事務局より

編集後記

2014年度の人権シンポジウムでは差別と冤罪について取り上げました。冤罪をなくしていくためのひとつとして、取り調べの可視化が求められます。2007年の国連拷問禁止委員会からの勧告を受け、日本政府も2014年9月、取り調べの録音・録画の義務づけを答申しました。しかし、ここで録音・録画が義務づけられる取り調べというのは、殺人事件など全事件の3%に過ぎません。あまりにも対象範囲が狭すぎます。これで果たして冤罪がなくなっていくのか、はなはだ疑問です。

12月24日の毎日新聞の社説は「新着床前診断 十分な倫理的検討を」でした。「そもそも、受精卵診断には「生命の選別や、障害者差別につながるのではないか」との懸念がつきまとってきた」、「この技術を利用することによって、「異常」と判定され、排除される受精卵が増える可能性は否めない。たとえばダウン症候群など、これまで着床前診断の対象でなかった染色体の特徴もこの検査でわかり、子宮に戻すかどうかの判断を迫られる」と警鐘を鳴らします。今号ニュースで掲載した青い芝の会の厚生労働省に対する「抗議および質問書」にもあるとおり、いのちの選別、とりわけ障害者の生命を「価値なきもの」とする風潮が強まらないか、注視していきたいところです。

2015年、1月には阪神・淡路大震災から20年を迎えます。震災直後から、神戸や西宮の障害者たちは、既存のネットワークをフル活用し、「障害者による復活・救援活動」を行いました。すでに地域との関係性があったからこそ、復活できたのだと、改めて感じます。巻頭言でもあるように、とりわけマイノリティにとっては厳しい世の中です。そのなかにあっても、地域に真に根ざし、障害者が障害をもちながらそのいのちを否定されることなく生きていける社会を作っていく必要があります。2015年もどうぞよろしくお願いいたします。

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