している商品の販売は上々。県内の酒造メーカーや洋菓子店との共同による商品開発なども始まっている。

そこで、一般市場への流通を目指し、15年度から「市場流通支援プログラム」に取り組むことにした。まず、包装デザインやマーケティング、安全表示、経理など6分野のプロ約30人を技術人材バンクに登録。これらの人が事業所への個別指導を行い、最終的に商品の「兵庫ブランド」化につなげるという。

早ければ15年度中にも量販店での定期販売を本格化させたい考えで、県障害者支援課は「成功事例を積み上げ、工賃の倍増を目指したい」と話している。

 

■福祉避難所の場所、7割以上「知らない」兵庫

読売新聞 2015年2月20日
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=112277

 

NPO法人「兵庫障害者センター」(神戸市中央区)が、阪神大震災20年に合わせて実施した障害者らへのアンケート調査で、回答者の7割以上が、災害発生時に特別な支援が必要な被災者を受け入れる福祉避難所(◎)の場所を把握していないことがわかった。

同センターは「震災から20年を経ても、災害時に障害者を守る態勢が十分とは言えない現状が浮き彫りになった」として、自治体などに周知方法の改善を求めていく。

アンケートは昨年10、11月、障害者や難病患者の団体を通じて実施。防災意識などについて調査した。障害者本人が難しい場合は家族が記入し、294人から回答を得た。

「福祉避難所の所在地を知っていますか」の設問に「知っている」と回答したのは全体の23・7%にとどまった。

また、この1年間に地域の防災訓練に参加したことがない人は75・8%に上り、「災害時、避難所まで1人で移動する」と答えた人の割合は23・4%だった。

避難所生活での不安を尋ねた設問(複数回答可)では、「障害への配慮」が最も多い45%。「トイレなどの介護」や「医療ケア」を挙げた人は、いずれも2割以上いた。

同センターの井上義治理事は「阪神大震災では、必要な情報が得られずに自宅に取り残された障害者がいた。災害時に障害者らが主体的に行動できるように行政はしっかり説明してほしい。自治体や地域住民が日頃から積極的に障害者とかかわることが大切だ」と話している。

 

(◎) 福祉避難所=災害発生時、高齢者施設や学校など既存の施設を活用して障害者や要介護の高齢者、難病患者らを受け入れる施設。車いすに対応するため、手すり やスロープを設置し、ポータブルトイレなどを備える。内閣府によると、兵庫県内では628か所(2013年調査)が指定されている。

 

■衆院、愛知県議会が傍聴時に制限 白杖 凶器ですか?

東京新聞 2015年2月20日 朝刊

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015022002000144.html

 

視覚障害者の歩行に欠かせない白杖(はくじょう)は「凶器」なのか。愛知県議会を傍聴した視覚障害者が、議会事務局から傍聴席での白杖の携帯を禁じられていたことが分かった。国会では衆議院が防犯上の理由から、白杖を含むつえの携帯を禁止。都議会や首都圏の政令市議会などでは同様の規制はないが、関係者からは「白杖は身体の一部。視覚障害者が社会参加する権利を奪う行為だ」との声が上がる。

愛知県豊橋市の豊橋盲人福祉協会の彦坂和夫会長(83)らは昨年、県議会の十二月定例会を傍聴した。十三人は白杖が欠かせないが、係員から「着席後は折り畳み式のつえはかばんにしまって。かばんに入らないものや、長い直杖(ちょくじょう)は係員に預けて」と指示された。

この日は全員が折り畳み式のつえだったため、自分や付き添いの人のかばんにしまえた。ただ、直杖を愛用している人も少なくなく、「預けて」という議会の対応に疑問を感じた。

愛知県議会は規則でつえの携帯を禁止。「病気その他の理由で議長の許可を得たとき」は除外されるが、「凶器その他危険物」に当たるとも解釈される。担当者は「従来この運用でやっている。実際、議場に投げ入れられれば十分凶器になる」と話す。

「つえは目と同じ。どんな時も持っていないといけない」と彦坂会長。預けてしまえば、トイレに立ちたい時や地震などの緊急時は-と、不安にもなる。

東京視覚障害者協会の稲垣実会長(61)は「議場で白杖を取り上げる行為は、障害者の社会参加する権利を奪うのも同じ」と憤る。稲垣さんによると、社会保障関連の予算審議の傍聴や要望で東京都議会や厚生労働省に行っても、白杖や盲導犬を預けたことはない。「白杖を持って傍聴するのは、障害者が社会参加に関心を持っているというアピールでもある」

障害者欠格条項をなくす会(東京)の臼井久実子事務局長は「障害者が議員や委員、職員として政治や行政に参画する環境づくりを怠ってきたことが、問題の根本にある」と指摘。来年は障害者差別解消法が施行されるが、「あらためて国や各自治体で規則を洗い直し、議論をする必要性を感じた」と話している。

参院はOK、都も「必要な器具」

議会傍聴での白杖の扱いは、国会は衆議院が着席後に預かる一方、参議院は「ないと困るもの。声掛けはするが、持っていても大丈夫」とする。東京都議会も「体の不自由な人が歩行に必要な器具は議場内に持って入ってもらっている」(議会局)という。

神奈川県議会は白杖や盲導犬は視覚障害者の「身体の一部」とみなし、特別な手続きなくそのまま傍聴できる。「バリアフリーが求められる中、体が不自由な人を拒むことはない」と話すのは、川崎市議会。赤ちゃん連れの傍聴も普通にでき、「泣きだしたら退出をお願いしている」。

埼玉県議会は「他人に危害、迷惑を与える者」の傍聴は禁止だが、つえや白杖を持った高齢者、障害者は当然該当しない。さいたま市も持ち込み可能だ。

千葉県議会は傍聴規則に「つえの携帯禁止」とあるが、「議長の許可を得たものを除く」とされ、白杖も「当然に許可される」。千葉市議会の事務局は、つえを振り回すなど暴力的な行為が想定される場合は「傍聴席に着席後、預かるかどうか、その場で話し合うことになる」と説明。ただ実際に預かった例はない。

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