教育

編集後記

新年明けました。2017年1月1日付の東京新聞の見出しを追うと、「トランプ氏に侮辱された米兵遺族のイスラム教徒」「オスプレイ定期整備拠点に木更津・軍都の悪夢再び」、同3日付では「貧困学生の負担分かち合う」「厳しさ増す自主避難」「基地列島・岩国・米軍と自衛隊60年間共用」とあります。世界的にも格差が強まり、分断や排斥が強まってきています。

同1月1日付の国際ジャーナリスト・堤未果氏と経済学者・井手英策氏との対論で、井手氏は「保育園落ちた日本死ね」のときに、最初にそっぽを向いたのはお年寄り、次が子どものいないカップルだということを挙げ、「「誰かに利益を」と言った瞬間に、すごい勢いで分断線も入るし、敵も増える」と述べています。そして、「財政による統治ができなくなると、無駄遣いの犯人捜しを始める。そうすると、社会が分断されて自由とか人権とか社会的価値を分かち合えなくなります。最後は愛国心をあおるとか、ナショナリズムや道徳教育とかいう形で国民を束ねるしかなくなるんです」と分析しています。

現状分析としてはたしかにそうかもしれませんが、そうした形ではない、「国民を束ねる」(そもそも住んでいるのは「国民」だけではない)必要すらないのかもしれません。その別様の姿かたちは、社会運動の蓄積によって示されてきたと思うのです。マイノリティが互いに敵視させられる社会を問う必要があります。そのためにも、すべての人が十全に生きることができるような社会的な財の再分配が必要です。今年も厳しい闘いを強いられそうですが、よろしくお願いいたします。

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